2006年12月10日寒い地での温かさにホロリ
寒い土地に来て、温かさを感じた。別に、謎掛けをしているわけではない。北海道に住んで、人の温かさに触れた。
10月1日付で編集部に配属された。東京での夕刊紙記者時代に夏の中央競馬で北海道取材を経験していたこともあって、北海道に住むのは、なんの抵抗もないはずだった。「うまいものを食べられていいな」と友人にうらやましがられながら、意気揚々と北の地に足を踏み入れた、が…。
現実は厳しかった。記者が北海道に滞在していたのは、夏場だけだった。11月中旬に雪がちらつくとは…。凍結した路面がこれほど歩きにくいとは…。気温が氷点下にまで落ち込んだここ最近は、身も心も寒い。「帰りたい…」、この2カ月で何度思ったことか。
しかし、幸運にも巡り合った。日本ハムが44年ぶりに日本一になり、札幌市内での優勝パレードを取材する機会を得た。本拠地移転3年目で日本一になった日本ハムがすごいが、こちらも移り住んで2カ月。新庄剛志氏のように「もってるわ、オレ」とまではいかないまでも、ツイているかもしれない。
その優勝パレードの際、街の人に話を聞いて驚いたのは、だれもが「ありがとう」との言葉を口にすることだった。「いっぱい勇気をもらった選手にありがとう」と若いカップルが言えば、「道民を明るくしてくれた。本当にありがとう」と主婦が涙ながらに話していた。選手を乗せたバスが通ると「ありがとう」のコールが自然と沸き起こる。感謝を口にすることを恥ずかしいと思いがち、そんな認識の関東人(と言ったら、関東人に失礼か)にはすごく温かいものに感じられた。仕事をしていて、ほろっとさせられたのは何年ぶりだろうか。
ホッカイド競馬所属のコスモバルクを管理する田部和則調教師を取材する機会も多い。田部師もよく感謝の言葉を口にする。「ファンにありがとう。取材に来てくれてありがとう」。田部師にも温かい心をいっぱい教えてもらった。
取材先で、タクシーに乗って、1人で食事をしているとき、この道民の温かさに何度助けられ、勇気づけられたことか。そういえば、SMAPも「ありがとう」って歌っている。だれが聞いてもホッとする。そんな言葉があふれている、寒いけど温かい街が、記者の第2の故郷だ。