2006年05月30日
ゴア元副大統領の挑戦状
2000年の大統領選でブッシュ大統領に敗れたアル・ゴア元副大統領が、ドキュメンタリー映画「Inconvenient Truth(不都合な真実)」で、ブッシュ政権に挑戦状をたたきつけました。
ゴア元副大統領といえばブッシュ大統領のフロリダ州での不正行為が原因で大統領選に敗北したことで知られていますが、そんなゴア氏がブッシュ大統領が及び腰の「地球温暖化問題」を取り上げたまじめなドキュメンタリー映画を制作し、真っ向から対立しています。
石油業界出身のブッシュ大統領は、地球温暖化対策としてほとんどの先進工業国(アメリカとオーストラリア以外)が推進している京都議定書の実行を拒否しており、いまだに何の対策も講じていません。最近になってようやく石油輸入に頼らずに代替燃料を開発することを推奨していますが、環境問題への対応の遅れは環境保護団体からも酷評されています。
もともとジャーナリストとして環境問題に関心が強かったゴア元副大統領は、自身のライフワークとしている地球温暖化問題についての情報をスライドやコンピュータグラフィックーを使ったマルチメディアで見せる講演会を世界各地で行い、「このままだとあと10年で地球は破滅する」と、迫り来る危機について真剣に訴えていたことはあまり知られていません。彼のそんな活動に焦点を当ててたこのドキュメンタリー映画は、的確な情報とビジュアルを多用した分かりやすい解説で、誰もが地球の将来を心配せずにはいられない内容になっています。同時に見終わった後は「もしあの時、ゴアが大統領になっていたら、きっとアメリカの環境問題への政策は180度変っていたに違いない!」と悔やむ気持ちでいっぱいになります。
綿密なリサーチで集めらた情報は、驚きの連続です。遠い未来ではなく、近い将来すぐにやってくるであろう危機をはっきりと感じ取ることができます。アメリカの排気ガス対策は世界でも最低レベルで、なんと中国以下という結果には開いた口がふさがりません。すでに世界各地で大規模な自然環境破壊が起きている事実、このまま温暖化が進めばマンハッタン、サンフランシスコなどアメリカのベイエリアも海の底に沈むこと…と、かなりショッキングな事実が次々と示されていきます。それは、何百年という先の話ではなく、わずか十数年後のことだといいます。「我々に残された時間は10年」とゴア氏は言います。このままでは私たち自身の将来、そして子供たちに未来はないかもしれないのです。私たちは他人事としてこの問題を見てはいけません。1人ひとりが出来ることをし、そしてやはり国レベルで環境問題に取り組むことが出来るリーダーを選ぶべきだということを、少しでも多くのアメリカ人に再認識して欲しいですね。そして、2年後の大統領選ではもう過去ののんきにような過ちを犯さないように願っています。
「私たちはテロの脅威にさらされているだけではない。地球温暖化と言う脅威に我々はさらされているのです。私たちができることは選挙に参加し、正しい大統領を選ぶこと」とゴア氏は訴えます。もう地球温暖化をブッシュ政権には任せておけない、これはもう単なる政治問題ではない、という強いメッセージが込められているように感じました。
これは次期大統領選出馬へのアピールの一環なのかもしれないとのむきもありますが、ゴア氏自身は出馬の噂を否定しており、ブッシュ政権を批判する作品ではないと主張しています。「これは私に課せられたミッションのように感じている」とゴア氏、今後も政党を問わず、地球温暖化への取り組みを行うよう政府へ働きかけを行っていくつもりだといいます。
この後に及んでもブッシュ大統領はこの作品について問われ、「たぶん見ることはない」とのんきに答えています。排気ガスが充満するロサンゼルスに住んでいる者としては、二酸化炭素を吐き出すだけのアメリカが、この作品を機に真剣に環境問題に取り組むことを祈っています。私も身近に出来ることから、地球温暖化対策をやっていこうと心に決めたことは言うまでもありません。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
May 30, 2006 01:05 PM
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