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<title>MLBコラム/鉄矢多美子</title>
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<title>第１８１幕　ヤンキース「Ｖ奪還」の刺客たち</title>
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<summary type="text/plain"> 　カリビアンシリーズも終わり、ドミニカ共和国の選手たちは、それぞれのキャンプ地...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="0802120051.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/baseball/tetsuya/0802120051.jpg" width="250" height="167" /></p>

<p>　カリビアンシリーズも終わり、ドミニカ共和国の選手たちは、それぞれのキャンプ地に向けて次々と母国を旅立つ日々が続いている。そんな中、ヤンキースのロビンソン・カノとメルキー・カブレラの２人は、いまだ母国に居残り、首都サントドミンゴの施設で、連日汗を流している。</p>]]>
<![CDATA[<p>　彼らがトレーニングしているジムを覗いてみたら、デビット・オルティーズ、オダリス・ペレス、ラファエル・ソリアーノといったメジャリーガーたちが、呉越同舟、リラックスムードで体を動かしていた。筆者を見つけるなりカノとカブレラが駆け寄ってきて、いきなり「ヒデキはまだ日本？」と聞いてきた。「とっくに日本は発って、１２日にはタンパに入るはずだ」と伝えると、２人の顔が一瞬引き締まったように見えた。</p>

<p>　カブレラは「彼のことだから、日本でもいっぱいトレーニングしていたんだろうね」とか「体は引き締まっていた？」などといろいろと聞いてきた。そして「俺たちみんなが一丸となって突き進めば、きっと取り戻せるさ」と言った。その心は…ペナント奪還のための戦いはもう始まっている。どこにいても各自が高い意識を持って練習に取り組んでいさえすれば、きっとリベンジできる…ということのようだった。</p>

<p>　今月７日に４年総額３０００万ドル（約３３億円）でヤンキースと再契約したばかりのカノは、目で見た限り、ひと回り大きく、逞しさが増してきたように見えたし、そのカノに「腰巾着」のようについてまわっている伸び盛りのカブレラは、昨年より自信に満ち溢れた表情を漂わせていた。</p>

<p>　久しく若手が台頭してこなかったヤンキースだが、自信と力をつけてきた２５歳と２３歳のこの若き２人が実力を発揮すれば、チームの大きな推進力となることはまちがいない。ヤンキースＶ奪還のための刺客たちは、今、母国でキャンプイン直前の最後の調整を行っている。<br />
（ドミニカ共和国にて）</p>

<p>　<strong>※写真は、真剣な表情でトレーニングをするロビンソン・カノ</strong></p>]]>
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<title>第１８０幕　中南米の野球事情・ウインターリーグ最終章</title>
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<modified>2008-01-31T04:44:15Z</modified>
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<summary type="text/plain">　野球が盛んな中南米、カリブ海一帯の国々は、シーズン最後を締めくくるカリビアンシ...</summary>
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<![CDATA[<p>　野球が盛んな中南米、カリブ海一帯の国々は、シーズン最後を締めくくるカリビアンシリーズ（２月２日～２月７日）を直前に、異常な盛り上がりを見せている。それは彼らにとってのワールドシリーズであり、日本シリーズにも匹敵する。いや、もしくはそれ以上だと思わせるほどの、ボルテージのあがりようだ。時には死人が出るほどの騒ぎにもなるのだが、よしんば死人やケガ人が出たとしても、みんなの関心は「勝った、負けた」の方に向いていて、新聞記事にもならないほどだ。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　数年前、ドミニカ共和国のチャンピオンシップを見てホテルへの帰途、夜中の２時をまわっていたにもかかわらず、道の両側に立ち並ぶ群集に、いちいち車を止められ、その日対戦したチームのどっちを応援したのかを「尋問」されたことがある。</p>

<p>　もし、うっかり彼らが応援しているチームと反対のチーム名でも口走ろうものなら、タダじゃ帰れなくなる。車ごとひっくりかえされ、時には火をつけられることだってある。そんな危険をかいくぐりながらだから、いつもは１時間ほどで帰れる道のりが、３時間４時間とかかってしまうのだ。</p>

<p>　日本からすれば、そんな狂気は想像もつかないであろうが、日本と他の国では明らかに野球に対する群集、ファン心理などにおける温度差がある。そればかりか、野球を取り巻く環境にも大きな差異が見て取れる。</p>

<p>　たとえば、野茂がウインターリーグに参加していたベネズエラでは、石油産出国だけに、さぞかし国民は潤っているだろうと想像しがちだか、実はそうではない。５つ星のホテルに宿泊しても「きょうはミルクがないの。明日？　それは明日にならないとわからない」という有様だった。</p>

