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北海道発・記者ブログ

2007年10月24日最初は小さな種かも知れないが…

 今年から新たに創設された日本バスケットボールリーグ(JBL)に新規参入したレラカムイ北海道が20、21の両日、札幌・月寒アルファコートドームでホーム開幕戦に臨み日立に2連勝した。2日間で8362人を動員。当初の予定を大幅に上回る多くのファンが、日本唯一のプロバスケットボールチームに大声援を送った。開幕して4戦を消化しただけだが、好スタートと言っていい。

 試合中は地鳴りのように響くファンの声援とその声に後押しされた北海道の選手たちが好プレーを連発した。しかし、記者が最も印象に残ったのは北海道を運営するファンタジアエンタテイメントの水沢佳寿子社長だった。会場では来場したファンを自ら席に誘導しグッズショップに立ち、また関係者にあいさつに回るなど、自ら運営の陣頭指揮を取った。忙しいさなか声を掛けるとこぼれそうになる涙を必死にこらえながら「体の震えが止まらない。こんなにも多くの人がきてくれて感謝の言葉しかない」と会場を見渡し感慨深げだった。

 たった1人での船出だった。監督もいなければ、コーチ、選手もいない。チーム立ち上げを発表しても周囲の目は冷ややかだった。「絶対成功しない」、露骨に言われることもあった。選手は交渉の席にすら着いてくれない人もいたという。眠れない夜を過ごしながら「何度も逃げだそう」とくじけそうになったが、それでも「北海道に新しい風を吹かせて元気にしたい」という思いを胸に地道に企業、選手を回り説得した。

 思いは徐々に浸透し、東野智弥監督はじめ、日本代表の折茂、桜井、道産子の菅原、野口など有望な選手が集まった。また、スポンサーも現在17社。契約は完了しているが発表できない段階の数社を合わせれば20数社にまで上っている。水沢社長は「多くの人と出会い助けられた。そしてゼロが8000になった。出来過ぎですよ」と試合後は涙をこらえられず感謝の言葉を口にした。

 ここに不況にあえぐ北海道浮上のヒントがあると思う。東野監督は「今、日本ハムの経済効果は絶大だという。でも日本ハム、コンサドーレ札幌も最初はゼロからだった。北海道が成功すれば、小さな企業でも頑張る勇気になるはず」と北海道の可能性を見いだす。水沢社長は「勇気をもって1歩を踏み出して良かった」と言う。

 最初は小さな種かも知れない。しかし、やがて大地に根を生やし芽が出て枝を伸ばす。そしてつぼみができ、いつかきっと大輪の花が咲くだろう。小さくも大いなる1歩を踏み出す勇気が必要なんだと、誰もいなくなった会場に1人たたずむ水沢社長の姿をみてそう教えられた。

松末 守司(まつすえ しゅうじ)

 東京都出身。06年北海道本社入社。主に夏は中央競馬、冬は一般スポーツを担当。前職の東京での夕刊紙記者時代は、中央競馬を6年間担当し10週連続で万馬券的中を記録した。1973年7月生まれ。

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