このページの先頭

北海道発・記者ブログ

2007年5月 9日すし屋の作法は分かるけど…

 「すし屋ではおすしを食べてください」。北海道を代表するすしの名店「すし善」の親方、嶋宮勤さんはそう言っている。すしを食べるのではなく、刺し身をつまみにただ酒を飲むだけのお客は駄目とのことである。耳が痛い。実は私がまさにそのタイプ。夜、すし店に入っても握りはまず頼まない。刺し身、または珍味系をアテにお酒をいただく。ご飯系を食べるとしたら、かんぴょう巻きを1本頼むことがある程度。いやはや困った客である。

 ところが回転ずしでは逆である。ここでは(主に日中に利用するためでもあるが)とにかく握りを食べる自分がいる。6~7皿食べたら、さっと店を出る。本来、本格的なすし店では、最初に軽く刺し身などでお酒を飲み、仕上げに握りを1人前程度食べて引き揚げるのが粋な客と言われているそうだ。泥酔するまでいるのは、ヤボ極まりないのだという。

 いや、分かってはいるのである。でも、やめられない。私が今行っているすし店は、そういう無粋な客を温かく迎えてくれる店だけである。本当は心の中で、「たまにはすしを食えよ」と言われているのかもしれないが、心優しき彼らは決して顔には出さない。私も申し訳がないものだから、自分が食べる代わりにお土産を作ってもらう。

 それはほとんど家に届くことはなく、ススキノのどこかで消える。飛び乗ったタクシーの運転手に差し上げたこともあった。スナックのお客さんで分け合って食べてもらったことも。本人の記憶にはないが、多分「オレは食ってきたから」とか言って手を出さず、帰りに空腹になってラーメンで締めていることが何度もあるはずだ。恩恵にあずかっている皆さん、たまにはうちの新聞を取ってちょうだいませませ。

本郷 昌幸(ほんごう まさゆき)

 北海道苫小牧市出身。76年北海道本社入社。東京支社編集整理、北海道本社取材記者をはじめ、販売部、営業部(現広告部)も経験。編集部では一般スポーツ中心にレジャー、事件・事故など社会ものまで幅広く取材。北大時代は将棋部に所属、北海道学生名人になったこともある。現在は酒とラーメンが趣味。1953年2月生まれ。

このページの先頭へ