<p>　食用油や日常生活必需品の不足は慢性化している一方で、ガソリンは１リットル約２円という安さ。とはいえ、貧富の差が大きく、車をもてる人間はガソリンの安さに十分な恩恵を受けているが、車を持てない貧困層の人々にとっては何のメリットもない。むしろ、経済格差が広がる一途をたどっている。そうした激しい経済のひずみを抱えながら、それでも野球は連綿と続き、人々はひと夏（季節が正反対だから）のゲームに酔いしれる。</p>

<p>　ベネズエラの野球場で、失業中だという中年男性に聞いた話を思いだした。「ここ（野球場）では、お金持ちも貧しい者もみんな平等だ。平等にヤジを飛ばし、平等に怒り、平等に拍手を送り、平等に喜べる。野球という名のもとでみんなが平等なんだ。球場に来ている間、僕らは魔法にかかっているように何もかも忘れて楽しめる」。シーズンオフに帰国し、それまでテレビで見ていた「おらが街のヒーロー」を目の当たりにした高揚感も手伝って、いやなことをすべて忘れてしまうというのだ。中南米では生活の中に生きづいている野球というものを強く感じる。だからこそ異常な盛り上がりかたをするのだろうと思った。</p>

<p>　ベネズエラで会った中年男性の言葉を反芻しながら、この週末から始まるウインターリーグの最終章、カリビアンシリーズ（ドミニカ共和国のサンチャゴ）を覗いてみることにしよう。</p>]]>
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<title>第１７９幕　野茂やテハダが発する野球熱</title>
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<modified>2008-01-23T07:37:20Z</modified>
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<![CDATA[<p>　１月９日付けのコラム（１７７幕）で、ミゲル・テハダのことに触れた。その直後に大きな動きがあった。１月１５日に薬物問題で偽証罪が問われたのだ。同日、６歳年上の実の兄が、自分の家の近くで交通事故死している。偽証罪疑惑と実兄の死という不幸に直面したテハダは、もう母国でのプレーをやめるのではないかと思っていた。ところが、１７日からのファイナルチャンピオンシップの初戦だけ休むと、１８日からは、まるで何事もなかったかのようにラインナップに名前を連ねてきたのだ。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　周囲が騒然としている最中、ファイナルチャンピオンシップに連日フル出場して、メジャーのシーズンさながらのプレーを見せている。全米にとどまらず、ある意味、全世界が注目し包囲網が敷かれている感のある状況下、この問題を自分の中でどう受け止めながらプレーしているのだろうか、集中力は途切れることがないのだろうかと、不思議でならない。ある意味、“乗り降り自由”のウインターリーグ。こんなことが自分にのしかかれば、プレーする必要もないし、第一、モチベーションもあがってこないことが予想される。</p>

<p>　もし日本でこんな状況下に置かれたとしたら、多くの日本選手はおそらく野球どころではないメンタリティーになるだろう。それでもプレーを続行するテハダのこの強靭な精神力は、いったいどこからやって来るのだろうか？　日本で野球をウオッチする我々にとって、彼らの行動は理解に苦しむことが多い。しかし今、そのナゾを解く答えをベネズエラのウインターリーグに参加した野茂が教えてくれたような気がしている。</p>

<p>　その功績はメジャーリーグで十分に認められており、なかなか人を認めようとしないあのボンズまでもが一目置き続けた野茂。肩や肘の手術を乗り越え、リハビリを経てドン底から這い上がろうとするその精神力とエネルギー。ベネズエラに到着した最初の記者会見で「何があなたをそうさせるのか？」という質問に対する野茂の答えはこうだった。「まあ、自分は野球が好き…。というより、野球をするのが好き。自分がしたかっただけ」。</p>

<p>　すっーという感じで野茂が言ったこの言葉を反芻し、よくよく考えてみると、そこからは野球に対する気持ちの傾け方が尋常ではないものが見えてきた。それはテハダとて同じなのだ。誰よりも、何よりも深く野球を愛し、それが生活の一部、もしくはリズムにもなっていて、すでに、彼らの中にはプレーせずにはいられないという「野球ＤＮＡ」のようなものが体の中に生まれているのではないだろうか…。彼らからほとばしり出る熱は、そんなことを思わせてしまうほど熱い。</p>]]>
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<title>第１７８幕　左手に彫られた「楽」が意味するもの</title>
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<modified>2008-01-16T15:34:14Z</modified>
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<summary type="text/plain"> 　エンジェルスのエルビン・サンタナが、１５日に行われたドミニカ共和国のウインタ...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="tetsuya080116.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/baseball/tetsuya/photo/tetsuya080116.jpg" width="250" height="180" /></p>

<p>　エンジェルスのエルビン・サンタナが、１５日に行われたドミニカ共和国のウインターリーグ(リセイ・タイガース所属）で６回を無失点に抑え、キャンプに向けて上々の仕上がりを見せている。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　２００５年５月１７日に２２歳でメジャーデビューを飾ると、この年いきなり１２勝（８敗）して、ポストシーズンにも出場するなど、彗星のように現れた若きエースに注目が集まった。翌０６年には１６勝（８敗）と、まさに日の出の勢いでのし上がり、周囲からの期待は大きくなるばかりだった。</p>

