2007年11月20日王者の「器」の大きさ
王者の心意気に感嘆した。豊浦出身のWBC世界フライ級王者内藤大助(33=宮田ジム)が17日、北海道に凱旋(がいせん)した。18日にトークショー3件。19日は札幌法務局から1日人権擁護委員に任命され、札幌市内の中学校で講演し、いじめ撲滅を訴えた。20日も豊浦小訪問など予定がびっしりだ。期間中、常にいじめられた辛さ、乗り越えてきた苦労について熱く話していた。
内藤は今、いじめていた1人と親友だと誇らしげに話す。
内藤「その彼は今は一生懸命応援してくれている。世界戦も応援に来てくれた。最初は『注目浴びるようになったから、応援にきてくれるのだろう』と思ったが違った。チケットを売る際に『どれくらいなの』と聞かれ『2万円』と答えると『高い』『安くして』と言ってくる人はたくさんいるが、彼からは今まで1回も『安くしてくれ』と言われたことがない。『2万円』と言っても『分かった』と出してくれる」
きっと「彼」は当時のことを悔やんでいるのだろう。だから「チケットを安くして」とは言わない。東京での試合に駆け付け、内藤が戦う姿を目に焼き付けることで、当時自分がしてしまったことを忘れないようにしているのではないか。その「彼」を立派だと思う。
それ以上に内藤はすごい。いじめられていた人は何年たっても、いじめていた人とは話したくない、会いたくないというのが心理ではないだろうか。「彼」と連絡を取り、なおかつ応援してくれていることを「感謝している」と話せる器の大きさ。罪を憎んで人を憎まずを地でいく姿は、素直に格好良い。
内藤「プロレスラーのようなごつい人が『強くなれ』と言っても説得力がない。その点、僕は体も小さかったし、自分のされたことを話しながら『こういうことをされたけれど、でも立ち直れた』と伝えたい。とにかくコンプレックスを持っている人を勇気づけたい」
来年2月に予定されている2度目の防衛戦の相手は、過去3度対戦し、2度の敗戦から3度目の正直で下した前王者ポンサクレックが有力だ。幾多の困難を乗り越えてきた、志高い王者が負ける姿はイメージできない。