2006年05月23日

「ダ・ヴィンチ-」予想外の大ヒット

 世界中で大きな論争を巻き起こしている「ダ・ヴィンチ・コード」。公開直前になって各メディアでの酷評が相次ぎ、世界各地でボイコット運動も起こるなどマイナスイメージが先行していたかに思えた同作でしたが、蓋を開けてみれば公開3日間で歴代2位の興行収入を記録する大ヒットとなりました。

 世界90カ国で同時公開され、3日間の興行収入は2億2400万ドルで「スターウォーズ・エピソード3」(05年)に次ぐ歴代2位を記録したのです。

 キリストがマグダラのマリアと結婚して子供をもうけ、その子孫が現在まで続いているという「キリストの秘密」をテーマにしている同作は、ローマ法王庁(バチカン)がボイコットをするよう呼び掛けたのをはじめ、カトリック教団体を中心に「キリストを冒涜(ぼうとく)するもの」として、世界各地で抗議運動が起きています。公開初日にはUSAトゥデー紙に信者に映画館の前で抗議運動をするよう呼び掛けるカトリック教団体の全面広告が掲載され、全米主要都市の映画館前は「ダ・ヴィンチは欺まんに満ちた作品」などと書かれたプラカードを手に抗議する人々であふれていました。

 米メディアも公開前から「期待外れ」と同作を酷評。カンヌ映画祭でオープニング作品として上映された際には、会場から失笑が漏れ、批評家受けは最悪と報じました。観客の反応も「難解で原作を読んでいないと理解が難しい」「長すぎる」など、いまいちのコメントばかりが目立ちます。

 それだけに誰もがこれほどの大ヒットになるとは予想していなかったに違いありません。公開前からこの週末にかけて、テレビ、ラジオ、新聞と話題は「ダ・ヴィンチ・コード」一色のお祭り騒ぎでした。そのほとんどが批判的な内容だっただけに、「興行は落ち込むだろう」と予想されていたのです。専門家は、批判的な内容であろうとメディアへの露出が増えたことが逆に宣伝効果につながったのでは…と分析しています。原作を読んでいない人でも、今や「ダ・ヴィンチ・コード」を知らない人はいないほどです。それが、原作のファン以外の観客にも大きなアピールになったことは間違いないでしょう。

 一方で、映画を見た観客がこの作品で描かれていることは真実なのかどうか個々に判断するべきとの意見もあります。映画はあくまでエンターテイメントであり、フィクションかノンフィクションかに関わらず、作品で描かれている内容そのものにいちいち文句をつけるのはどうなのだろう…と思います。実際に私の知人のキリスト教信者は、「映画は見てみたい。この作品を見たからといって、自分のキリストへの信仰は変わらないと思う」と話していました。

 メル・ギブソンが監督し、キリストの最期を描いた「パッション」が論争を呼んだことは記憶に新しいですが、それ以上の宗教論争を巻き起こしている「ダ・ヴィンチ・コード」。どこまでこの論争は続くのでしょうか? 「ファンタスティック・サプライズだった」とコメントを発表したソニー・ピクチャーズは、最後の最後に再びほほ笑むことができるのでしょうか? しばらくは、「ダ・ヴィンチ・コード」の話題で持ちきりになりそうです。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)

May 23, 2006 12:24 PM

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