2007年05月14日
赤星が伝授した“門外不出”の技:酒井俊作
懐かしい光景だった。先週末、神宮球場でヤクルト戦を取材する前、午前中に隣接する国立競技場に立ち寄った。陸上の「関東インカレ」を観戦。いるいる、母校のジャージを着た学生が…。特設テントの位置、入場門でOBにチケットを手渡す1年生。私が学生の頃と、何も変わらない。
印象深いシーンもあった。走り終わった選手は今夏の世界陸上代表候補の現役OBに駆け寄り、談笑していた。憧れの対象からのアドバイスは何物にも代えがたい。「伝統」という言葉は重厚で、堅苦しいイメージを与えるが、世代を超えて何かが受け継がれれば、それは貴重な財産になる。
スタンドで見ていて、快足で鳴らす阪神赤松の話を思い出した。5月5日広島戦(甲子園)の6回。今季初めて盗塁を失敗した。スタートの遅れを指摘されたが、それだけではない。
赤松「回を追うと、みんな走るから走路がどんどん柔らかくなる。赤星さんに『みんなが走っていないところを走れ。半歩前とか半歩後ろとか』と言っていただいたことがある。心掛けないといけないですよね」。
5年連続盗塁王の実績を誇る赤星から赤松へ-。ハイレベルな走塁技術を持つ不動のレギュラーから「伝授」されたものは将来、赤松の血となり肉となる。チーム全体を思う気持ちが人一倍強い選手会長の赤星だからこそ“門外不出”の技をあえて伝えたのだと思う。そこに懐の深さを見た。
売り出し中の狩野は今年1月、矢野に合同自主トレを申し出て実力をつけた。阪神の良き「伝統力」が、常勝軍団の土台になるのだと感じた。
May 14, 2007 10:35 PM
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