2006年03月07日
アカデミー賞の関心度は…
今年のアカデミー賞は大方の予想を裏切り、人種対立を描いた「クラッシュ」が最有力候補の「ブロークバック・マウンテン」を押さえて作品賞に輝くという結果に終わりました。しかし、今年はインディペンデント作品のノミネートが多く、超ビックスターも不在ということで、「史上最低」の視聴率が懸念されています。
米各メディアはノミネート発表直後から今年のアカデミー賞について、「No Nicole Kidman」「No Tom Hanks」「No Julia Roberts」「No “Titanic”」「No “King Kong”」と盛んに繰り返し、大スターなし、大作なしの今年の賞レースを評していました。
実際に事前調査で42%の成人が今年の作品賞にノミネートされた5作品のうち1本も見ていないと回答しています。「ブロークバック・マウンテン」は7890万ドルで26位、「クラッシュ」は49位、「ミュンヘン」は64位、「グッドナイト・アンド・グッドラック」は90位、「カポーティ」は104位と、確かにいずれの作品も興行面ではビックヒットとは言えず、近年まれに見る関心度の薄さです。
さらに、主演男優賞を受賞したフィリップ・モア・ホフマンやノミネートされていたヒース・レジャーは、メジャー映画にも出演しているスターですが、やはり、Aリスト・スターと呼ばれる超ビックスターではなく、主演女優賞部門でもリース・ウィザースプーンとシャーリーズ・セロンの対決が注目されていたくらい。と、やはり華やかさにかける作品と顔ぶれが一番の要因となっているようです。
街角インタビューでも「アカデミー賞には興味がない」「見ないと思う」と答えた人が多く、今年のアカデミー賞への関心の薄さが反映されていました。この結果は映画のチケット売り上げと平行線をたどっており、映画へのファン離れがそのままアカデミー賞への関心の薄さをあらわしているとも言えるでしょう。
また近年、広告業界でもアカデミー賞の視聴率低下が問題となっています。「タイタニック」が11部門を総なめにした98年は、全米で5500万人が視聴しました。しかし、その後は低迷路線をたどり、03年は視聴者数3300万人で史上最低を記録。翌年は「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」のおかげで4350万人まで回復したのですが、昨年は再び4150万人に減少しました。今年は03年のワースト記録を塗り替える可能性もあると、早くから関係者を悩ませていたのです。
もちろん、アカデミー賞は映画界で最も名誉ある賞であり、どれだけヒットしたかという数字ではなく、作品の質で決められるものであるのは当然のこと。しかし、どんなに良質な作品を作っても観客に関心を持ってもらえない世の中になってしまえば、それは作る側の自己満足で終わってしまいます。そして、大手スタジオはさらに質よりも数字を重視する作品を大量に作り出すことになり、良質な作品はさらに減少するという悪循環に陥ってしまうように感じてなりません。
今年はテロをテーマにした「ミュンヘン」や人種問題を扱った「クラッシュ」、同性愛を真正面から描いた「ブロークバック・マウンテン」など社会派作品が数多くノミネートされました。また、外国作品賞でもパレスチナ人の自爆テロを扱った「パラダイス・ナウ」が候補にあがり、イスラエル人犠牲者の遺族らが中心となった反対運動も起きるなど、本質とは違う部分でメディアの注目を集めた年でもありました。
政治やテロを扱う作品は今後も増えていくと予想されます。来年はどんな作品が候補に並ぶのでしょうか。題材を問わず人々の心に残る良質のエンターテインメント作品が今後も生まれ続けることを願っています。
March 7, 2006 03:59 PM
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