2005年07月28日
広島嶋選手、野球の原点は楽しむこと
夏の県大会も終盤。毎日熱戦が繰り広げられていますね。甲子園出場をかけて一生懸命戦う選手たちの姿を見ていて、野球っていいなぁ~。みんな野球が好きなんだなぁ~ってしみじみ見ちゃいました。そして、ふと先日広島の嶋重宣選手に聞いたこんな話を思い出しました。
小さい頃、背の高さを刻んだ柱のキズ。好きな子の名前を彫った学校の机。皆さんの心の中にも、小さい頃の思い出を跡に残した記憶。ありませんか? 嶋君にとっての思い出は、「壁」でした。
小さい頃から野球をやっていた兄の影響で野球が大好き。兄がプレーしていた「霞ヶ丘少年野球クラブ」で一緒に野球がしたくて幼稚園のときに「僕も入れてください!」と言ったものの、入部資格は小学校入学から。
「なんで入れてくれないんだよ~」。何度も断られては、いつも泣きながら家に帰ってきたのだそうです。決まってそんな時は、グローブとボールを握りしめて家の前の壁に向かいます。いつもキャッチボールの相手をしてくれる兄の代わりをしてくれるのが壁。シクシク泣きながら1球…2球。「お兄ちゃんが学校から帰ってきてキャッチボールの相手をしてくれるのが楽しみでね。壁をお兄ちゃんがわりにして、その帰りを待っていたんだよね」。
コンクリートの壁はボールが当たるところだけが白く削れて跡が残っていました。幼稚園の卒園式が終わったその日の午後。兄の練習するグラウンドへ走って行き、監督の前へ。
「ボク、もう小学生になりました! チームに入れてください!」。念願叶っての野球。その練習の毎日は本当に楽しかったそうです。
「中学に入ったら、同じチームの選手がみんなシニアに行くっていうから、じゃあ僕も入ろうかなと思った。シニアに入ったら硬球になる。硬球は指のかかり方が違う。投げて早くその感覚を覚えておこうと思ったんだよね」
今度は、小学校のグラウンドの横にあった倉庫の壁を相手にキャッチボール。
「やり始めて1週間もしないうちに、ブロック塀に穴が開いちゃってね(笑)。多分、近くから投げたからだと思う。誰がやったんだ! って監督が怒っていたけどしらばっくれた(笑)。それでも毎日少しずつ場所をずらして壁当てをしてたけどね」
当時はエースで4番。体は群を抜いて大きかった。小学校5、6年でホームランの通算は80本! 東北高校時代は、「剛速球」で脚光を浴びた嶋選手。そりゃあ、当時からすごい球だったんだろうね。
中学に入り「上福岡シニアリーグ」に入団。今でも覚えているのはバッティング。「バットは重くなったけど、硬球ってよく飛ぶな~ってビックリした。バッティングが気持ちがいい。カキーンっていい音がするでしょう。あれがバッティングって楽しいな~って思ったきっかけかもしれないね」
硬球と接して野球の面白さを再確認したあの頃。
「小学校、中学校。そして高校野球とどんどん厳しい練習になっていくでしょう。でも、野球の原点は楽しむもの。野球を好きな気持ちを大切にして欲しいよね」
楽しさを小さい頃から知っているからこそ、厳しい練習にも耐えられるんだね。
「上手になりたければ、人の見ていないところで努力するんだよ。ほら、僕だって壁に穴が開こうが、監督に怒られようが、毎日、隠れて壁当てをしていたからね(笑)」
野球をやりたい。硬球に慣れたい。そんな思いをぶつけてきた壁。家の前の壁の白い跡と、小学校のグラウンドの横の壁。そのいくつもの穴は、今や「赤ゴジラ」として活躍する嶋選手の成長を刻んだ原点なのです。
そんな話を聞きながら、ふと頭の中に浮かんだセピア色の映像。壁を相手にキャッチボールをする野球小僧がそこにいました。…あ、嶋君だ(笑)。
July 28, 2005 04:14 PM
