2007年12月02日
ギラギラ三船と違う織田の優しさ
「椿三十郎」(日)
「織田三十郎」もなかなかの腕前である。言わずと知れた黒沢明監督作品のリメーク。オリジナルとは完全な別物と思って見ると、人間味あふれる時代劇として素直に楽しむことができた。
物語やセリフは驚くほどオリジナルに忠実だが、作りはすっかり現代版。三船敏郎のイメージとは違う、織田裕二ならではの色をしっかり打ち出している。
三船演じる三十郎は、一匹おおかみならではのすごみやギラギラ感がスクリーンからあふれ出ていた。一方、織田にそれはない。2人を比べて特に印象的だったシーンがある。「10人だ! 手前たちのやるこたあ、危なくて見ちゃいられねぇ」。思い詰めた9人の若侍を見て、加勢を決めた三十郎のセリフである。
三船も織田も口にしたが、イメージが全然違う。勝手に解釈するならば、三船は「オレに黙ってついてこい!」。一方、織田は「しょうがないなぁ。お兄ちゃんがサポートしてやる」。有無を言わせぬ強烈なリーダーシップを感じさせる三船とは対照的だ。織田三十郎には終始、相手を思いやる優しさがあふれている。豪腕無口な侍が珍しい現代には、織田のような親しみやすいキャラクターの方がなじみやすいのかもしれない。
この機会にオリジナルをあらためてDVDで見た。三船の21人斬りなど名場面ばかりで、今見ても少しも色あせていない。若い世代には、45年前の名作を手に取るきっかけになるかもしれない。その意味でも、リメークは十分意義があると思う。【近藤由美子】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)
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何しろオリジナルは黒澤明の代表作の一つで、既に娯楽時代劇の傑作としての評価が世界的に確立している。... [続きを読む]
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