2003年09月27日

サラリーマンの生き方とは…

「釣りバカ日誌14-お遍路大パニック-」(日)

 「もう、14話…」。そんな感慨を持ちながら「1000円」。映画スタートは88年である。ちなみにビッグコミックオリジナルで原作漫画が始まったのが79年。当時からハマちゃんは「仕事より釣り、そして家族」がポリシー。釣りの「大事」の前なら出世なんか気にしない。社長スーさんとだってサシで渡り合う。

 現実には、なかなかありえない設定は「上下関係」にキュウキュウとするサラリーマンをからかい、同時にハマちゃんに対するあこがれとなってヒットを続けてきた。

 しかし、ハマちゃんが変わらなくても、時代の方は随分と変わった。イケイケの右肩上がりの経済は崩壊し、長引く不況はご存じの通りである。「仕事より趣味、家族」は、もはやハマちゃんだけではなくなっている。

 さて14話である-。谷啓演じる上司の佐々木課長が定年間近となり、温情人事で次長に昇進。代わりにやって来たのが「上海帰り。バリバリの切れ者」と恐れられる三宅裕司新課長だ。

 初赴任の日、営業3課は、朝からピンとした緊張の空気が張りつめる。「プロセスより結果を私は求める」と話し始める三宅。アレ、ハマちゃんは? まずいよ。まだ来てない。遅刻。

 そこに「おっはよう」と場違いのニコニコ顔のハマちゃんが登場する。

 「君が浜崎君かっ。遅刻の理由を述べたまえ!」

 「息子とトイレの時間が重なりまして…」

 「もういい。浜崎君。君は、明日から朝はウンコをするな!」。

 観客は「やり手課長」&「ハマちゃん」が、この後、どう職場で対決していくか、グイッと引き込まれていく。

 が、勝負は映画後半、意外にあっけなく着く。三宅が、偶然に会社を訪れたバツイチ美人に一目ぼれし、あろうことか失そう。そのまま会社もやめて、その女性のふるさとで結婚。自然豊かな田舎生活を送り始めるのである。

 結局、「釣りバカ」は「男(サラリーマン)の生き方」を問い続けている。それは、当然、時代を反映し時代とともに変わる。

 「さて次回は? どんなサラリーマンの生き方が登場するのか?」。漫画をめくるような期待感。軽さと明るさ。後を引く楽しさである。

 【馬場龍彦】

トラックバック (1)


2003年09月21日

最強の女!アンジェリーナ

「トゥームレイダー2」(米)

 アンジェリーナ・ジョリー(28)演じるララ・クロフトはやっぱり最強の女だった。

 見どころは高さ45メートルの断がい絶壁からロープを伝って滑り降りるシーンだ。右手に銃を構え、左手だけでロープを握る。足を絡ませ、逆さまの状態で一気に滑り落ちていく。アンジェリーナが「どうしても自分でやりたい」とスタントマンを拒否して自ら挑戦したシーンだ。平然とした顔つきで、難易度の高いアクションをいとも簡単にこなしてみせる。今回はスタントやCGに頼らず、アクションのほとんどをアンジェリーナ自身が演じている。

 シュワルツェネッガー、スタローンなどハリウッドに男性アクションスターは数多くいるが、女性アクションスターといえるのは数えるほど。その第一人者としての責任を誰よりも感じているのがアンジェリーナ自身だろう。劇中で「なぜこんなに危険なまねをするの」と聞かれたララは「失望させたくないから」と答えているが、それは自身の思いでもあるはずだ。

 今回の作品では前作になかったセクシーシーンにも挑戦している。元カレを相手に濃厚なディープキスの後、馬乗りになって責め続ける。その脱ぎっぷりの見事なこと。一方でアンジェリーナの存在感が大きすぎて、共演者たちの印象があまりに薄い。強すぎるララの人間的な一面も描いてほしかった。

 【大越慈】 

トラックバック (1)


2003年09月12日

たけしがニヤリ、この料理が大評判!

「座頭市」(日)

 恐れ入った。たけしは「料理」の天才だった。だれの舌にも慣れ親しんだ「勝新太郎の座頭市」という極上のメニューを、基本的な食材は同じものを使いながら、まったく違う料理に仕上げ、テーブルに出してきた。食べてみたら、これが結構いける。後味もよく、思わず「うまかったなあ」と口にしてしまった。リメーク(再映画化)は、自分の持ち味を出そうと力が入り過ぎ、食材が持つ本来のよさを生かしきれない場合も多いが、天才たけしに心配は無用だった。

 板前たけしは「タイトルと主人公の設定以外はどう調理してもいい」と注文を受けた。まな板の上にのった食材を見つめ、おもむろに一風変わった調味料をまぶし始めた。時代劇なのにコントとタップダンス。伝説の料理人勝新太郎もびっくりの料理法だ。強引に例えれば「刺し身にはしょうゆ」という常識を破って、マヨネーズを付けてみたら意外にうまかったみたいな感じでしょうか(カツオのたたきを高知の漁師さんは船の上でそうして食べるそうです)。

 隠し味には、今まで見たことのない殺陣を用意。えいっ、や~っ! カキーンという刀のぶつかり合いはほとんどなし。勝新座頭市にはあったきる前のタメもなし。短刀をいったん抜くと、ズバッズバッズバッと間髪入れずきりすてて、あっという間に死体の山が築かれる。これがタップダンスという調味料と「リズム」という共通点でうまくからみ合っている。こんな料理(時代劇)は見たことない。いい仕事するねえ、大将! 「これがエンターテインメントっていう料理でしょ、お客さん」。板前たけしがカウンター越しでニヤリと笑った。今、この料理が全国で大評判だ。

 【松田秀彦】

トラックバック (2)


2003年09月05日

渋谷の廃墟シーンは映画史に残る!

「ドラゴン・ヘッド」(日)

 ラストの廃虚と化した渋谷駅周辺の光景に衝撃を受けた。ハチ公前広場は一面白い灰とがれきに埋もれ、駅の建物は今にも崩れそうなほど傾いている。薄汚れた「渋谷駅」「JR」の看板の文字だけがかろうじて読みとれる。廃墟の中で、灰をかぶったハチ公像だけがポツンとたたずみ、建物の壁は無数の落書きと行方不明者を捜す張り紙で覆われている。

 この映像、CGではなく全部セットだ。ウズベキスタンの東京ドーム6個分という広大な平原にオープンセットを建設。CGでは表現できない微妙なリアリティーを追求した。「戦場のピアニスト」のワルシャワのシーンにも匹敵する、映画史に残る廃墟シーンといえそうだ。

 ハリウッドのSF映画はあまりに現実離れしていて「疑似体験」するのは難しいが、今回の場所は渋谷。休日には茶髪の若い女性でにぎわう場所が舞台となっているだけに、思わず「これが現実だったら」と考えさせられてしまう。

 廃墟になった理由は映画では明かされないが、新幹線事故で生き残ったテル(妻夫木聡)とアコ(SAYAKA)がさまよいながら静岡から東京を目指す。長編映画初出演のSAYAKAは、絶望とわずかな希望が胸の中で交錯するという難しい役柄だった。その複雑な感情がスクリーンを通して伝わってくればベターだったのだが…。

 【大越慈】

トラックバック (1)


このページの先頭へ