2005年09月13日

「映画の都」に黄金時代は戻るか…

 映画の都「ハリウッド」が危機的な状態に直面しているという。

 かつては「ハリウッド映画の黄金時代」をささえ、数多くの名作を生み出してきたハリウッド。しかし、時代は変わり、21世紀になった現在、映画の都としてのハリウッドの地位に陰りが見えはじめている。

 この数年間で、ハリウッド映画のあり方は大きく変わってきた。ハリウッドで撮影される作品が激減しているのだ。コスト削減のため他州や海外で撮影される作品が増え、ハリウッドのお膝元ロサンゼルス近郊での撮影が減ってきていることは以前から指摘されていた。しかし、このほど、カリフォルニア州内での映画制作を推進する州営利団体「カリフォルニア州映画委員会」が発表した調査結果は、かなり衝撃的なもの。

 昨年1年間にカリフォルニア州内で撮影された映画、テレビドラマは全体の40%しかないことが判明。半数以上の作品が、他州や海外で撮影されたという危機的な状況が明るみになり、ハリウッド業界には大きな衝撃が走っている。それもそのはず。このような具体的な数字が提示されたのは、初めてのことだったからだ。

 近年は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「ラスト・サムライ」などニュージーランドで撮影される作品が増えている。また、オーストラリアやカナダでの撮影も増えている一方で、国内ではルイジアナ州が人気撮影ロケ地となりつつある。最近ではアカデミー賞にノミネートされた「Ray/レイ」などが同州で撮影されている。02年には1200万ドルだった制作費が、昨年は3億3000万ドルにまで膨れ上がっており、今後もまだまだ伸びる可能性がある。

 その1番の理由は、撮影経費の高騰。カリフォルニア州は映画の撮影に関して、高い税金を課している。しかし、ルイジアナ州など一部の州やカナダ、オーストラリアなどでは撮影に関する税制優遇措置を導入しており、多くの制作会社が税金の安い他州や海外に流出。特にカナダやオーストラリア、ニュージーランドは英語が通じ、人件費もハリウッドに比べるとかなり安いことが人気の秘訣となっている。また、ロサンゼルスでは交通渋滞や撮影場所の規制が多いことも、理由の1つにあげられている。

 そんな危機的状況を救うため、アーノルド・シュワルツェネッガー州知事は税制優遇措置の導入を検討している。300万ドル以上の制作費の長編作品には、12%の税額控除を与えるという法案を推進しているもの。これまでも何度か、その動きはあったものの、「一部の裕福なプロデューサーたちをより裕福にするだけ」と主張する反対派の勢力に押されてきた過去がある。

 7000万ドル相当の映画が州外で撮影された場合、カリフォルニア州は1060万ドルの租税を失う計算になる。それだけではない。撮影隊がカリフォルニア州に落とすすべての経費、州内の労働者の賃金なども含めると、カリフォルニアはこの数年間で多額の収入源を失ったことになる。租税優遇措置の導入により、州の租税収入は減るものの、雇用の促進や、撮影経費が州内で使われることによる経済効果を期待する者も多い。

 しかし何より、ハリウッドが映画を作れなくなることが一番の問題ではないだろうか。果たしてハリウッドの黄金時代は戻ってくるのだろうか。「ハリウッド映画」が死語にならないことを願いたい。

September 13, 2005 02:30 PM

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