2005年11月29日
ハリウッドスターは慈善活動が大好き?
ハリウッドセレブは慈善活動が大好き。慈善団体に愛の手を差し伸べたり、天災救済に多額の寄付をしたり、米軍を慰問したり、チャリティーイベントに無償で出演したり、動物救護や環境保護を訴えたり…と、とにかく慈善活動に忙しい。もはや、慈善活動はセレブとしての義務のような感じさえあります。
スマトラ沖地震や超大型ハリケーン「カトリーナ」による大被害が出た直後には、スターが一同に集結したチャリティー番組が放送され、ブルース・ウィリス、ブラッド・ピット、トム・クルーズ、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、キャメロン・ディアスらハリウッドのトップスターたちが出演し、視聴者に寄付を呼びかけました。ニコラス・ケイジがハリケーンの救援に100万ドルを寄付したと報じられれば、ショーン・ペンはボート持参で現地に乗り込み、市内に取り残された人々を自ら救助。ジョン・トラボルタは自ら操縦する自家用ジェット機で、医薬品や水、食料など救援物資を運ぶ。自らの資産やパワーをフル活用して、慈善活動に取り組む姿はさすがハリウッドのトップスターだと関心させられます。
一方で○○が××をしたと報じられるたびに、それが当たり前のようになり、逆に何もしないセレブを非難する声も聞こえてくるのも事実。しかし、あまり知られていないところでも実はスターは地道な慈善活動をしているのです。
今夏には世界都市でアフリカ貧困救援コンサート「ライブ8」が開催され、ブラッド・ピット、ウィル・スミス、マドンナ、U2、ポール・マッカートニーらが出演。ニコール・キッドマンは今年8月に、ニューヨークの小児ガン病院を慰問し、小児ガンと闘う子供たちを励ましており、ジェシカ・シンプソンは11月初旬に口蓋烈症の子供たちを助けるための団体「オペレーション・スマイル」の活動でアフリカを訪問しています。シャロン・ストーンは1月、世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」で演説を行い、5分間で100万ドルの寄付を集めました。
若手セレブのリンジー・ローハンやニコール・リッチーもニューヨークで行われたチャリティー・ファッションショーに出席し、ジェシカ・アルバもカンヌ映画祭でエイズ・リサーチ基金のための慈善活動に参加しています。アッシャーやジャスティン・ティンバーレイクら人気歌手も子供のためのチャリティーイベントに参加しています。
もっとも慈善活動に積極的で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使も務めているアンジェリーナ・ジョリーは、そんな中でも特殊な存在。ハリウッドスターとしての枠を超え、1人の人間として真剣に難民救済活動に取り組んでいるアンジェリーナは、アメリカの感謝祭である24日に交際が噂されるブラッド・ピットを伴い、パキスタン北部の地震被災地を訪問しました。10月8日に起きた大地震では7万3000人以上の死者が出ており、いまだに多くの人々が被災生活を送っています。キャンプを訪れた2人は、毛布や食料、物資などを運び、「多くの人々が(厳しい冬を目前に)凍死の危険にさらされている」と政府への早急な援助を訴えました。ジョリーがパキスタンを訪れるのは3度目。これまでもタイやアフリカの難民キャンプをはじめ、コソボ、カンボジア、ロシアなど数十カ国を訪れており、難民救済だけでなく、エイズ問題にも積極的に取り組んでいます。
そんな影響を受けてか、ブラピも今夏に子供たちのための民間国際援助団体セーブ・ザ・チルドレンが行っている、エチオピアの孤児を対象としたエイズプログラムを訪問するなど、貧困撲滅運動に力を入れています。
これからクリスマスにかけてのホリデーシーズンは、慈善活動の季節でもあります。多くのスターが今年も様々なチャリティー活動に精を出すことでしょう。
November 29, 2005 03:08 PM | トラックバック (0)
2005年11月22日
アカデミー賞狙う作品を一挙紹介
今年も残り1カ月ちょっと。ハリウッドは来年3月5日に行われる第78回アカデミー賞を狙う作品が続々と公開されています。今年のキーワードは、「ファンタジー」「ミュージカル」「政治・テロ」。注目作品を一挙まとめて紹介します。
