2005年03月29日

海外でもコメディー映画は売れる!

 ロバート・デニーロ主演のコメディー「ミート・ザ・ペアレンツ」の続編「ミート・ザ・フォッカーズ(原題)」(05年日本公開予定)が、海外での興行ランキングでコメディー映画として史上最高となる2億2100万ドルの興行収入を記録したという記事が3月24日のロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されました。

 「コメディ作品は海外では売れない」という定説がハリウッドにはあります。笑いに対する文化の違いが1番の理由でしょうが、とにかくコメディーだけはアメリカでのヒットが海外での興行にはつながらないと言われているのです。

 12月22日に全米公開された「ミート・ザ・フォッカーズ」は、北米で2億7700万ドルを超える興行収入を記録し、04年の興行ランキングでは「パッション」に次ぐ2位という大ヒット。コメディー作品としては「ホームアローン」(90年)に次ぐ史上2番目の大ヒットとなりました。そのヒットがそのまま海外にも飛び火。3月28日現在で歴代35位となる2億2210万ドルの興行を記録しているのです。しかも、米国に次ぐ世界第2の市場である日本ではまだ公開されていないことを考えれば、今後数字はまだまだ伸びることでしょう。

 なぜ海外で、この作品がこんなにもうけているのでしょうか? 「ミート・ザ・フォッカーズ」のヒットの要因はいくつか考えられます。

 (1)前作のロバート・デニーロに加え、今作ではダスティン・ホフマン、バーバラ・ストライザンドという豪華キャストが実現したこと。

 (2)ヒットした作品の続編であること。

 (3)前作では恋人の父親(デニーロ)に気に入られようとする主人公グレッグ・フォッカー(ベン・スティーラー)のすったもんだを描いていましたが、今作では晴れて婚約した2人が、フォッカーの両親(ダスティンとバーバラ)に会うためにフロリダへ向うことから巻き起こる騒動を描いていおり、コテコテのアメリカのコメディーながら、外国人にも理解しやすいストーリーであること。

 (4)それぞれの両親が、強烈なキャラクターであること。

 アメリカのコメディー作品を見ていると、カルチャーショックを受けることが多い。劇場で周囲はみんな大声で笑っているときに、1人だけ笑えないことがあるからです。特に黒人が主人公のコメディーとなると、まったくもって理解不能なことが起きたりします。もちろん、スラングやブラックジョーク自体の意味が理解できないということもありますが、なぜ面白いのかが分からないということも稀にあるのです。やはり、「笑い」のセンスは世界各国で微妙に違うということなのでしょう。

 しかし、最近ではそんな「海外ではコメディー映画は売れない」という見方もだいぶ変化しているようです。今年2月11日から全米公開されているウィル・スミス主演のラブコメディー「ヒッチ(原題)」は、海外(主に欧州)でもすでに1億ドルを突破するヒットとなっており、今後も海外でヒットするコメディーが増えてくると業界では期待されています。

 (1)海外でも名の通るビックスターを起用(2)海外での積極的なプロモーション(3)ストーリー。この3つの条件をクリアすれば、今後はコメディー作品でも海外で充分に通用すると分析されているようです。

March 29, 2005 11:37 AM | トラックバック (0)

2005年03月22日

今後のディカプリオに期待

 今年のアカデミー賞授賞式のわずか3日後に、主演男優賞を逃したレオナルド・ディカプリオにインタビューする機会に恵まれました。

 ハリウッド映画史上最高のヒットとなった「タイタニック」で、アカデミー賞11部門を制覇しながら主演男優賞にノミネートすらされなかったレオ様にとって、今作での主演男優賞受賞は悲願だったはず。インタビューが決まってからというもの、オスカーの行方が気になって仕方がありませんでした。受賞すれば、「コングラチュレーション!(おめでとう)」と言って、楽しい雰囲気でインタビューが進められるが、もし受賞を逃せば開口一番なんと声をかけていいものやら…と悩んでいたからです。

