2007年11月11日
泥臭くないローテクヒーロー
「ボーン・アルティメイタム」(米)
際立っていたのは、アクション物にありがちな泥臭さよりもスマートさ。シリーズ3作目だが、さらにスタイリッシュな作品に進化した気がする。
映像の見せ方がすごい。最初から手ぶれ感たっぷりの映像が続き、緊迫感に引きずり込まれていく。前作「ボーン・スプレマシー」同様コマ数が多く、すぐ場面が転換。主人公同様、こちらも息つく暇がない。圧巻は異国情緒たっぷりのモロッコでのアクションシーン。迷路のような街並みの中、屋上から屋上へと飛び回るボーンの姿はホレボレするほど格好いい。
前作のような派手なカーチェイスはないが、特定の武器を持たず1人でマシンのように敵をなぎ倒していく姿は、逆にスピード感を増した印象だ。前作の序盤のような甘ったるいロマンスもセーブ。変にロマンスに邪魔されず、テンポよく進んでいくストーリーに集中することができる。
力勝負のシーンが続いても泥臭くないのは、キャラクターによるものだろう。
ボーンは基本的にローテクだ。ローテクのヒーローといえば、「ダイ・ハード」のジョン・マクレーン。力業でねじ伏せるタイプだが、ボーンのローテクはずばぬけた頭脳の裏返し。天才を天才に見せたマット・デイモンの功績は大きい。
デイモンはハーバート大に入り、「グッド・ウィル・ハンティング」の脚本でアカデミー賞を受賞した才能あふれる人物。戦闘にも語学能力にもたけたボーンのスマートさは、デイモン自身とダブる。
今回が完結編。今後、ボーンが生まれるまでを描いた作品などができて、シリーズに傷を付けたらどうしよう…。完結編への満足感から、思わず変な心配をしてしまった。【近藤由美子】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)
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