2006年12月 2日「新聞社の常識」だけど…
最近、1年先に入社した先輩社員が他界した。東京在住で、地下鉄を出たところで突然倒れたという。心筋梗塞(こうそく)、54歳だった。その先輩Kさんには、入社当時いろいろなことを教えてもらった。同じ編集整理部で同じ仕事をした仲間。大学時代、全く飲まなかった私が酒を飲めるようになったのも、Kさんのおかげだった。
そのKさんの葬儀は出身地の札幌で行われたが、大阪に出張中の私は参列できなかった。後で聞くと参列者が少なく、非常に寂しいものだったという。Kさんは15年以上前に、北海道日刊スポーツを離れ別会社に移転した。その会社は東京にあるが、会社関係者は多忙なゆえ誰も出られなかったと聞く。私はそれを聞いて「そんなのって、ありか!?」と思った。
確かにマスコミに勤めていると、どうしても出られない冠婚葬祭というのはある。担当記者が現場を離れると、紙面に穴があく。代打記者を出してもしょせんは付け焼き刃の記事しか出てこない。「信頼はコツコツと何年もかけて築くものだが、崩れる時は1日だ」とはよく言われる。
私自身も結局、大阪から札幌に駆け付けることはできなかった。だが「葬儀に出たいから、明日の取材には誰か別の者を出ししてほしい」とデスクに要請したわけではなかった。「新聞社の常識」で、そんな要求が通るとは思わなかったからだ。
だが、世の中の常識に照らし合わせたらどうか。世話になった先輩(今は直接の交流がなくなったとはいえ)の葬儀だ。おまけに関連会社に勤務している先輩だ。会社にねじ込んででも出席するべきではなかったか。そんな思いに今、さいなまれている。今夜は生涯、酒を愛した(そのため命を縮めたが)Kさんのために、静かに杯を傾けよう。