2006年09月12日

オスカー前哨戦? トロント映画祭開催

 日本ではあまりメジャーではありませんが、英語圏では最大の映画祭「トロント国際映画祭」が7日から開催されています。3863本の応募作品から選ばれた世界61カ国の352作品が公開され、うち256本は長編という充実ぶり。10月から本格化するオスカーレースを前に、初お披露目される注目作品も多数あり、ハリウッドのトップスターたちも大挙してトロント入りしています。

 大手スタジオのメジャー作品だけでなく、インディペンデント作品も数多く出品され、近年はアカデミー賞を左右する賞とまで言われるほど。「カンヌ映画祭よりもハイプロファイルな作品が集まる」とバラエティー紙でも評され、ここで評判のよかった作品はオスカーレースの筆頭候補にあがる傾向が強くなっています。

 今年のアカデミー賞で監督賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」も、昨年のトロント映画祭で上映され、メディアの絶賛を受けた作品です。

 そんな今年のトロント映画祭でひときわ注目を集めているのが、マイケル・ムーア監督の新作「シッコ(原題)」(07年公開予定)と、ブッシュ米大統領暗殺を描いた「デス・オブ・ア・プレジデント(原題)」。

 反ブッシュ政権映画「華氏911」以来2年ぶりとなるムーア監督の新作は、米国の医療問題に鋭くメスを入れた作品。ダイジェスト版が初お披露目され、「シッコ」コールと拍手喝采を浴びました。来年の公開に向けて好感触を得たムーア監督は上機嫌だったと言います。英国のチャンネル4で10月に放映されることが決まっている「デス・オブ-」は、それに先立ちトロントで世界初公開となったもの。過去の資料映像とCGをミックスし、リアルなドキュメンタリータッチで描かれた作品は、フィクションながらかなりの衝撃。もちろんCGで作った大統領暗殺シーンも登場するというだけあり、公開前から「無責任」との批判の声も上がっていました。

 他にもブラッド・ピット主演の「バベル」や、ピューリッツア賞小説を映画化したショーン・ペン主演の「オール・ザ・キングス・マン」など、来年のアカデミー賞の筆頭候補作品も次々に披露目されています。

 この映画祭の人気の秘訣は、何と言っても審査員が各部門の賞を選ぶのではなく、映画祭を訪れた観客が賞を選出するという点。最高賞は「ピープルズ・チョイス・アワード」と呼ばれ、観客にもっとも人気のあった作品が選ばれるのです。観客の志向がダイレクトに反映される分だけ、関係者にとっては最高のリサーチの場となる。ここで手応えを得れば、その後のアカデミー賞レースに向けたキャンペーンもやりやすくなるわけです。

 16日に閉幕する今年の映画際で、どの作品が最高賞を受賞するのでしょうか。トロント国際映画祭が終われば、ハリウッドは一気にオスカーレースに突入です。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

September 12, 2006 12:29 PM

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