 インタビュー前日、いつもどおり取材ノートに質問内容を書きとめながら、まだ迷っていました。「オスカー残念でしたね」と言っていいものやらと。今回の取材はオスカーを逃した「アビエイター」の日本公開用のプロモーション。当然ながらタイミング的にオスカーの話題は外せませn。しかし、不用意なひと言でせっかくのインタビューを台無しするかもしれない…。これまでも、何度か不用意な発言でスターを怒らせてしまった記者の話を耳にしたことがあり、用心をするに越したことはないのです。そして結局、答えが出ないまま取材当日を迎えてしまいました。

 しかし、取材会場となったビバリーヒルズのホテルに着くと、案の定「アカデミー賞の話題はNGに」というお達しが。レオ様もマーティン・スコセッシ監督も、主要部門で受賞を逃したことに強いショックを受け、とても落胆しているとのこと。できればその話題は避けたいという心境だったのでしょう。実際に周囲の人が軽く賞のことを話題にしただけでも、険悪なムードになるほどだったというのだから、相当な落ち込みだったことは間違いありません。

 ということで、レオ様との単独インタビューは「賞関連の話題」の話題は一切口にしないまま、進めることとなったのです。レオ様の取材はこれで2度目。1度目は約2年前に「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(03年)の記者会見に出席したときでした。間近で見るレオ様は2年前に比べて、すっかり大人の男に成長したという印象。取材部屋となったスイートルームに私が入ると、座っていたソファーから立ち上がり、握手を求めてきました。その振る舞いぶりはとても紳士的で、ハリウッドのトップスターとしての風格が全身に漂っていました。

 等身大の俳優レオナルド・ディカプリオを読者に伝えたいと、今回のインタビューではあえて聞きにくい質問にも挑戦。パーティー好きでタブロイド誌をにぎわしていた頃の話や、将来の結婚、メディアとの関係や、セレブであることの苦悩など。どんな質問にも嫌な顔見せず、はぐらかさずに率直に答えようとする姿勢は、さすがレオ様である。

 インタビューをしていると、話し手の頭の良し悪しを感じることがある。たとえ、非の打ち所のない完ぺきな答えばかりを並べられてたとしても、ただ台本を丸暗記しているだけにしか感じられず、頭の悪さを露見しているように感じることがある。逆に決してお利口とは言えない答えであっても、話し手の人となりを感じることができると、その人の頭の良さを垣間見ることができたりする。

 レオ様とインタビューは、まさに後者でした。自分の置かれた立場、現状をきちんと把握した上で、メディアの狂騒を冷静に眺めていることがインタビューからも伝わってきました。「タイタニックがヒットした後も、基本的には何も変わっていない」と言うレオ様。スターの自分に溺れることも、酔いしれることもしていない。自分の立場をわきまえた上で、自分なりの言葉で一生懸命にこちらの質問に答えてくれる様子からは、頭の良さを感じられずにはいられませんでした。最近はタブロイド誌でパーティー好きと騒がれなくなったことについて、「奴ら(メディア)は次の新しい標的を見つけたからさ。おかげでゆっくりとリラックスできる」と笑うあたり、普通の俳優とはやはり器が違うとさえ感じました。メディアが作り上げた虚像のイメージを俳優として真剣に役作りに取り組むことで打開しようとするレオ様の本音が見られたインタビュー(20日付本紙参照)でした。

 昨年11月11日に30歳を迎え、男としても俳優としても今がまさに油ののった状態のレオ様。次回作では再びスコセッシ監督とタッグを組み、香港映画「インファイナル・アフェア」をリメークする。すでに役作りを始めているというレオ様。その後は黒澤監督の「酔いどれ天使」のリメークの話も持ち上がっており、俳優レオナルド・ディカプリオの今後が楽しみです。悲願のオスカーも、きっと近い将来取ってくれるのではないでしょうか。そう期待してやみません。

March 22, 2005 04:36 PM | トラックバック (1)

2005年03月15日

兵士の目線から見たイラク

 メディアで繰り返し報道されるイラク戦争。しかし、アメリカに住んでいる私たちには、真実は何も伝わってこない。遠い中東で起きている戦争でしかなく、何万人ものイラク人や若い兵士が戦死しているイラクで、本当は何が起きているのか。そんな単純なことさえ、分からずにいる。

