2006年11月01日

菊地凛子、ハリウッドの注目度急上昇

 ハリウッドで今、ある日本人女優が注目を浴びています。彼女の名前は菊地凛子。でも、名前を聞いてもすぐに顔を思い浮かべることが出来ない人も多いのではないでしょうか。

 富士通FMVのテレビCMで満月を見てウサギに変身してしまう木村拓哉と共演していた女優と言えば、すぐに分かるのではないでしょうか。他にもローソンやNTTドコモ、キリン円熟などのCMでおなじみのあの女優さんです。

 何と、彼女は来年のアカデミー賞の助演女優賞候補に挙がっているのです。米メディアもこぞって、インタビュー記事を掲載するなど注目度は急上昇。本当に、ひょっとすると、「ラストサムライ」で助演男優賞候補になった渡辺謙以来となる日本人俳優のノミネートのみならず、50年ぶりとなる日本人で史上2人目のアカデミー賞受賞の快挙となるかもしれないのです。

 27日に全米公開されたブラッド・ピット主演の「バベル」で菊地は、役所広司の娘で、聴覚障害のある高校生を演じ、ハリウッドデビューを果たしたばかり。もちろん、ハリウッドでも無名な菊地ですが、初出演作品でいきなり全米メディアから大絶賛を受けているのです。公開前から「エンターテイメント・ウィークリー」と「ローリング・ストーン」と言った有名雑誌で紹介されたり、USAトゥデイ紙が演技を絶賛するなど新人でしかも外国人としては異例の注目度。29日付けのロサンゼルス・タイムズ紙では、3分の2ページも使ったカラーのインタビュー記事が掲載されました。

 なぜ、日本人の無名女優がハリウッドでここまで注目を集めているのでしょうか。同作は旧約聖書の「バベルの塔」をモチーフにした作品で、現代世界が抱える「意思疎通」つまりコミュニケーションの欠落がテーマ。米国、モロッコ、メキシコ、そして日本の世界4カ国を舞台に、4つの人間ドラマが展開されている。菊地は、日本のシーンに登場しているのですが、今年5月に開催されたカンヌ映画祭では作品もさることながら、批評家たちは菊地の演技力を高く評価したのです。

 聾唖(ろうあ)の少女を演じた菊地は、言葉を一切発せず、手話と表情だけで思春期の悩みや怒り、欲求不満の感情、母親の自殺との葛藤などを表現しています。言葉を発しない分、難しい演技力が要求されるが、表情が怒りから突然、感動に変わるなど、微妙なキャラクターの感情を見事に表現しています。

 「菊地は役柄が持つ通常と異常の2面性を伝える能力を持っている」とLAタイムズ紙はその演技を絶賛しています。

 この役を獲得するために、聾唖学校に通い、手話を学びました。そして、1年間に渡る長期オーディションに参加し、約1000人の中から見事に役を勝ち取ったのです。役作りのために体重を5キロ増やし、大胆なヌードシーンにも挑戦しています。

 そんな菊地を、ハリウッドがほっておくはずはなく、ハリウッドで大活躍を続ける第2の渡辺謙になることは間違いないでしょう。LAタイムズ紙によれば、すでにハリウッドからいつくかオファーの声がかかっているといいます。「ケン・ローチ、ティム・バートン、ウッディ・アレンと仕事がしてみたい」。菊地はこうインタビューで語っていますが、実現する日も近いかもしれません。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

November 1, 2006 01:05 PM

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