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズがきっかけで起きたファンタジー・ブームは今年も健在。同シリーズ最終章でアカデミー賞に輝いたピーター・ジャクソン監督が次に手がけたのは、古典ファンタジー「キングコング」。何度かリメークされている同作品だが、ジャクソン監督は33年のオリジナル版を忠実に復活させている。ファンタジーの要素は残したままリアリティーを加えたというジャクソン監督。2度目のアカデミー賞受賞が期待されている。全米でベストセラーとなった小説「Memoirs of a Geisha(さゆり)」を映画化した「SAYURI」は、日本をテーマにしたファンタジー。「シカゴ」でアカデミー賞に輝いたロブ・マーシャル監督が描くとある花街を舞台にした美しい幻想の世界は、もちろんアカデミー候補の筆頭にあげられています。そしてディズニーが贈るファンタジーは、「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」。「ロード・-」と並ぶベストセラー「ナルニア国物語」の初の映画化は、ファンタジー映画の頂点を極めることができるか注目されるところ。「シカゴ」がアカデミー賞を席巻したのは記憶に新しいところ。今年はトニー賞を受賞した大ヒットミュージカル「プロデューサーズ」と「レント」の2本が映画化されている。「ザ・プロデューサー」はオリジナル版でも主演したネイサン・レイン、マシュー・ブロデリックにユマ・サーマンという豪華コンビでアカデミー賞を狙っている。
今年もっとも注目度が高いのは、政治をテーマにした作品。スティーブン・スピルバーグ監督は、ミュンヘン五輪で実際に起こったパレスチナ人ゲリラによるイスラエル選手団襲撃事件を描いた「ミュンヘン」で「シンドラーのリスト」以来12年ぶりとなる作品賞を狙っている。イランやレバノンなど中東の国々でテロリスト容疑者たちを21年間に渡って追い続けてきたCIAのロバート・ベアが実体験を記したドキュメンタリー小説を映画化した「シリアナ」は、9・11の悲劇に至るまでの中東での米国の外交政策、テロ、石油問題を描いた作品。そしてジョージ・クルーニーの2度目の監督作品「グッドナイト&グッドラック」は、50年代に赤狩り旋風からジャーナリズムを守るためマッカーシー上院議員と半年間に渡る闘争を続けた人気キャスターを描いており、「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞に輝いたサム・メンデス監督は湾岸戦争で海兵隊が見た戦争の実態を描いた「ジャーヘッド」で再びアカデミー賞を狙っている。
最後の最後までわからないのがアカデミー賞レースですが、12月に入ると前哨戦と言われる各映画賞が続々と発表されます。来年のアカデミー賞に輝くのは、どの作品か今から楽しみです。
November 22, 2005 03:06 PM | トラックバック (4)
2005年11月15日
50セント作品の真のメッセージとは…
一般家庭の2軒に1軒は銃を所持していると言われ、3億丁とも言われる銃が出回っているアメリカ。そんな「銃社会」アメリカを象徴するような映画が、物議を醸している。
問題となっているのは、ニューヨークのストリートでギャングとして暮らしてきた50セントが、ラッパーとして成功するまでを描いた自伝的映画「Get Rich or Die Tryin」。全編に渡ってバイオレンス(暴力)シーンが幾度となく繰り返されているだけでなく、何者かに襲撃されて9発の弾丸を身体に受けながらも奇跡的に生還した彼自身の生い立ちに触れている点も、非難の的となっているのだ。
物語もさることながら、銃弾の痕が残る背中をカメラに向け、キリストの磔を連想させるポーズで右手にマイク、左手に銃を持つ50セントのポスターにも抗議が殺到。ロサンゼルス郡議員や民間団体から「ギャングや銃を賛美している」と抗議を受けた配給元のパラマウント・ピクチャーズは、ロサンゼルス市内の一部地域でポスターを撤去することを決め、新聞広告の写真からは左手に持つ銃が消えた。
抗議をしているのは、常日頃から「銃反対」を唱えている人々だけではない。住民の大半が黒人で、連日のように銃に関連した犯罪が起きているロサンゼルス南部のサウス・セントラルでも住民による抗議デモが起きるなど、黒人社会からもボイコットする動きが出ている。
先日、ロサンゼルスで行われた試写会でも、不思議な光景を目の当たりに。黒人が主役の映画の場合、観客の過半数が黒人であることがほとんど。今や俳優としても人気のアイスキューブの作品などは、観客の8割が黒人ということも珍しくない。しかし、この日の試写会では黒人の姿はまばら。50セントの人気から考えると、本来ならありえない話だが、米メディアの多くも同作品に対して批判的な報道をしているだけに、こんな所でも黒人のボイコット運動の余波を感じた。
