2008年02月05日

ヒース・レジャーの死巡り問われるメディアの質

 先月22日にニューヨークの自宅で遺体で発見されたヒース・レジャーの薬物使用が疑われる映像をめぐり、ハリウッドが大騒ぎとなっています。

 ヒースの死因は現在も特定されておらず、さまざまな憶測が取りざたされる中、自ら薬物を使用していることを語る衝撃の映像が存在したことが発覚。CBCテレビの芸能番組が、その映像を独占入手し、「エンターテイメント・トゥナイト」と「インサイダー」で放映すると予告したことで、ハリウッドに大きな衝撃が走ったのです。

 2年前に撮影された問題の映像は、ハリウッドセレブ御用達のシャトーマーモント・ホテルの一室で行われたパーティーの様子を撮影したもの。映像には人物を特定できない男性が、コカインを吸引する様子などが映っており、薬物が並んだテーブルをヒースら数人が囲んでいる様子などもとらえられています。別室に当時恋人だったミッシェル・ウィリアムズと生後3カ月の長女マチルダちゃんが宿泊していたことも映像からはうかがえ、「こんなことをしたら(ミッシェルに)ひどく怒られちゃう」と話し、「1日にマリファナを5本吸っている」とも語っています。

 1月30日に翌日放送と予告編が流されると、CBSテレビには抗議が殺到。ヒースの広報事務所ID PRは、すぐに「恥ずべき最低な金もうけ」とコメントを発表し、無神経なストーリーをでっち上げるために大金を投じたと、映像を購入した番組に抗議しました。「ブロークバック・マウンテン」で共演したジェイク・ギレンホールをはじめ、ナタリー・ポートマンやロビン・ウィリアムズ、サラ・ジェシカ・パーカーらハリウッドスターも同様に、映像公開に抗議をしたといわれ、すぐにCBSが「家族を尊重して放送を中止にします」と声明を発表する騒動となりました。

 問題の映像はお蔵入りしましたが、米メディアではヒースの薬物使用疑惑を報じています。USウィークリー誌は、コカイン、ヘロインなどさまざまな薬物とアルコールの中毒であったと報じています。06年にアカデミー賞にノミネートされた直後に、ミッシェルはリハビリ施設への入所を勧め、マリブにある高級リハビリ施設まで連れて行ったものの、ヒースは入所を拒み、それ以来2人の間で口論が絶えなくなったと伝えています。2人の破局の原因も、ヒースの薬物中毒にあったといわれており、破局後は寂しさを紛らわすためにさらに薬物に手を出すようになったともいわれています。

 しかし、初期の司法解剖では違法薬物は一切検出されておらず、死因をめぐっては、睡眠薬など処方薬を誤って大量に摂取したことが原因との見方が強まっています。

 今回の騒動の背景には、パリス・ヒルトンの収監やブリトニー・スピアーズの奇行がトップニュースとして扱われる昨今のメディアのあり方があります。イラク戦争やさまざまな世界情勢など報道するべきニュースがたくさんある中で、多くのメディアがハリウッドセレブのスキャンダルをトップニュースで報じることに疑問を投げかける声も数多く聞こえています。今回の1件もそんなセンセーショナリズムを追求しすぎるメディアへの反発と取ることもできるでしょう。

 若すぎるヒースの死は多くのハリウッド関係者にも大きな衝撃を与えています。2日にロサンゼルスで行われたヒースをしのぶ会には、トム・クルーズとケイティ・ホームズ夫妻やシエナ・ミラー、シャニン・ソサモンら多くの俳優仲間、監督らが参列。もちろんミッシェルの姿もありました。ミッシェルは「どうか静かに彼の死を悼む時間をください。私の心は張り裂けそうです」とプライバシーの尊重を求めるコメントを発表しています。

 亡くなった人の薬物使用疑惑を興味本位に今更暴くことに何の意味があるのでしょうか。大切な人を失った遺族やファンの気持ちを察すると、このような映像に莫大(ばくだい)な金額を支払い、放映することに意義は感じられません。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

February 5, 2008 09:26 AM

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