2007年11月04日
生活感ないのに自然体魅力りえ
「オリヲン座からの招待状」(日)
宮沢りえは、ファンタジーの世界と相性がいいのかも知れません。10代から活躍を続け、私生活ではすったもんだも経験しました。激やせなんて言われ、マスコミに海外まで追いかけられたことも。それだけ俗な存在としてクローズアップされてきたはずなのですが、スクリーンに映る姿から不思議と生活感が漂ってきません。別に浮世離れした雰囲気というわけでもなく、実に自然体の印象なのですが…。この生活感の乏しさは、日常を切り取ることが多いテレビドラマの世界では、説得力を欠いてしまうかも知れません。ところが映画の世界では、場合によって、これほどの役に立つ武器はありません。
今回の作品でも、そんな魅力が生かされています。映画館主だった夫の病死で小さな映画館を守ることになった妻を演じます。遺志を継ぐ弟子と映画館を切り盛りしていきますが、周囲から「不義理な妻」「師匠の妻を寝取った男」と冷たい視線を送られますが、そのピュアな関係を貫こうとします。現実的に見てしまえば、なじみにくい純愛物語です。ところがりえの表情を追っていくだけで、じゃまくさい現実的な常識がそぎ落とされ、引き込まれていく感覚を覚えます。
以前取材した時に「恋愛する上で結婚という形にはまったくこだわらない」と話していました。「現実」に引きずられることなく自分のスタイルを貫く。そんな姿勢が、同世代にはない個性を発揮する力になっているのかも知れません。【松田秀彦】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)
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