2007年05月01日

セレブ絶賛のおバカ映画「ボラット-」日本では…

 昨秋にアメリカ全土を笑いの渦に巻き込み、空前の大ヒットを飛ばした映画「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」が、いよいよ日本に上陸することが決まったようです。下ネタ、人種差別、女性蔑視が満載の、あまりに過激な内容のため、日本ではお蔵入りかも?と思っていたのですが、果たして日本人にこの手のギャクが通じるのでしょうか…。

 カザフスタン国営テレビのレポーター、ボラットが、アメリカを旅しながら突撃取材をするというドキュメンタリーで、文化の違いから行く先々で問題を起こして逮捕されそうになったり、人々を激怒させたりする珍道中が繰り広げられているのですが、とにかくそれが自虐的で面白いのです。連日映画館の前には行列ができ、劇場内は笑いの渦に包まれ、おなかを抱えて笑い転げる人もいたほど。

 ネタバレになってしまいますが、ちょっとだけ内容をあげてみると、真昼間にニューヨークのトランプタワーの前でパンツを下ろして用を足してみたり、一般家庭で水洗トイレの使い方が分からずに排泄物をビニール袋に入れて食卓に持っていって唖然とされたり、ホテルで全裸で乱闘騒ぎをしたりと、下ネタ話題は枚挙にいとまがありあません。

 他にもブッシュ大統領の故郷テキサスで行われたロデオ大会で、来賓として米国歌を歌った際には「アフガニスタンはアメリカのテロ戦争(本当は対テロ戦争)を支援します」と挨拶し、アメリカ国歌をめちゃくちゃな歌詞で歌って大ブーイングされたり、「ユダヤ人に殺される」「女性の脳みそは男性より小さい」と真顔で言ってみたり、一目惚れした女優パメラ・アンダーソンをめとろうとヒッチハイクでロサンゼルスに向かったり…。とにかくハチャメチャなのです。

 その過程で、垣間見せるアメリカ人の本音や態度に思わず笑ってしまうというのがこの映画の売りなのですが、実際には全てがヤラセでボラットは、英コメディアン、サシャ・バロン・コーエンが作り出した架空のキャラクターなのです。しかしながら、撮影にあたってはほとんど事前に許可を得ずに行っていたことから、出演している人たちの多くは本物のカザフスタン人レポーターであると信じていたというのだから、リアクションが面白くて当たり前なのかもしれません。

 公開された直後から、「ボラットにだまされた」という訴訟が何件も起こされており、中には「ほろ酔いの時にスタッフから声をかけられ、撮影時には泥酔状態になるまで飲まされた」と主張するヒッチハイクを共にした大学生3人組もいたほど。彼らは映画の中で「ロシア女は最高の売春婦だー」「アメリカ人も奴隷を持つべきだー」などと、ボラットと共に大騒ぎする、おバカ丸出しの醜態をさらしてしまっているのだから同情してしまう。

 そればかりか「我々は馬の尿を飲む」などの変な習慣や偏見丸出しの言動でバカにされたカザフスタン政府までもが、「ボラットなどという男はわが国にはいない。こんな映画は認めない!」とコメントを出すほど激怒。国際問題にまで発展するという異例の事態になっているのです。劇中でボラットが話していたカザフスタン語も実はデタラメで、本当はポーランド語であったことが判明。しかし、そんなバッシングを諸共せず全米で1億2000ドルを超える大ヒットとなった要因は、やはりコーエンの演技力と計算が大きいのかもしれません。

 ボラットは、もともとはイギリスで放送されたテレビ番組のキャラクターで、イギリスで大人気になった後、アメリカに上陸して話題となった人物。コーエンはこの作品のPRのためにテレビに出演した時もボラットとして受け答えをし、プレミア上映会など公の場でもいつもボラットとして振舞うことに徹していました。そのためボラット(=コーエン)を本物のカザフスタン人レポーターだと疑わず、本気で信じていた人もいたほど。コーエンは昨年のゴールデン・グローブ賞でコメディ部門の最優秀主演男優賞に輝き、評論家のみならずキャメロン・ディアスまでもが「ボラット最高!」とコメントするほど賞賛されたのです。

 アメリカ人を思いっきり皮肉った社会風刺コメディとして笑い飛ばせるのか、はたまた下ネタ連発の下品さに引いてしまうか、文化の違いでまったく面白さを理解できないか…。賛否両論の反応があることでしょう。

 なぜここまで評論家やセレブが「ボラット」を大絶賛するのか興味のある方は、26日から全国でロードショーされるので劇場に足を運んでみてはいかがですか?

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

May 1, 2007 09:57 AM

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