ヨシネーのひとりごと

プロフィル

★本名:保坂淑子(ほさかよしこ)。秋田県出身。★経歴:日刊スポーツ出版社在籍中は、「プロ野球ai」「輝け甲子園の星」のデスク担当。平成14年、退社しフリーに。現在は「プロ野球ai」デスク担当。「輝け甲子園の星」では“ヨシネー”として連載を持つ。甲子園には春5回、夏10回(記者として)出場!?プロ野球、アマチュア野球を中心に執筆中。

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2005年08月20日

優勝旗に負けない強さ~駒大苫小牧、林裕也君

0820-1.jpg「みんな最高だ!」5万人の大観衆の前で叫びました! 応援してくれた観客への挨拶。そして何より一番に「最高だ」と伝えたかった相手はチームメートでした。【写真左から五十嵐大君(三塁)、林裕也君(二塁)、本間篤史君(中堅)、辻寛人君(遊撃)】
 辛かった。苦しかった。全国制覇を果たし、周囲の目は一変しました。チームが一新したにもかかわらず、秋季大会に優勝すると「夏、春連覇」と期待されました。センバツでは2回戦敗退。しかも8回まで無安打に抑えられる屈辱的な敗退。その後の春の全道大会1回戦で白樺学園にも敗退。勝てない。でも、何かをしなければ。この時期、精神的に追い込まれ7kgも体重が落ちました。パワーも落ちて打てない日々が続きました。すべてが悪循環。そんなとき、チームメートの提案で選手だけのミーティングを開きました。一人一人名指しで直して欲しいところを言い合う。一歩間違えると中傷でチームが崩壊し兼ねません。でも、そうでもしないと何も見えない。もちろん林君も言われました。
「一人で背負うな」「一人で悔しがるな」、と。
みんなで支える。
協力するから一人で背負うなよ。
みんなが林君の肩を優しくたたきました。自分で引っ張っているつもりだったチームが、気がつけば友が自分の背中を押していたのです。
「もう一度みんなで頑張ろう」そう気持ちを新たにして夏の大会に向かいました。そして、南北海道大会優勝。「正直、プレッシャーもありました。一人で帰しに行くのはかっこい悪いと思ったり。もう勝てないんじゃないかと思っていました…」そう言って泣き崩れました。
「いいキャプテンになりました。夏になって重荷がとれたんでしょうね。甲子園では生き生きとしています。自分のプレーだけしようと思っているんでしょう。でも、それが結局、チームを引っ張っているんですね」と香田監督も頼もしく成長した林君を見つめました。
去年の主将、佐々木孝介君(現駒大・1年)から譲り受けた数珠は試合の時以外は肌身離さず持ち歩いています。プレーでチームを引っ張る姿は、今でも尊敬しています。苦しくなると、桑島優君(現愛知学院大・1年)に電話をします。唯一、弱音を吐ける存在。「4月に電話があったときは、小さい声で“辛いです”って言っていました。精神的に参っていたんでしょう。それが全道大会で打ったときには真っ先に電話をくれました。”打ちましたよ“っていう裕也の元気な声は、まるで去年の夏のアイツを思い出させるようでした。もう大丈夫でしょう」と桑島君。
 先輩たちから受け継いだのは、重い優勝旗だけじゃない。野球への精神も受け継ぎました。そして、チームメートに支えられてここまできた。そんな思いが、「みんな最高だ!」にこめられていたのです。
小さい頃はどこへ行くにもお母さんと一緒。近所の公園ですら一人で遊ぶことのできなかった内気な少年が、全国の頂点に立ちました。野球が、林君を大きく成長させた。重い優勝旗に押しつぶされそうなくらい、小さい人間だったのかもしれません。しかし、この1年間で大きく成長して、その重さをしっかりと支えられる人間性を身につけた。もう優勝旗の重さになんて負けない。「1年間の自信」を胸に、また新たに歩き始めます。


August 20, 2005 09:42 AM