2005年06月14日
本物のカップル共演でもヒットする
吉と出るか、凶と出るか。私生活のロマンスは映画の宣伝となるか、ダメージとなるか。
「本物のカップルが共演する映画はヒットしない」。そんなハリウッドのジンクスに世紀のビッグカップルが挑みました。ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー。人気、実力ともハリウッドで1、2位を争う2人が夫婦役で共演したのが「ミスター・アンド・ミセス・スミス(原題)」。ただの共演だけならこんなにも大騒ぎになることもなかったのでしょうが、2人はこの作品での共演がきっかけで「熱愛」の噂がたったのだから、穏やかではありません。
特に当時、ブラピには妻ジェニファー・アニストンがいて、当然ながら「不倫」と言うことになってしまいます。そしてほどなくして、ジェニファーが離婚を申請したのです。となると、マスコミの人間でなくても「離婚の原因はやっぱり2人の不倫か」と思ってしまっても仕方がありません。
公開が近づくにつれて、2人の熱愛報道は過熱。アフリカでの密会現場がスクープされたり、ブラピがアンジェリーナの住むロンドンで家を物色しているとか、夫婦と名乗ってホテルに一緒に宿泊していたとか、今や2人の一挙一動が注目の的となっているのです。しかし、2人の熱愛報道が過激になればなるほど、映画のヒットが遠のく可能性が高くなっていったのです。
今年公開されたペネロペ・クルスとマシュー・マコノヒー共演の「サハラ」をのぞけば、過去公開されたカップル映画はほとんどが失敗に終わっている(バックナンバー第3回を参照)。
この手の映画の場合、報道によるイメージが強く、先入観が先行してしまうため、どうしても役柄に感情移入できない場合が多い。この作品でも、公開前に行われるテストスクリーニング(観客の反応を見るための試写)で、多くの観客が「アクションシーンよりもラブシーンがもっと見たい」とコメントしたため、急きょラブシーンの追加撮影が行われたといわれています。
こうなると、当然ながら誰もが思うところは同じ。メグ・ライアンとラッセル・クロウの不倫の原因となった「プルーフ・オブ・ライフ」、ジェニファー・ロペスとベン・アフレックの「ジーリ」の二の舞になるのでは? という心配です。
そのため、公開前の宣伝活動は、かなりピリピリムードだったという。ハリウッド映画の取材でもっとも多い「ラウンドテーブル」と呼ばれる数人の記者が役者を囲んで行う取材は一切行わず、記者会見のみ。さらに、アンジェリーナに至っては個別にインタビューする記者には事前に「プライベートについては一切質問しない」という誓約書にサインまでさせたほど。それを破った記者には告訴も持さないとの強気な態度で、異例中の異例とも言える厳戒態勢での取材だったようです。
そして、その結果は? というと、公開3日間で5110万ドルを稼いで興行ランキングで初登場1位を獲得する好調な滑り出し。しかもブラピ、アンジェリーナ共に過去最高のスタートとなったのです(ブラピの過去最高は「トロイ」の4690万ドル、アンジェリーナは「トゥームレイダー」の4770万ドル)。同作の製作費は1億1000万ドルと言われており、3日間で半分を回収したとなればスタジオ側としても予想以上の出来だったはず。今ごろ関係者一同みな、胸をなでおろしていることでしょう。
「ミスター・アンド・-」は確かにこれまでのカップル映画とは違い、ラブシーンもあの2人が演じれば絵になっていたし、嫌らしさはみじんも感じなかったのは事実。アンジェリーナのセクシーさは同じ女性として羨望の的だし、ブラピもかっこよさはまだまだ健在。互いを殺しあうシーンはスピード感あふれるアクションとユーモアもたっぷりで、なかなか楽しませてくれました。観客の56%が女性で、全体の57%が25歳以上だったという統計も納得できる気がしました。大人の女性が楽しめる作品なのです。
「映画はギャンブル」とはよく言いますが、今回に限っては2人の熱愛報道も良い宣伝になっていたのかもしれません。
June 14, 2005 11:18 AM
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