 そんな中で、バグダットに駐留する兵士たちの日常生活に密着した「ガンナー・パレス」は、従来の戦争ドキュメンタリー映画とは一線を画し、兵士の目線から見たイラクが描かれている。

 彼らはどんなことを思い、どんな任務を行い、どんな生活をしているのか。そんな素朴な疑問を兵士たちの日常生活を通じて見ると、私たちがメディアを通じて知っているイラク戦争とはまったく違う世界が存在していることに気付かされます。等身大の生身の兵士の肉声は、どんな派手な爆撃映像よりも心に響くものでした。

 この作品はドキュメンタリー映画をエンターテインメントとして確立させたマイケル・ムーア監督の「華氏911」とは異なり、監督の色を前面に押し出す手法は用いていない。派手なパフォーマンスも、突撃インタビューもない。

 フセイン元大統領の息子ウダイ氏の元宮殿を「ガンナー・パレス」と呼び、そこで暮らす米兵たちの日常が彼らの肉声と共に淡々と描かれている。そこには爆撃も、人の生き死にの場面もない。一瞬、「ここは本当にイラク?」と疑いたくなるほど、想像とは違うイラクが存在する。しかし、そこは紛れもなく戦地であり、ガンナー・パレスを1歩外に出ると危険を伴う日々であることが、リアルに伝わってくる。

 彼らの主な任務はバグダット市内のパトロールだ。時には市民や子供から石を投げつけられることもある。しかし闇雲に銃を撃ち、イラク市民に危害を加えることはしない。市民に最重要指名手配犯の顔写真を配り情報提供を呼びかけることも仕事の1つ。そして情報を元に指名手配犯の潜伏先に突入する。危険と隣あわせの任務だ。

 しかしそんな任務の中でも、時には大声でラップを歌い、ジョークを言いふざけあう兵士たちの素顔には、まだまだ幼さが残っている。

 休日になれば、ガンナー・パレスのプールで泳ぎ、酒を飲んでドンちゃん騒ぎをする。ロックバンドを招いてパーティーも行うこともある。ビールを片手に音楽に合わせて踊る彼らは、普通のアメリカの若者たちと何ら変わらない。ハンバーガーにありついて喜ぶ姿はまだ子供で、陽気に騒ぐ姿からは、戦争の悲壮感は感じられない。

 兵士の中には高校を卒業したばかりの10代の若者の姿も多いのも1つの要因だ。「(高校)卒業後は地元のカレッジに進学するか、軍隊に入る以外はあまり選択がなかった」と入隊の動機を語る。

 「今の1番の敵はイラクではなく、ここ(ガンナー・パレスの寝室)にいるねずみたちさ」とほうきを片手に部屋をかけずりまわる者。マシンガンを抱えて「1度、ビルの壁に向って発砲したことがある。中に人がいたかって? いたかもしれないね」と笑う黒人兵。

 しかし、監督はそんな彼らでさえ、この戦争の意味を見つけられずに迷い、苦しんでいる現実を、我々に突きつけてくる。

 「かつてはアメリカを守るためだと思っていたが、今はもうそう思えない」と答える兵士は、それでも今の任務を誇りに思っていると言う。たくさんの人々が戦死している現状について聞かれ、「答えられない」と即答する兵士もいる。「アメリカの人々がテレビで見ているイラクは、1日24時間週7日ノンストップで見ることができるエンターテインメントでしかない」と言う兵士。戦争に終わりはない現実を突きつけられ、胸が痛くなった。

 兵士の言葉だけをたどると、1歩間違えれば「プロパガンダ」と言われる可能性もはらんでいることは確かだろうが、それだけではない真実の重みが映像から伝わる作品である。

 マイケル・タッカー監督は「マスコミの仕事をしている人間ですら、『戦争は昨日のニュースだよ』と言う」とあるインタビューで答えていた。アメリカで暮らす私たちにとって日々起こる様々な出来事や事件に翻弄され、すでにイラク戦争が過去の出来事となりつつある今、この作品が私たちに訴えかけてくれるメッセージはとてもパワフルで、リアリティーのあるものに感じられる。監督の「これはハリウッド映画ではないので、(この戦争に)終わりはない」という言葉が胸に焼き付いて離れない。

