虎番ブログ

2007年07月30日

下柳がアルプス席の珍客発見:今井貴久

 魔物ではない。甲子園球場の一塁側アルプス席に現れたのは、イタチだった。試合前練習中に階段でトレーニングをしていた下柳が発見。黄金色の体を素早く切り返し、イスの間をすり抜けて逃げていった。

 「ドーム育ち」にとって、驚かされるのは珍客だけではない。夏の暑さは、ナイターでも太もも裏から汗をかくほどだ。突然の豪雨も銀傘をたたきつけるほどの威力。たった4カ月前の開幕当初は、上着を1枚忘れて凍えていた。

 東京での小学生時分、危ないという理由で公園でボールを使うことは禁止だった。駐車場に場所を移すと「野球をやるところではない」とスーツを着た人に一喝された。学校の校庭は1周60メートルのコンクリート。内野しか取れず、野球部の試合形式の練習はテニスボール。校舎の窓を割らないためだった。

 それでも野球は楽しかった。そして、ここに来ての甲子園。西武荒木投手コーチが交流戦で訪れたときに「やっぱり、甲子園はいいよな」としみじみと言った。自然に近い場所だからかもしれない。暑いの寒いの、幸せに違いない。

July 30, 2007 07:38 PM | トラックバック (0)

2007年07月23日

宮城で85年の3連発「再現」?:酒井俊作

 自慢話でも何でもないけれど、少し胸を張りたくなった。先週末は藤川、久保田を追って球宴取材。宮城フルキャストスタジアムでのひとコマだ。試合前、打撃ケージ裏で談笑していたのは岡田監督、ランディ・バース氏、そして元巨人の槙原氏だ。このキャストとくれば、1人足りない…。

 その姿を近くにいたタレント松村邦洋さんに伝えると、腹を抱えて大笑い。なぜか全然分からないけど多くの人を笑わせているコメディアンに笑ってもらって、誇らしいというか、光栄というか、何というか…。

 松村さんは機転を利かせて言う。「僕がニセモノで行ってきますよ」。阪神ファンだから、そのシチュエーションがすぐ分かる。そう、掛布氏のモノマネは得意中の得意。そのまま豪華キャストのなかに溶け込んだ。85年のバックスクリーン3連発を「再現」する超即席コントだった。

 野球取材を通じて、ベンチでいろんな方にお会いする。松村さんもその1人だ。何度かお話しさせていただいたことがあるが、印象に残っている言葉がある。小泉前首相をはじめ、70人以上のモノマネができるという。有名人の特徴を絶妙につかみ、爆笑させる。その秘けつを聞くと「マネをする人のことを好きになることが大事なんですよ」と言う。

 入社1年目に先輩記者に教わったことと似ている。コメディアンと記者に通じる「共通点」なのかもしれない。いよいよ勝負の後半戦が始まる。そんなスタンスも大事にしつつ、虎を追えればと思う。

July 23, 2007 07:16 PM | トラックバック (0)

2007年07月17日

ボギーを怒らせたひと言:佐井陽介

 異文化コミュニケーションは楽しい。最近、鳴尾浜でボーグルソン投手こと「ボギー」と喋る機会が多い。皆さんご存知の通り、この助っ投には超美人妻がいる。オマリー氏と共に甲子園球場のCMに出演している、あのニコール夫人のことだ。

 先日、甲子園球場の通路で初めて“生ニコールさん”を見た。背が高い! 顔が小さい! そして足が長い! 170センチ短足の僕の胸あたりまで足がある。ぶったまげたので、翌日ボギーにその話をしてみた。いつもお世話になっている通訳さんを介さずに、意味不明な英語で体当たりだ。ルー大柴風に訳すとこんな感じか。

 記者「ユッ、ユーのワイフは背がトールだね」

 ボギー「そうだろ。僕は190センチ以上あるけど、彼女も185センチ位あるんだ」

 記者「しかもベリービューティフル。オーマイガーッて感じだよ」

 ボギー「サンキュー。僕とニコールだったら、どっちがイケてる? 」

 記者「う~ん、ディフィカルトなクエスチョン。ユーも最高にクールだけど、ニコールさんの方が更にちょっとだけワンダフルかな」

 ボギーは驚きながら、何故か苦笑いを浮かべている。まあ、楽しそうだからいいか。やはり会話は心と心で通じ合うものなんだな~ その日は悦に浸りながら、鳴尾浜を後にした。

 翌日、再びボギーの取材を試みた。「だいぶ打ち解けることができたな」。妙な自信を抱き、ニヤニヤしながらボギーに近づいた。すると彼は僕を指差して通訳さんにまくし立てた。「こいつったら、ひどいんだぜ。ニコールのことは美人だって言う癖に、僕はハンサムでも何でもないって言うんだ。失礼な奴だよ」。!??? そっそんな事言ったつもりはないんだよボギー! 許してくれボギー! そして彼は僕に向かってニヤリとひと言。「もう君の取材にはノーコメントさ」。英語って難しい…。

July 17, 2007 04:04 PM | トラックバック (1)

2007年07月09日

勝負事は礼に始まり礼に終る「シモ・ネタ」:町田達彦

 これぞプロ! というシーンやプレーに数多く立ち会うことが、野球記者をやっている喜びだろう。2年ぶりにカードを勝ち越した7月6日からのナゴヤドーム。鬼門の敵地で最もプロらしさを感じたのは、初戦先発の下柳投手だ。ただし投球ではなく、3戦目の試合前のあるヒトコマで。

 ドームに入ると、2日前のヒーローは打撃ケージ後ろの中日落合監督に恐縮しながら歩み寄った。落合監督が気づき、さっと右手を出して固い握手。そこからしばし談笑していた。

 1戦目の力投は、史上最高齢到達のプロ通算100勝目。試合後に花束をもらい、場内インタビューに応じた。敵地ながら粋な計らいに、感謝を告げたのだろう。翌2戦目ではなく1日、間を置いた3戦目の前に…という敵将への配慮に、この世界で長く飯を食う男のデリカシーを感じた。そういえば落合監督も敗戦後「シモにやられるときはこんな感じになる」と恨み言の1つもなくさっぱり。日本ハム時代に現役で重なっていることもある2人に、勝負事は礼に始まり礼に終わるを見た。

 えっ、今回はえらい堅苦しい話だなと? 「シモ・ネタ」や「オチ」は織り込んだつもりですが…。

July 9, 2007 02:16 PM | トラックバック (2)

2007年07月02日

ボーグルソンが小声で「ありがと」:今井貴久

 新しい環境でスタイルを貫く。現在、右肩腱板(けんばん)炎で2軍調整中のボーグルソンは開幕してから、登板直後以外、報道陣の質問を受け付けなかった。「アメリカでもずっと、こうしてきたから」が理由。調整中でも集中力を切らせたくなかったのだろう。

 5月11日のヤクルト戦(神宮)で3勝目を挙げた時だった。移動バスに乗り込む前に立ち止まり“公約通り”取材に応じた。通訳を通しての質疑応答になるが、最後にこちらが「サンキュー」と、ギリギリの英語で謝意を表した後だった。「ありがと」。長身の新外国人は小さな声で、恥ずかしそうに日本語で返してきた。

 プロ選手なら、ファンに言葉を伝えることも仕事だろう。反面、プロセスの段階で語らないことが最良の結果を得る手段なら、周囲も協力するのが筋かもしれない。だが小さな「ありがと」を聞き、自分のスタイルを貫くだけではない、何かに踏みだそうとしている「風」を感じた。ボギーを、待つ。

July 2, 2007 04:34 PM | トラックバック (3)