このページの先頭

北海道発・記者ブログ

2007年8月23日暑苦しい

 今年の夏は暑い。16日には岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で観測史上最高の40・9度を記録した。猛暑の影響でクマゼミが大量発生。光ファイバーケーブルに産卵し断線の一因になっているというニュースが20日付の本紙でも報道された。夏、汗、セミ…涼しさがほしい。涼しげな風景、涼しげなシーンに遭いたい。

 私の職場は深夜業務で毎日の仕事が終わるのが大抵午前2時過ぎ。東京は真夜中でも湿度が下がらず猛烈に蒸し暑い。息苦しさを避けようと急いでタクシーを拾い帰宅する。たまに夜食や飲み物を買うために途中でコンビニエンスストアに寄る。その際、ほぼ同じ時間帯に同じ店に立ち寄るから、必然的に同じ店員に会うことにもなる。

 中でも2人、印象的な店員がいる。1人は長髪をピンク、水色、黄色、緑、紫…と“虹色”に染めあげた男性。ビジュアル系バンドでも組んでいるのであろうか。制服の下は真夏でも黒のロングスカートのようなものを身に着けている。その下にさらに黒いタイツをはいている。私が見る限りいつも同じ格好だ。

 誰が見ても暑苦しい外見なのだが、毎晩目にも留まらぬ超高速レジ打ちを見せてくれる。客からお金を受け取った瞬間“ズバババババーン”とマシンガンのようにレジのキーをたたき上げ、あっという間にお釣りが渡される。客が少ない深夜は在庫整理や陳列作業で忙しいのだが、私が入ると真っ先に気づいて「いらっしゃいませぇ」と声を掛けてくる。見た目によらず礼儀正しい。客を待たせぬ鮮やかな仕事っぷりで涼やかな気持ちにさせてくれる1人だ。

 もう1人は胸に「ぐぇんみん」という名札をつけた東南アジア方面の出身かと思われる店員。まだ日本語がたどたどしく、先日は「オ弁当、アタタタメマショウカ?」とかんでしまい、「アターッッメマショウカ?」と律義に言い直していた。こちらはとにかく、釣り銭をよく落とす。レジも遅い。それでも不器用ながら難しい日本文化を覚えようとするひた向きな姿が、爽(さわ)やかな風を感じさせてくれる。

 普通の生活をする人たちが寝静まった真夜中に黙々と働く名もなき人たち。器用でも不器用でも、それぞれの夢に向かい地道に礼儀正しく努力している人々を見ていて思うことがある。国境を越えモンゴル人で初めて角界の頂点にまで駆け上ったあの力士は、いつになったら人としての「礼儀」や「道理」を理解できるようになるのだろうか。いろいろな立場もあるだろうが、人の上に立つ人間には、周囲にすがすがしいと思われる発言や立ち振る舞いも必要とされるはずだ。

 これまでは横審や他の力士との摩擦に起因するものが多かったが、今回はファンを裏切る行為に端を発しているだけにイメージが悪い。個人的にもかつては応援していたが、今はあのシコ名を見るだけで暑苦しくなる。

永野 高輔(ながの たかすけ)

 茨城県水戸市出身。06年北海道本社に入社。編集部東京駐在で整理業務担当。学生時代は両親が指導者だった影響でフェンシングに熱中。競技歴15年。00年富山国体出場。好きな食べ物は札幌・カリー軒のハンバーグカレー。1973年7月生まれ。

このページの先頭へ