March 15, 2005 04:37 PM | トラックバック (2)

2005年03月08日

気になる来年のオスカー候補

 今年のアカデミー賞から1週間。まだまだ、オスカーの余韻が残るハリウッドですが、巷では早くも「来年は誰が?」「どの作品が?」と、来年度のアカデミー賞に目が向けられています。メディアやネット上には、もうすでに候補作品の予想が出始めています。

 ちょっと気が早いですが、気になるオスカー候補となるであろう作品を一挙まとめて紹介したいと思います。

●「シンデレラマン」 オスカー俳優ラッセル・クロウと女優レニー・ゼルウェガー、オスカー監督ロン・ハワードのゴールデン・トリオが贈る30年代に活躍したヘビー級チャンピオン、ジム・ブラッドクの生涯を描いた実話。

●「宇宙戦争」 スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズの「マイノリティー・リポート」ゴールデン・コンビが描く史上最高の2億ドルの製作費を費やしたSF超大作。天才子役の名を欲しいままにしているダコタ・ファニングの演技にも注目。家族愛を描いた感動作になる予定。

●「キングコング」 「ロード・オブ・ザ・リング」3部作のピーター・ジャクソン監督が製作するリメーク版。ナオミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディが出演。メーンスタッフはほとんどが、「ロード・-」と同じで、オリジナル版を超えるリアリティーある感動ドラマとして描かれると期待。

●「SAYURI」 「ラスト・サムライ」で助演男優賞にノミネートされた渡辺謙主演で、「シカゴ」のロブ・マーシャル監督がメガホンを取り、京都・祇園の芸者の生涯を描いた同名のベストセラー小説の映画化。役所広司、桃井かおり、工藤夕貴ら日本の役者も多数出演。

●「チャーリーとチョコレート工場」 ジョニー・デップ、ティム・バートン監督のコンビが贈るロアンド・ダールの児童文学書の再映画化。デップの主演男優賞にも期待がかかっている。

●「ザ・ニュー・ワールド」 巨匠テレンス・マリック監督がメガホンを取り、コリン・ファレル主演でアメリカ大陸に上陸したイギリス人入植者と先住民のインディアンとの対決を描く歴史大作。マリック監督にとっては「シン・レッド・ライン」(98年)の雪辱を晴らせるか注目されるところ。

●「プロデューサー」 ブロードウェー・ミュージカルの映画化。

●「キングダム・オブ・ヘブン」 「グラディエーター」のリドリー・スコット監督がオーランド・ブルームを主演に12世紀に聖地エルサレムの奪回を目指して組織された十字軍を描く歴史大作。

●「チェ」 スティーブン・ソダーバーグ監督がメガホンを取り、ベネチオ・デルトル主演でキューバの英雄チェ・ゲバラの生涯を描く作品。

 そして、今年の受賞者たちの気になる次回作にも触れておきましょう。

 作品賞、監督賞に輝いたクリント・イーストウッドは、第2次世界大戦中の硫黄島での戦いを描いたノンフィクション「硫黄島の星条旗」(ジェームズ・ブラッドリー作)の映画化に挑戦(06年公開予定)。

 レイ・チャールズのよみがえりとまで言われた「RAY レイ」で主演男優賞に輝いたジェイミー・フォックスは、ハイテク戦争を舞台にしたアクションスリラー「ステルス」(7月全米公開予定)で今度はパイロットに。主演女優賞のヒラリー・スワンクは、サスペンススリラー「The Black Dahilia」に出演予定。

 助演男優賞のモーガン・フリーマンは「バッドマン・ビギンズ」、警察腐敗を暴く「エジソン」、ロバート・レッドフォードと共演する「アン・フィニッシュド・ライフ」など5作品が、年内公開予定。助演女優賞のケイト・ブランシェットは故郷オーストラリア映画「リトル・フィッシュ」が公開を控えている。

 まだまだ編集段階の作品がほとんどのため、あくまでこちらのメディアで伝えられている報道をもとにラインアップしてみましたが、来年の今頃にはどんな結果が出ているのか楽しみですね。

March 8, 2005 04:39 PM | トラックバック (0)