2007年03月20日
R指定映画「300」が異例の大ヒット
9日に全米公開された歴史アクション映画「300<スリー・ハンドレッド>」(6月上旬日本公開予定)が、R指定映画としては異例の大ヒットとなり、大きな話題となっています。
フランク・ミラーによる叙事詩的同名グラフィック・ノベルを基に、紀元前480年のスパルタ王レオニダスが率いる300人のスパルタ兵と圧倒的な数を誇るペルシア軍の死闘を描いた伝説「テルモピュライの戦い」を映画化。実写とCGを融合させた壮絶なバトルシーンが売りのヒーローものです。公開3日間で7090万ドルを稼ぎ、2週連続で興行収入ランキング1位に輝く好調な滑り出しで、今年上半期を代表する大ヒット作になることは間違いなさそうです。
首が飛ぶなど血なまぐさいシーンが多く、残虐的な暴力表現や性的描写に対して区分されるR指定が付いているだけでなく、スパルタ王を演じたジェラルド・バトラーは「オペラ座の怪人」などに出演していますが知名度はまだ今一つで、いわゆるスター俳優は出演していません。そのためハリウッド業界内では、「アクションスターのいないR指定映画が大ヒットした」として大きな衝撃となっています。ザック・スナイダー監督自身もエンターテインメント誌のインタビューで、「たかが6000万ドルの映画が、こんなにヒットするとは思っていなかった」と本音を漏らしているほどです。
R指定が付くと観客層が限定され、興行収入に影響を及ぼすことから、ハリウッドではアクション映画を製作する際には各スタジオとも様々な手法を用いて、PG13(13歳未満は保護者の同意が必要)にする努力をしています。さらにこれまでのハリウッドの歴史アクション大作で大ヒットした作品と言えば、ラッセル・クロウ主演の「グラディエーター」やブラッド・ピットとオーランド・ブルームが共演した「トロイ」など、スター俳優を起用した作品が多く、今回のようにR指定、スター俳優なし、低予算(「トロイ」の約3分の1)の3拍子がそろった作品の大ヒットは極めて珍しいといえます。
ヒット要因の一つにR指定作品ながらあくまでも原作のファンである若者層にターゲットを絞った宣伝方法があげられています。会員制ネット交流サービスを利用したプロモーションやネットでの予告編の公開。さらにコミック・コンベンションで特別編の公開と監督による講演を行うなど、ファン向けのプロモーション活動が功を奏したのでしょう。さらに、公開前に映像の一部がユーチューブに流出したことも結果的にはより多くの観客に興味を持たせるきっかけとなったことは否めません。
巨額の制作費を投じてスター俳優を集めても興行面で大失敗する作品も多い中で、この作品の成功は大きな意味を持っています。「危機感を感じている人も多いはず。今後のハリウッド映画の方向性を左右するかもしれない」と、コメントする専門家もいるほどです。
スター俳優のギャラの高騰が問題視されている中、スター不在でもCGを駆使したスペクタクルな映像、ストーリーや脚本、宣伝方法などで大ヒット作品が生み出すことができることが実証されてしまいました。もう、アクションスターの時代は終わったとさえ感じた人も多いはずです。さらに、CGの技術が進歩したことでこれまで不可能だったことも映像化が可能となり、俳優を雇うよりも安く映画が作れるとなると、これまでの映画製作のあり方そのものが根底から覆される恐れもあります。
原作のファンにとっては、CG技術の進歩があったからこそ実現できた映像に釘付けになったことでしょう。しかし、CGで作られた作品は描いている時代はいつであれ、そこにはいかにも21世紀的な匂いがして、テレビゲームを見ているような気分になることが多いのも確かです。全ての作品が同様の手法で作られてもヒットするとは限らないはずで、実写とCGの調和があればこその究極の映画作りを追求する時代になってくるのでしょうか。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
March 20, 2007 02:47 PM
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トラックバック時刻: 2007年03月21日 09:11
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新宿バルト9で映画「300」の先行上映を見た。テルモピュライの戦い。ペルシャ帝国の大軍を前にして、ギリシャ全土を守るために退却も降伏もせずに全滅したスパ... [続きを読む]
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