2007年6月12日2頭の雄姿に「ガンバレ、ニッポン」と叫んだ
国際舞台は愛国心を思い出させてくれる。記者は普段、それほど愛国心があるとは思っていなかったが、シンガポール航空国際Cで連覇に挑むコスモバルクの取材でシンガポールに行ったとき、胸の奥に眠っている愛国心を呼び覚まされた。
日本からはバルクの他に美浦のシャドウゲイト(加藤征)も挑戦した。気温30度以上になる酷暑に加え、連日の雷と激しいスコール。日本とはまったく違う環境のなか打倒、日本馬を掲げ海外メディアからの必要なまでの取材攻勢で日本馬は丸裸にされた。海外で勝つのは実力だけでは駄目なんだと痛感する毎日だった。それでも、陣営は逆境にめげず、馬を最高の状態に仕上げるため日本の技術の粋を尽くして勝負への執念を見せた。レース当日はパドックで鳴くバルクに罵声(ばせい)を浴びせる現地のファンも多かった。アウエーでの洗礼を受けるたびに記者は不安にかられたが田部師、加藤征師ともに「競馬はどこの国でやっても同じ。いつも通り馬を仕上げるだけ」と泰然自若の構え。本当に頼もしかった。
ゲートが切られ、1周目のスタンド前を通る馬たちの中にバルクとゲイトをみつけると、あまり普段は声を上げない記者も声をからすほど声援を送った。バレーボールのファンに興ざめしていた記者だったが、心の中ではまさに「ガンバレ、ニッポン」だった。カメラのファインダーをのぞく目が、直線で先頭に立つゲイトと内から盛り返してくるバルクの雄姿を見つけると目頭は熱くなった。
レースは史上3回目の日本馬による海外G1ワンツー(1着シャドウゲイト)を決め最高の結果に終わった。レース後、引き上げてくる2頭を迎え入れる陣営の姿を見たときは「日本バンザイ」と叫びたくなった。表彰式で観客席から「エクセレント」の声が飛んだ。現地ファンをも魅了した2頭の強さ、自分のことのように誇らしかった。
2月の世界ノルディックスキー世界選手権でも、ジャンプ陣が無理と言われながら団体で銅メダルを獲得した。表彰台に上がった日の丸飛行隊の笑顔は輝いていたし、先日、桑田真澄投手が大リーグ初登板を果たしたマウンドでの雄姿は素直に格好良かった。世界に挑戦する日の丸を応援するのは気持ちがいい。「ガンバレ、ニッポン」、「ガンバレ、ニッポン」-。今度はバレーボールもファンに混じって応援してみようかな。