2007年01月16日

菊地とハドソンの「アメリカンドリーム対決」

 第64回ゴールデン・グローブ賞授賞式がいよいよ、日本時間16日午前10時に始まりました。今回の注目は、何と言っても「バベル」で聾唖(ろうあ)の高校生を演じた菊地凛子(26)の受賞。日本人として、「ラストサムライ」の渡辺謙以来となるノミネートを果たした菊地は、23日に候補者が発表となるアカデミー賞でも有力候補にあげられています。

 今回の賞レースで、菊地と激しい争いを繰り広げているのは「ドリームガールズ」でエフィー役を演じたジェニファー・ハドソン(25)。共にハリウッド映画初デビューの新人。無名新人2人がいきなり、賞レースの筆頭候補に挙がっていることで、「アメリカンドリーム対決」としてメディアも賞レースの行方に注目しています。

 菊地は、SMAP木村拓哉と共演した富士通のパソコンFMVのテレビCMに出演していますが、日本での知名度はまだ今ひとつ。そんな彼女が日本でのブレークより一足先にハリウッドに「Rinko Kikuchi」の名前を知らしめたのがブラッド・ピットと共演した「バベル」。聾唖の高校生役で、全裸のヌードシーンにも挑戦する難しい役どころだが、ブラピやケイト・ブランシェットといったそうそうたるビッグスターとの共演にもかかわらず、堂々とした演技で観客を魅了。公開直後から「あのアジア人は誰だ?」とその存在感、演技力が注目され、次回作オファーが殺到するなど、すでにハリウッドでの成功の切符を手に入れている。

 そんな菊地に対抗しているのが、04年に人気オーディション番組「アメリカン・ドリーム」で辛口審査員のサイモン・コーウェル氏に「力不足」と切り捨てられたハドソン。決勝戦で最後の12人まで残りながら途中で敗退したため、念願のソロデビューの夢はかなわなかったが、ニューヨークで行われた「ドリームガールズ」の試写会ではその歌声にスタンディングオベーションが起こったほど抜群の歌唱力で観客を魅了。歌だけでなく、演技の評価も高く、女優としての将来性も大いに期待されています。

 シカゴの貧困地区に生まれ、スターへの道を夢見ながらクルーズ船で下積みの歌手時代を過ごしたハドソンは、「アメリカン・ドリーム」での悔しさをバネに「ドリームガールズ」のオーディションを受け、約800人の中から見事にエフィー役を獲得したシンデレラガール。10キロの減量に挑戦してまで主演のディーナ・ジョーンズ役に臨んだ歌姫ビヨンセ・ノウルズに「私もあの役をやりたかった」と言わしめたほど映画の中での存在感は際立っていた。エフィー役は超ビッグサイズの役で、当初はスリムなディーナ役を演じたビヨンセが主演女優賞候補と言われいたが、結果的にはダークホース的存在だったハドソンに注目が集まってしまい、2人の不仲説もささやかれるなど撮影現場でも大物ぶりを存分に発揮していた。

 「ドリームガールズ」は80年代に大ヒットした同名のブロードウェーミュージカルを映画化したもので、1960年代を舞台に歌手を目指すエフィー、ディーナ、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)のトリオが、挫折を経験しながらスターへの道を駆け上がる物語。エフィーは、美人のリードボーカル、ディーナには外見的に見劣りするものの、才能は上という設定。まさに、映画さながらのサクセスストーリーなのです。

 2人は全米映画評論委員会賞(ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞)で、そろって新人女優賞を受賞。数百人のオーディションを勝ち抜いたデビュー作でいきなりアカデミー賞有力候補にあがるなど共通点も多い2人は、どちらが助演女優賞に輝いてもおかしくないほど互角の戦いを繰り広げている。

 衝撃的な全裸のヌードシーンについて、「大したことではない」と言い切った潔さが受けている菊地。一方のハドソンも、スターへの夢を打ち砕いたコーウェル氏に対し、「オスカーをもらったら感謝の意を述べたい。彼が私の闘争心に火を付けてくれたのだから」と話すほどのハングリー精神の持ち主。共に81年生まれという年齢的な共通点もライバル意識を高めるきっかけになっているのではないでしょうか。

 アカデミー賞の前哨戦を制してスターダムに上り詰めるのはどちらなのか。発表が待ち遠しい。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

January 16, 2007 01:02 PM

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