2006年12月16日印象的な敗者の姿
06年も終わりが近づいてきた。この時期に新聞やテレビで必ず企画されるのが10大ニュース。今年のスポーツ部門は2月のトリノ五輪女子フィギュアスケート金メダルの荒川静香、WBCの日本の優勝、日本ハムの日本一あたりが上位に入ってくるだろう。
これらに共通するのはいずれも「勝者」ということ。取材の現場にいると、もちろんひいきの選手やチームの活躍はジ~ンとくるし、労働意欲もわいてくる。しかし、今年、それ以上に印象的だったのは敗れた人たちだった。
パ・リーグのプレーオフ第2ステージ第2戦がそれだ。サヨナラ負けしたソフトバンクのエース斉藤和巳。日本ハム優勝の歓喜の傍らで片ひざを付いて立ち上がれない。チームメート2人に両肩を抱えられながらマウンドを降りる姿は「敗者の美学」という安直な言葉では片づけられない、見る者の心を揺さぶる何かがあった。
サッカーのW杯ドイツ大会もそうだった。ブラジル戦終了後、ピッチで横になり動けない中田英寿。普段、コメントを発しないため、彼の心に何が去来しているのか分かりにくいが、直後の引退表明で日本サッカー界を長年支えてきた中田の孤独が伝わってきた。
スポーツ報道は勝利至上主義だ。敗者より勝者の報道量が圧倒的に多い。陰気な負けた試合ばかり取り上げては読者も困るだろう。それでも敗者に心引かれる人は少なからずいるはず。というのも「勝ち組」ではない我々のような普通の人にとっては、敗者に自分の姿を投影しているからかもしれない。勝者の陰にいるであろう敗者のことを考えながら、06年が過ぎていこうとしている。