2007年10月09日

ストライキでハリウッド映画がなくなる!?

 ハリウッド映画がストライキで見られなくなる?

 2001年に起きたハリウッドのストライキ騒動を覚えている人も多いと思いますが、ハリウッドは今、再びストライキの危機に直面しています。

 31日に映画・テレビ製作者共同組合(AMPTP)と全米脚本家組合(WGA)の協定が失効することに伴い、7月から両者間で行なわれてきた交渉が難航しているからです。組合側はDVD収益の配当を現在の2倍とするよう求めているほか、脚本家が関わったケーブテレビやインターネットなど新たなメディアに対する配分の向上も求めており、今だ互いの主張が大きくかけ離れたままだと言われています。米メディアはこのままストライキに突入する可能性もあり得ると報じており、脚本が出来上がらないために新作映画の撮影がストップし、結果的に多くの作品の公開が延期される最悪のシナリオが現実となることも充分考えられます。

 01年はメジャー系映画会社とテレビ局との間で締結されていたWGAの労働協約、映画俳優組合(SAG)と米国テレビラジオ芸術家連合(AFTRA)の労働条件や収入の配分に関する契約が切れることを機に、組合側が「ストライキも辞さない」強固な態度で交渉に臨んだことで、映画制作がストップする危機に直面。結局はギリギリのところでストライキは回避されたものの、一時は8万人もの人が失業し、多大な経済損失を生み出すと懸念されたほどでした。

 例え6年前と同様に今回も直前でストライキを回避することができたとしても、来年6月にはSAGと全米監督組合(DGA)との協定が共に失効するため、来夏には再び大規模なストライキの危機に直面することは明らか。もし、これら3組合が一斉にストライキに突入したなら、ハリウッド映画に関わる23万6000人もの人が職を失うことになってしまい、その経済損失は計り知れません。もちろんその中には、ハリウッド俳優や監督も含まれており、来年秋以降のハリウッド映画やテレビドラマは大激変してしまうことでしょう。

 1988年にWGAとAMPTPの交渉が決裂し、22週間にわたるストライキが行なわれた時は、5億ドルもの損害が出たと言われています。ストライキが長期化すれば、失業や経済損失だけでなく、映画館から映画が消え、テレビからはドラマが消えるという最悪の事態にもなりかねません。

 各映画スタジオは、ストライキになっても通常通り映画が公開できるように、普段の倍以上のスピードで映画制作を進め、ストライキ突入期限となる来年6月30日までに、現在製作が決まっている300本以上の作品の撮影を全て終えなければなりません。

 その影響は公開作品数が激減するだけでなく、スターのスケジュール調整にも大きな影響を及ぼします。売れっ子スターは、いわゆるオーバーブッキング状態になってしまい、予定していた作品に出演できなくなる可能性も出てきます。01年のストライキ騒動の時には、多くのスターがスケジュール調整ができず、出演が決まっていた作品を降板するという事態が続出しました。例えば、マット・デーモンが他の撮影時期と重なったことで、「マイノリティ・レポート」を降板。後釜に出演したコリン・ファレルが同作品をきっかけにスターになるおまけもありました。ジョディ・フォスターも「パニック・ルーム」に出演するために、カンヌの審査委員長を辞退したり、マイケル・ダグラスが「オーシャンズ11」を降板するなど、誰もが前倒しの撮影スケジュールに翻弄され、その犠牲となったのです。

 現在製作が決まっている全ての作品を短期間で撮り終えるのは不可能との声も多く、当然ながら公開延期や撮影中止に追い込まれる作品も出てくることでしょう。現在もっとも影響が出そうな作品は、公開が決まっている「ハリー・ポッター」「ナルニア国物語」などシリーズもの。そして、09年夏公開予定の「トランス・フォーマー」の続編も少なからず影響を受けると見られています。

 苦肉の策として6年前は過去の作品のリバイバル版が多数公開されましたが、映画スタジオやテレビ局は今から、ストライキ対策に頭を悩ませているに違いありません。【千歳香奈子】

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

October 9, 2007 12:08 PM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/12663