2007年03月23日
「全員野球」に託した仙台育英・武子主将の思い
ぎゅっと握り締めたその手の中には、ユニホームをかたどったお守りがありました。9回裏、無死一三塁と一打同点、長打が出ればサヨナラのチャンスでした。仙台育英の主将、武子仁大君(左翼・3年)は「もう信じることしかできない。このチームにはきっと何かがある!」そう、心の中で祈り続けました。そのお守りは、昨夏の夏の県大会。ベンチ入りできなかった先輩たちが徹夜でひとつひとつ手作りで作ってくれたもの。お守りには部員数の“77”と刺繍されています。 “77”人の思いをこめた夏の甲子園は2回戦進出を果たしました。「ドラマはこれから。絶対に…」このお守りに思いを託しました。しかし、凡打であえなくゲームセット。「まだ、自分たちには何かが足りないということを教えてくれたんでしょう」と試合後、悔しいそうにつぶやきました。
武子君は、昨秋、主将に任命。当時は、試合で打てないとすぐに落ち込んでしまうマイナス志向。しかし、東北大会で、エースの佐藤君からこういわれました。「キャプテンなんだから気にするな。チームメートのみんなが見守っているから大丈夫だよ。オマエが暗くなったらチームもダメになるよ」と。以来、誰よりも先に気持ちを切り替えて、元気な声で明るくチームを盛りたててきました。
2年前、仙台育英に憧れて茨城から野球留学。しかし、最初は慣れない環境にホームシックにもかかりました。「知っている人も誰もいない。ここで2年半は辛いなぁって思ったんです」しかし、そんなとき元気のない武子君に「頑張ろう」「一緒に甲子園に行って活躍しよう」と声をかけてくれたのは、先輩とチームメートでした。また、頑張ろうと思った理由がもうひとつありました。韓国人の母親をもつ武子君。そのお母さんは、アジアで活躍するメークアップアーティストだそうです。小さい頃は、お母さんと一緒に韓国に住み、アジア各国を飛び回った経験も。「韓国は18歳から徴兵制度がある。同じ年代の子たちが苦しい思いをしている。僕だって今ここで苦しいって弱音を吐いちゃいけない。頑張らないと!」そう自分に言い聞かせて歯を食いしばりました。
77人の思いを乗せて戦った昨年の夏、そして甲子園。「自分たちに足りなかったことは、結局、由規頼みになってしまったこと。もっとみんなレベルアップしてそれを直さなければ」先輩たちから受け継いだ「全員野球」で、再び甲子園、そして頂点を目指します。その中心には、元気にチームを盛り立てる武子君の姿があるはずです。
写真は優勝旗を持つ武子君。韓国語、英語がペラペラのバイリンガルです!
March 23, 2007 06:51 PM
