2005年06月28日

重鎮フリーマン生んだ下積み時代

 今、ハリウッドでもっとも多忙な俳優と言われるモーガン・フリーマン。つい最近も来日した際に「バットマン ビギンズ」と今年のアカデミー賞で助演男優賞を受賞した「ミリオンダラー・ベイビー」の宣伝をかけもちするという、超売れっ子ぶりを存分に披露したばかり。

 そして盲目のピアノ調律士兼用心棒を演じた「ダニー・ザ・ドッグ」と、ナレーションを担当した「皇帝ペンギン」が相次いで公開されるなど、最近はとにかく次々と精力的に仕事をしまくっているという印象を受ける。

 「NYストリート・スマート」(87年)、「ドライビング・ミス・デイジー」(89年)、「ショーシャンクの空に」(94年)でアカデミー賞にノミネートされるなど、俳優仲間からも尊敬され、一目置かれる名優でありながら、「バットマン ビギンズ」のような大作から、「ビッグ・バウンス」のようなコメディーまでとにかく幅広い作品で活躍していることでも有名。「ミリオンダラー・ベイビー」のような重圧な作品で初のアカデミー賞に輝いた後も、そのスタンスはまったく変わっていないようだ。

 今年度の後半にはマフィア役を演じた「ラッキーナンバー・スレヴン」、ベテランリポーターを演じた「エディソン」という2本のスリラーとドキュメンタリー映画のリメーク「カラーズ・ストレートアップ」が公開を控えている。最初の2作品はすでに撮影を終えているが、都会の貧困黒人の若者に演劇の素晴らしさを教える非営利団体組織カラーズユナイテッドを描いた「カラーズ・-」は撮影中。

 そして来年には現在発表されているだけで、「コントラクト」、「ハリー・アンド・バトラー」と第2次世界大戦を題材にした戦争映画(タイトル未定)の3本の公開が予定されている。「コントラクト」では殺し屋、「ハリー・-」ではミュージシャン、戦争映画では兵士役と、まさにバラエティーにとんだ幅広い役どころを演じることになっている。つい先日も「バットマン」シリーズの続編への出演も決まったと報じられたばかりで、これ以外にいったいどれだけの進行中の企画を抱えているのか、まったく検討もつかない。

 「ショーシャンク」の囚人、「ディープ・インパクト」の大統領、「グローリー」の奴隷、「ハイ・クライム」の弁護士とまったく異なる役柄を見事に演じてきたフリーマン。そして「ブルース・オールマイティー」ではついに神様にもなった。68歳という年齢ながらこれだけジャンルの異なる作品で、様々な役柄を立て続けに演じ続けられる俳優も珍しいだろう。多忙さだけでなく、タフさでも世界一かもしれない。

 ハリウッド映画界の重鎮としてなくてはならない存在にまで上りつめたフリーマン。しかし彼の半生には、意外にも長い下積み時代があった。ロサンゼルスのシティ・カレッジで演劇を学びながらも、55年に入隊。エアフォースで戦闘機のパイロットになることを真剣に考えていた時代もあったというが、結局は演技の世界を選んだフリーマンは、サンフランシスコの劇団で舞台経験を積むことになる。その後は子供向けテレビ番組で人気を博し、71年についに映画デビューを果たす。しかし、作品に恵まれず、売れない役者時代を長いこと経験した。そして87年にアカデミー賞にノミネートされ、ロサンゼルス評論家賞を受賞した「NY-」でブレーク。3度のアカデミー賞ノミネートを経て、今年ようやく悲願のオスカーを手にした。

 「1回受賞することより、何度もノミネートされることの方が重要だ」と、受賞後にあるインタビューで答えていたことが印象深い。長いキャリアの中で、異なる様々な役柄を演じながらも常にベストを尽くしてきたフリーマンの生き様を示しているような気がした。

June 28, 2005 11:14 AM

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