2005年04月05日

ワインスタイン兄弟の動向に注目

 「シカゴ」「恋におちたシェイクスピア」などアカデミー賞受賞作を数多く生み出してきた映画製作配給会社ミラマックスの創設者であるワインスタイン兄弟が、今年9月末で退職するというニュースはハリウッド業界に大きな衝撃を与えています。というのも、このワインスタイン兄弟はやり手ヒットメーカーとして知られており、彼らの動向はハリウッド中の注目の的となっているからです。

 兄弟は親会社のディズニーと昨年、マイケル・ムーア監督の「華氏911」の公開を巡って対立して以来、不和が伝えられていましたが、実はそれ以前からディズニーの経営不振による予算削減や大規模なリストラ、保守的なディズニー体制などにミラマックスが不満を募らせていたといわれており、両者の関係はギクシャクが続いており、もはや修復不能なところまで来ていたのです。

 このディズニーとミラマックスのお家騒動で一番注目されているのは、今後のハリウッドの賞レースの模様が大きく様変わりするということ。そしてワインスタイン兄弟の今後の行方です。一時は20世紀フォックスが契約に興味を示していたとも言われていましたが、結局は新スタジオを設立することになりそうです。

 ミラマックスは、ディズニー映画部門の全利益の4割近くも稼ぐドル箱配給会社として知られており、それも単に兄弟の手腕によるところが大きいのです。これまでオスカーノミネート249、うち受賞60という記録を持っており、そのうち3作品が作品賞に輝いています。「アカデミー賞にミラマックスあり」とまで言われてきただけに、兄弟離脱後のミラマックスの前途はかなり多難といえるでしょう。すでにタランティーノ監督やマイケル・ムーア監督らは、ワインスタイン兄弟の新スタジオ設立を応援することを決めており、次回作はいずれも新会社から配給されると言われています。また、ワインスタイン兄弟を失ったミラマックスは今後、良質な大人向けの作品を作ることは難しく、当然ながらアカデミー賞レースからも敗退せざるをえないと誰もが予想しています。兄弟が去った後は才能ある監督やクリエーターを発掘することは難しいと見られ、ディズニーにとってミラマックスはもはやお荷物でしかないという声も出ているほどです。

 ミラマックスはハーベイとボブ・ワインスタイン兄弟によって79年に設立された独立系映画会社です。「セックスと嘘とビデオテープ」など低予算ながら芸術性の高い作品を次々と世に送り出し、注目されるようになりました。そして93年にディズニーに買収された後も、「アビエーター」「キル・ビル」「ギャング・オブ・ニューヨーク」「ショコラ」「イングリッシュ・ペイシェント」など芸術と娯楽性を兼ね備えた作品を数多く配給してきました。ライブラリーは500本を超えるといわれています。

 興行収入1億ドルを突破した作品は10本にのぼり、ライブラリーの総価値は20億ドルと言われています。兄弟は離脱することでこれらを全て手放すことになりましたが、今後の作品の行方はどうなるのでしょう?

 退職までの間に公開が控えているのは、グウィネス・パルトロー主演の「プルーフ」、ジェニファー・ロペスとロバート・レッドフォード主演の「アン・アンフィニッシュド・ライフ」、マット・デーモン主演の「The Brothers Grimm」など十数本。これらはすべて予定どおりミラマックスから配給されます。また、今後製作予定の作品については、その多くが兄弟の新スタジオで配給されることになりそうです。マイケル・ムーア監督の新作「Sicko」、タランティーノ監督の新作、ジェニファー・アニストン、クライブ・オーウェン主演の「Derailed」などの話題作がすでに製作が決まっており、これらは全て兄弟が権利を保有することになります。

 兄弟の新スタジオ設立は、今後のハリウッドの勢力地図にも大きな変化をもたらすことは間違いありません。

April 5, 2005 11:35 AM

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