2007年01月30日

サプライズ連発?! 今年のアカデミー賞

 今年のアカデミー賞は、予想外のノミネートが相次ぐ波乱万丈の幕開けとなりました。例年多少のサプライズはあるものの、今年は近年まれに見る大番狂わせの連続。これから、2月25日(日本時間26日)の本番まで各部門とも激烈な争いを繰り広げることになりそうです。

 今年の作品賞は、最後の最後までどの作品が候補入りするのか、予想するのがもっとも難しい年だったと言われています。そして発表されたのは、「バベル」「硫黄島からの手紙」「ディパーテッド」「クイーン」「ミス・リトル・サンシャイン」でした。最初の4作品はほぼ大方の予想通りでしたが、「ミス・-」の候補入りは大きなサプライズとなりました。

 そして何と言っても今年の最大のサプライズは最多8部門にノミネートされた「ドリームガールズ」が、最多ノミネート作品としては史上初めて作品賞のノミネートを逃したこと。作品賞のみならず、監督賞でも候補入りしないという事態に誰もが大いに驚いています。もっとも重要な2つの賞を逃した「ドリームガールズ」は、エディ・マーフィーの助演男優賞、ジェニファー・ハドソンの助演女優賞で最有力候補にあがっています。

 助演男優賞部門も大波乱。ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされ、アカデミー賞ノミネートも確実視されていたブラッド・ピットが落選。さらに、有力候補だった「ハリウッドランド」のベン・アフレックや「ディパーテッド」のジャック・ニコルソンも相次いで候補から漏れ、代わりにノミネートされたのは「ディパーテッド」のマーク・ウォルバーグというまったく予想外の展開。

 主演男優賞部門では、レオナルド・ディカプリオが予想を裏切り「ブラッド・ダイヤモンド」でノミネートされました。多くの批評家は「ディパーテッド」を絶賛していただけにこちらも意外な展開に。また、ライアン・ゴズリングの候補入りも予想外で、こちらも驚いた関係者が多かったはず。

 菊地凛子がノミネートされて話題の助演女優賞部門でも、「リトル・ミス・-」の子役アビゲイル・ブレスリンが候補入りする波乱。「バベル」で菊地と共演したアドリアナ・バラッザもノミネートされ、激戦を繰り広げている。

 そして今年のアカデミー賞の最大の特徴は、史上まれに見る「インターナショナル」な作品、俳優が出そろったこと。作品賞だけ見ても、米国が舞台になっているのは「ディパーテッド」と「リトル・ミス・-」だけ。しかも「ディパーテッド」は、香港映画のリメイク作品であることを考えると、実質的には1作品のみとなります。「バベル」は日本、モロッコ、メキシコ、米国が舞台で、3大陸で撮影され、4つの言語が使われている。「硫黄島からの手紙」の舞台はもちろん日本だし、「クイーン」は英国のロイヤルファミリーを描いてた作品。全編外国語の字幕作品である「硫黄島からの手紙」が作品賞にノミネートされたことも大きな快挙。字幕作品が過去、アカデミー賞作品賞を受賞したことはないだけに、大きな期待が持たれています。

 俳優部門でも「インターナショナル」な顔ぶれが出そろっています。主演男優部門のウィル・スミスを初め、今年は5人の黒人がノミネートを果たし、主演女優賞にスペイン人のペネロペ・クルス、助演女優賞にメキシコ人のバラッザ、日本人の菊地がノミネートされるなど、同賞始まって以来の多人種ノミネートが大きな話題となっています。

 9・11同時多発テロ以降、米国は国境警備を厳しくし、外国人の受け入れに消極的な姿勢を示しているため、外国人には住みにくい環境が続いている。それが映画の世界では逆にボーダレス化が進み、外国人や外国語の作品を受け入れる傾向が強まっており、それが今回のノミネートにも顕著に現れているように感じます。

 実際にノミネートされた人々の多くは、ハリウッドの国際化を喜んでいます。「米国が国境を極力閉鎖しようというこの時期に、このような結果になったことは素晴らしい」と、「バベル」で監督賞にノミネートされているメキシコ人のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督。「アカデミー賞が映画で世界の国境を開けてくれたことは祝うべきこと」と助演男優賞にノミネートされているアフリカ出身のジャイモン・ハンスゥ。「メキシコ人として誇り。アカデミー賞にノミネートされるなんてことはありえなかったのだから」とバラッザ。と、いずれもハリウッドが海外や海外の作品に興味を示すことを支持しています。

 デンゼル・ワシントンとハル・ベリーという黒人俳優が史上初めて主演賞をW受賞してから5年。今年は「史上初の外国語作品が受賞」の見出しを見られることを楽しみにしています。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

January 30, 2007 12:26 PM

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