ヨシネーのひとりごと

プロフィル

★本名:保坂淑子(ほさかよしこ)。秋田県出身。★経歴:日刊スポーツ出版社在籍中は、「プロ野球ai」「輝け甲子園の星」のデスク担当。平成14年、退社しフリーに。現在は「プロ野球ai」デスク担当。「輝け甲子園の星」では“ヨシネー”として連載を持つ。甲子園には春5回、夏10回(記者として)出場!?プロ野球、アマチュア野球を中心に執筆中。

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2005年08月14日

1球の大切さを学んだ~沖縄尚学の野球。

 1球1球。ファールで粘る。沖縄尚学対酒田南。沖縄尚学は9回表。1対4で3点の差が離れていても、決してあきらめることなく1球、1球に食らいついていきました。2つの四球に2本の長短打で1点を返し、1アウト満塁、逆転を信じて選手たちは戦いました。

そんな1球に対するひたむきな姿を見て、ふと選手たちに聞いた「1球の大切さ」の話を思いだしました。

 3年前、今の3年生が入学と同時期に、角田監督が監督に就任。1からチーム作りを始めた角田監督が選手たちに一番口うるさく言ったのは、道具を大切にすることでした。
「バットの置き方など、1から教わりました。道具の管理からできないと野球もプレー、1球の大切さを理解できない、と監督がいつも言っていたんです」と、主将の小泉友哉君(左翼・3年)。
 
 前日の練習で片付け忘れていたボールがグラウンドに残っていたことがありました。すぐに全員集合。グラウンドを10周走らされました。練習試合で、バットケースを他チームに間違えて持ち帰られたときには、「大切に管理ができないのは、1球の怖さを知らないからだ」と、全員がベンチ前に一列に並んで3時間も正座。
「当時は、なんでこんなことで怒られるんだろう?って思ったんですけが、今になって思えば、ボールはもちろん、用具を大切にすることで1プレーを大切にできるようになったと思うんです」と小泉君。

「両親が働いて買ってもらっている。それを当たり前だと思うな。その大切さを知らないとダメだ。グローブにしても見ればつやがあるものや、スパイクもわかるんだ。汚れているものは感謝の気持ちがない証拠。プレーにもそれはつながるんだぞ」そう、角田監督は言い続けてきました。

0814-1.jpgそういえば。センバツも今大会中も。沖縄尚学の宿舎に行くと、選手たちは暇さえあれば野球用具の手入れをしていたっけ。グローブも、スパイクもピッカピカだったなぁ。(写真は、今大会中、夜、素振りの時間に、野球用具の手入れをする沖縄尚学の選手たち)

「与えてもらうことが当たり前だと思うことが普通だと思う選手が多かったんですけが、用具を大切にすることで1球を大切にプレーすることを学びました。角田監督に教わったことが、今、こういう結果につながっていると思います」と小泉君。
今日の1球1球を大切に、戦うみんなの姿は、こういう日々の積み重ねからだったんだね。

「最後まで本当によくやってくれました。どんな球でも食らいついていってくれた。がむしゃらな気持ち。気迫が感じられてうれしかった。一人一人、1球を大切にする心をもって戦ってくれた。このチームは私の集大成。私の指導の中で思い出に残るチームです」試合後、角田監督はこう言って胸を張りました。そして、お立ち台をすっと降りて、選手一人一人と握手。「ありがとう、本当によくやってくれたな」
 こらえていた涙が選手たちの頬を伝いました。技術よりも、大切なことを学んだ選手たち。彼らの人生はこれから。この経験が、この先の彼らが生きる道にに大きく生きてくるのでしょう。

 試合には負けたけど、沖縄尚学のピカピッカの用具たちが、誇らしげに選手たちに寄り添っていました。「この選手たちは日本イチだよ」そう言っているように見えました。

August 14, 2005 07:42 PM