顔面を銃で撃たれ、いまだに左頬に銃が貫通した傷が残っている50セントだが、その出来事を再現するような場面もあり、思わず目を背けたくなるシーンが多い。もちろんハリウッドには他にもバイオレンスな作品は数多くあるが、ゲームやアメコミを題材にしたバーチャル的なバイオレンス作品と比べると、リアルで生々しさがある分だけ、その暴力性だけが強調されてしまっているように感じる。さらに銃そのものが彼らの社会においての「強さ」を象徴しており、それを使っていとも簡単に人を殺していくシーンは銃を肯定しているかのようにも受け取れる。
若者に絶大な人気のあるラッパーの自伝映画だけに、彼の生き方や身体に刻まれた銃痕さえも「クール(かっこいい)」と受け止める若者が増え、銃そのものが賛美されることによる社会への影響が懸念されるのも当然のこと。50セント本人はそんな批判も意に介せず、「宣伝に使う予定のなかったメディアで取り上げてくれて、良い宣伝になっている」とコメントしているが、同作品を上映中の映画館で発砲事件が起き、懸念が現実のものとなっている。
50セントの過去に憧れ、銃を賛美するのではなく、この作品の持つ真のメッセージに耳を傾け、銃社会に警鐘を鳴らすことを忘れないで欲しい。
November 15, 2005 01:18 PM | トラックバック (0)
2005年11月08日
「9・11」映画化に賛否両論
アメリカを震撼させた同時多発テロから丸4年。すでに歴史の一部になりつつあるこの「9・11」を、ハリウッドが映画化する動きがここにきて活発化しています。先陣を切ったのは、社会派監督として知られるオリバー・ストーンがメガホンを取る作品(タイトル未定)。救出作業中に世界貿易センタービルの崩壊でがれきに閉じ込められながらも、懸命に救出活動を続けた2人の警察官の活躍を描いたもので、ニコラス・ケイジ主演で撮影がスタートしたばかり。
「ニュースの天才」で知られるビリー・レイ監督は、救急隊員の救出劇を描いたノンフィクション「102ミニッツ(原題)」の映画化の企画を進行中。1機目の飛行機が世界貿易センタービルに激突した午前8時46分からノースタワーが崩壊する10時28分までの102分間の救出劇を生存者や目撃者の証言とともに再現した作品。いずれも来年公開が予定されています。
そしてもう1作品。ユニバーサル・スタジオも、テロでハイジャックされ、ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外に墜落したユナイテッド93便を題材にした「フライト93(原題)」の制作を発表しています。こちらはハイジャックされてから墜落するまでの90分間の機内の様子を再現する内容。
これまで映画化はタブー視されてきたこの「9・11」を、なぜハリウッドは今になって映画しようと動き出したのか? 1つには、来年9月11日で5周年を迎えることから、そこに照準をあわせて公開しようとしていることが理由にあげられています。しかし、当然ながら被害者やその遺族らの傷がまだ癒えていないこの時期に映画化することに反発する声が多いことも事実です。
エンターテインメント誌の読者アンケートでは、55%の人が「9・11をハリウッドがお金儲けに利用している」と答えており、生存者がゼロで誰にも真実が分からない「フライト93」の映画化は無責任だと59%が回答しています。また、スティーブン・スピルバーグ監督は早くから、この「9・11」を映画化するつもりはないと否定的な意見を示しており、業界内にも映画化に反対する意見はあります。
ハリウッドは、これまでも歴史上に起きた事件や戦争を題材とした作品を数多く生み出しています。しかし、まだ完全に歴史として埋もれたわけではない「9・11」を描くことは、ある意味で大きなチャレンジであることは間違いありません。娯楽性を薄め、どこまで真実を伝えることができるかということが、一番の問題点となることでしょう。
ハリウッドが過去に作ってきた多くの歴史作品は、ノルマンディー上陸作戦を舞台にした「プライベート・ライアン」、真珠湾攻撃を描いた「パール・ハーバー」、ベトナム戦争を描いた「プラトーン」など単にドキュメンタリー的な要素の羅列ではなく、その出来事の中に隠されて埋もれていた知られざる過去や多少事実と異なるロマンスなどに焦点を当て、ドラマチックに描いたものが多いはず。
この「9・11」もこれらと同様の手法で描かれるのかどうかはまだ分かりません。「9・11」という出来事を人々の心から風化させないためにも、真実を伝えることは必要。しかし、実際に起きた出来事だからと言って必ずしも100%ドキュメンタリーでなければいけないということはないはずです。そこに事実を歪めない程度の多少の脚色があっても良いのではないでしょうか。映画だから描ける「9・11」というものを見てみたいと思います。
