2006年02月14日
ワイオミング州に集まる注目
今年のアカデミー賞で最多8部門にノミネートされ、作品賞の最有力候補に挙げられている「ブロークバック・マウンテン」の舞台となっているワイオミング州が、にわかに注目を集めています。
地元のビジネス協会の旅行・観光局には映画を見たというファンから、ロケ地の問い合わせが相次いでいるのです。ネットや電話での問い合わせはすでに数百件にのぼり、中西部の静かな田舎町に住む人々を驚かせています。
それもそのはず。ワイオミング州と聞いてまっさきに思いつくのはイエロー・ストーン国立公園くらい。他には観光名所はなく、主な産業は農業と鉱工業。別名カウボーイ州と呼ばれ、映画同様にカウボーイたちが大勢住むことで知られていますが、観光地としての魅力は乏しいのです。
しかも「ブロークバック・マウンテン」の舞台はワイオミング州なのですが、実際に撮影されたのはカナダ。ファンの多くは撮影地がワイオミングでないことは知っているはず。それでもなお、あの映画の舞台となったブロークバック・マウンテンを訪れたいと希望しているのだとか。
なぜ、そんなワイオミングが注目を集めているのでしょう? 映画を見た人は、とにかくブロークバック・マウンテンの山々が美しく描かれていることに感動します。ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホール演じる2人のカウボーイの美しい愛は、まさにブロークバック・マウンテン抜きには語れないほど、自然とマッチしています。CG映画の全盛期において、本物の美しい自然が背景に描かれているだけに、多くのファンはあの美しい景色を一目見てみたいと思うのは当然なのかもしれません。
映画の舞台となった土地が有名になるのはよくあります。最近では昨年のアカデミー賞にノミネートされた「サイドウェイ」の舞台となったカリフォルニア州サンタバーバラのワイナリーが脚光を浴び、観光客が大勢押しかけ、映画のロケ地をめぐるツアーも大繁盛しました。他にもニュージーランドにある「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのロケ地が観光客向けに有料公開されたり、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や数々の西部劇映画が撮影されたモニュメントバレー、ロバート・レッドフォード監督の「リバー・ランズ・スルー・イット」(92年)が撮影されたモンタナ州リビングストンなどは、今も多くの観光客が訪れる人気の名所となっています。
旅行・観光部門責任者のミッチェル・ハワード氏は、映画の影響に驚いているといいますが、同時に今後は観光産業にも力を入れていく計画であると語っています。アン・リー監督は撮影前に同州を視察しましたが、ほとんど映画のロケを行った経験がないため、地元に充分な人材がいません。ロサンゼルスから大勢のスタッフや機材を運びこまなければならないために莫大な費用が掛かることから、同地での撮影を断念しました。
これに対し、今後は観光業者を中心にロケ誘致にも力を入れることを計画。映画スタッフを養成するプログラムの始動も視野に入れているほか、州も50万ドル以上の予算の映画を撮影してくれた場合、15%を還元する法案が検討され始めているといいます。近い将来、ワイオミングは映画ロケ地としてハリウッド関係者から脚光を浴びることになるかもしれません。
最近はコスト面の問題からカナダやニュージーランドなど海外にロケ地を求める映画が多いようです。でも、本来は作品の舞台となった場所で撮影することが一番なはず。最近「SAYURI」を見た時も日本を舞台にした作品なのだからやはり日本でロケすべきと感じました。いくら他に似た場所を探しても、そっくりなセットを作っても、やはりどこかでうそっぽさが出てしまいます。
本物のブロークバック・マウンテンを訪れたことはないので、映画の中の風景との比較はできません。でも、本物のブロークバック・マウンテンを訪れたファンが、映画の中の景色と違っていたとがっかりしないことを願っています。
February 14, 2006 03:54 PM
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