2007年1月28日注目を浴び続けた「18歳」の意思の強さ
03年、北海道で行われた全国中学校体育大会(全中)に出場した中3の福原愛選手を取材したとき、こんなことがあった。当時すでに卓球王国・中国に渡り練習しており、全中のためだけに会場の苫小牧に来るという強行日程だった。そこで、ある若い記者が焦って「いつ(中国に)帰国するんですか」と質問し、「私は日本人なので、帰国とは言わないと思いますが…」と苦笑いされていた。言葉で表現する仕事に携わる大人が、15歳の少女に冷静に突っ込まれている姿が妙におかしかった。
今年の卓球全日本選手権は中2の石川佳純選手が中学生初の4強入り。「愛ちゃん超え」として話題になった。福原選手がワイドショーで「泣きべそをかきながら卓球をする天才少女」として取り上げられたのが93年。石川選手が生まれた年に福原選手はもう卓球界の小さなアイドルとして歩み出しているわけだ。物心つくころから14年間、大げさでなく卓球人気を1人で背負ってきた。しかも10歳でプロ契約。今年プロ球界に入る楽天田中投手や、早大で同級生になる早実斎藤投手ら世間で「最も騒がれている」18歳より「大人」としての自覚の強さは上だろう。外見は年齢より若く見えるが、その発言には意思の強さを感じる。
全日本選手権初日(16日)の混合ダブルスで勝利した後の会見で、福原選手はいきなり報道陣から46大会ぶり女子3冠への意気込みを問われた。「目標はありません。目標をつくると自分で限界をつくっちゃうので。1つ1ついけるところまでいきたいです」。持ち上げられれば気が大きくなるのが若者の心理。たった1種目の1勝でここまで望まれるのも酷だが、惑うことなく発したシンプルな「持論」が耳に響いた。
福原選手の全日本選手権は結局、混合ダブルス1冠に終わった。そして自分の記録を塗り替えた年下の石川選手を「本当にすごいこと」と素直に祝福した。成功もあれば失敗もある。はっきりゴールを決めることも大事だが、その前に1つ1つ、目の前のことを順序立て、常にベストを尽くし、積み重ねていくことはもっと大事。いつも、めそめそしていた「愛ちゃん」から33歳になった自分が学ぶことになろうとは思わなかった。