2007年11月06日

WGAスト長期化ならテレビドラマに影響

 ロサンゼルス時間5日午前0時1分、ついにハリウッドの脚本家たちがストに突入した。

 全米脚本家組合(WGA)は、10月いっぱいで映画・テレビ製作者共同組合(AMPTP)との契約が切れることを機に、数カ月間にわたって両者の間で労使交渉が行われてきた。WGAはDVD販売やインターネットに作品が配信される際の2次使用料の大幅な増額を求めてきたが、AMPTPは受け入れを拒絶していた。WGAは1日にストを決行すると発表していたが、3日午後になって急きょ、ストを避けるための土壇場交渉が行われたが、ここでも和解には至らずに決裂に終わった。

 ストを決行するのは、ハリウッド映画やテレビドラマの脚本家約1万2000人。5日にはハリウッドのスタジオ前やニューヨークなどでピケラインを張った他、撮影ロケ地として知られるボストンやラスベガスなど全米各地でも大規模なストを行うという。WGAは1988年以来、約20年ぶりのストとなるが、長期化した場合、長期化計画で製作される映画と違い、真っ先に影響を受けるのがテレビドラマだといわれている。映画スタジオもテレビ局も、ストを想定してある程度脚本のストックは蓄えているものの、毎週放映するテレビドラマは、長期化すれば脚本が底を付いて、シーズン途中で打ち切りに追い込まれることは避けられない。

 テレビ局各社は、ストによって番組の編成スケジュールを変更する予定はないとコメントしているが、脚本が底をついた時点でドラマの撮影はストップせざるを得ない。その場合は再放送で穴埋めをするとの考えを示しているが、それだけではすぐに飽きられてしまう。そこで、考えられるのが、脚本のいらないリアリティー番組の製作だ。演技や脚本のいらない素人出演番組は、確かにこの数年で人気を博している。アイドルを発掘するオーデョション番組「アメリカンアイドル」から、パリス・ヒルトンと二コール・リッチーが田舎の農村で生活する「シンプルライフ」まで、さまざまなリアリティー番組が製作されている。テレビ局にとって、高い脚本料を支払わずとも簡単に製作できるリアリティー番組は、ストの穴埋めとしても重宝されることでしょう。

 NBCテレビは、ストが決行された場合、深夜に放送されている人気トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」が、5日から再放送に切り替わることを発表した。他のトークショーにも順次、再放送へと切り替わると見られ、すでにストの影響が出始めている。視聴率の高い人気番組は、来年1月まで放送できるだけの脚本はストックしているというが、ストが数カ月間に及んだ場合は、現在放送中の大ヒットドラマ「ヒーローズ」なども影響を受けて、途中で打ち切りになる可能性も出ている。人気ドラマの打ち切りや、質の悪いリアリティー番組のたれ流しなど、テレビ各局はしばらく苦戦を強いられることになりそうだ。

 1988年に行われた前回のストは、22週間にも及び、業界全体で5億ドルもの損害を出したといわれている。WGA側は、「脚本家がいないと作品が作れない」と、自分たちが交渉において有利な立場であることを強調しており、強行な姿勢を崩していない。AMPTP側も「ストに対する備えはできている」と語っていたことから、今回も長期化は避けられないとの見方も強まっている。

 焦点はインターネット時代の新しい利益配分方法を巡る争いだけに、今回の交渉内容は、来夏に予定されている米俳優組合と監督組合の労使交渉にも大きな影響を及ぼすと見られている。将来的に映画やテレビドラマのオンライン配信が普及することは確実的で、大きな利益を生むと考えられるからだ。脚本家と同様に不満を募らせる俳優や監督らも足並みをそろえてストに突入することも十分に考えられ、ハリウッドが大混乱に陥る日も近いかもしれない。

 (このコラムの更新は毎週火曜日です)

November 6, 2007 11:08 AM

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