November 8, 2005 01:11 PM | トラックバック (3)
2005年11月01日
異色ドキュメンタリー「人間の命」とは…
マイケル・ムーア監督の「華氏911」の大ヒット以降、にわかにドキュメンタリー映画がブームになっているハリウッドで、人間の生命力、命の意味をストレートに問う異色なドキュメンタリー映画が公開されました。
何が異色かというと、「華氏911」はもちろんのことながらマクドナルドを30日間食べ続けた記録を公開した「スーパーサイズ・ミー」、今年大ヒットした「皇帝ペンギン」などに比べると、エンターテインメント性は限りなくゼロだということ。ただひたすら、ある特殊な環境の家族の元に生まれた超未熟児の子供を通じて、観客に「人間の命」について問いただしているのです。
はっきり言って見終わった後で心がずしりと重くなります。しかし、これほどまでに観客に「命」について実直に問う作品を見たことがありません。ある意味、とてもピュアで、見た人が「人間の命ってこんなにもすごいんだ」と改めて思い知らされる作品でもあるのです。だからこそ、簡単に人を殺してしまうような世の中において、この作品の持つ意味はとても大きいと感じました。自分の運命を悟りながらも一生懸命に生きようとする主人公を見ていると、人間の命の尊さを感じられずにはいられなくなったのです。
「リトル・マン(原題)」と題されたこの作品の何が特殊かというと、物語はあるレズビアンのカップルが精子バンクから選んだ精子で体外受精し、代理母に子供を産ませることから始まるからです。しかも、監督はそのカップルの1人で母親でもあるニコールさん。自分たちの決断から、受精、代理母を選ぶまでの過程が描かれた後、話は急展開を迎えます。代理母が妊娠100日でなんと早産で男の子を出産してしまうのです。体重わずか450グラムの超未熟児で生まれたニコラス君は、医者からも「助かる見込みはほとんどない」と見放されます。それでも、母親であり、監督でもあるニコールさんはニコラス君を助けるためにカメラの前で1人翻弄。
語弊があります画面に映る生まれたばかりのニコラス君は、とても人間の子供には見えません。たくさんのチューブにつながれ、辛うじて生きているその姿は、人間の子供というよりは映画に出てくるモンスターの子供のようにさえ見えます。もう1人の母親グレンドリーさんは、そんな息子を手放しで愛すことができません。「こんなはずじゃなかった。こんな結果を私は望んでいたわけではない」。カメラの前で苛立ちをあらわにします。ニコラス君の誕生で、2人の関係も微妙に変化していくのです。
必至に生きようとする小さな命。その命を絶つことを選択肢に入れようとする母親とその命を必至に守ろうとするもう1人の母親。カメラはそんな家族の深い部分にも踏み込んでいます。他人ではない、母親が自ら監督だったからこそ、踏み込める子供の生死、自らの葛藤、家族の分裂が丁寧に描かれているのです。
なぜこんなにまでもパーソナルな映像を公開しようと思ったのでしょう。ロサンゼルスで行われたプレミア上映会の後で、母親であり監督でもあるニコールさんに話を聞く機会に恵まれました。「毎年たくさんの超未熟児が生まれている。同じような状況に置かれた人々に、少しでも希望を与えることができたら。私にとってニコラスは宝物。もう1度、人生がやり直せたとしても彼以外の息子はいらない」。数々の映画祭でドキュメンタリー映画賞に輝き、ようやく全米公開にこぎつけました。来年のアカデミー賞ドキュメンタリー映画部門のノミネートも視野に入れており、よりたくさんの人に見て、命の愛おしさを知って欲しいといいます。
小さな小さなその命は、カメラの前で驚くほどの生命力を我々に何度も見せつけます。それだけではなく、自分の生まれた特殊な運命をすべて悟っているかのような表情を見せた時には、正直驚きました。演技でもやらせでもない。真実の映像が持つ説得力と、迫力にただただ圧倒されるばかりでした。
ニコラス君は多くの医者の予想を裏切り、一命を取り取りとめ、脳や内臓器官に若干の障害があるものの、元気に成長を続けています。彼の天使のような笑顔が、再び家族に絆をもたらせ、この作品が生まれたのです。
日本公開は決まっていませんが、小さな小さなニコラス君の必死に生きようとする姿を通じて、日本の人々にも「命の尊さ」について今一度考える機会を持ってもらいたいと切に願ってやみません。
November 1, 2005 01:08 PM | トラックバック (5)