<p>　だが、昨年は思うように調子があがらず、７月に入ると打ち込まれる試合が続く。ついには月間防御率が１２・５６までハネ上がり、夏場の約１カ月、３Ａでの調整を余儀なくされることになった。三振のとれる投球も陰をひそめ、これまで簡単に料理できていた打者からも容赦なく襲いかかられた。こうなると悪い展開が次々に巡り、ついには自信喪失へ…。</p>

<p>　出口のない迷路で、自分を見失いかけていたとき、サンタナはふと自分の左手の甲に目をやった。そこには漢字で「楽」という一文字がタトゥーで刻まれていた。もちろん「ｅｎｊｏｙ」というその意味を知った上で彫りこんだ文字だったが、そこで、すべてにおいて「楽＝ｅｎｊｏｙ」できていない自分に気づく。</p>

<p>　それからはマイナーリーグでの登板でも何かしらの「楽」しみを感じつつマウンドに立つことにした。エンジェルスは快進撃を続け、優勝へ向かってまっしぐらに突っ走り始めた８月中旬、メジャーに呼び戻された。チームが地区優勝を決めた９月２３日のシャンパンファイトの歓喜の輪の中にサンタナはいた。その騒ぎが一段落すると左手の「楽」という一文字を感慨深く眺め、それから軽くキスしていた。</p>

<p>　年明けにホワイトソックスのポール・コナーコとのトレード絡みで名前があげられるなど周辺は騒がしかったが、雑念を打ち払い自分の投球に集中しようとする姿勢が、１５日の素晴らしい投球に結びついたのだと思う。その日は「楽」という一文字が一層輝いて見えたことだろう。しかし、苦しいとき、いや苦境に陥ったときこそ、その一文字が自分の支えになってくれることをサンタナは知っている。</p>

<p><br />
　<strong>※写真は、左手に刻まれている「楽」</strong></p>]]>
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<title>第１７７幕　母国と、メジャーと、時々日本</title>
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<modified>2008-01-09T14:43:08Z</modified>
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<summary type="text/plain">　メジャーのシーズンが終わり、母国のドミニカ共和国に帰ってからもミゲール・テハダ...</summary>
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<![CDATA[<p>　メジャーのシーズンが終わり、母国のドミニカ共和国に帰ってからもミゲール・テハダはほとんど休むことなく体を動かしてきた。生まれ故郷の「バニ」に自ら出資して作った「ミゲール・テハダ球場」で、チャリティーゲームを主催し、子供たちに野球を教えて回る日課も続けている。そして、まるで年明けを待ち構えていたかのように、この２日から母国のウインターリーグでプレーも始めた。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　「シーズンオフは、自分が育ててもらった国や地域に恩返しができる絶好のチャンス」。スーパースターになってからも変わることのないそんな思いが、テハダを野球場へと駆り立てる。同様の気持ちでプレーしていた、ヤンキースのロビンソン・カノには、昨年末、ケガを懸念する球団から「出場禁止令」が出された。テハダは「母国」と「メジャー」の板ばさみになり、出場できなくなったカノの分まで背負ってプレーしている。</p>

<p>　また、今年は所属するチーム（アギラス）の地元・サンチャゴで、２月２日からカリビアンシリーズが開催されることになっており、ホスト国の中心選手としては特別な思いがある。一昨年、ベネズエラで行われたこのシリーズには、プライベートジェットを駆って乗り込むなど、どの国で行われようと参加には常に前向きだ。そこからは、母国のユニフォームを身にまとい、母国の人々に自分がプレーする姿を心行くまで見せたいという強い思いが感じ取れる。</p>

<p>　そのカリビアンシリーズが終われば、キャンプインはもう目の前だ。アストロズに移籍したテハダが特に楽しみにしているのは、松井稼頭央と二遊間を組むことだ。「いつの日か日本でプレーしてみたい」と言うほど、日本びいきのテハダにとって、日本のトップクラスの選手とコンビを組み、シーズンを戦い抜くことはこの上もなくいいモチベーションになるのだという。</p>

<p>　母国を思い、アストロズでのプレーを待ちわび、いつの日か日本でも…。あれこれと思いを巡らしながら、今年もテハダは有意義なオフを送っている。</p>]]>
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<title>第１７６幕　指揮官を熱中トークに誘った松坂と岡島の活躍</title>
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<modified>2007-12-25T04:21:06Z</modified>
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<summary type="text/plain">　レッドソックスの世界一で締めくくられた今季。あらためてシーズンを振り返ったフラ...</summary>
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<![CDATA[<p>　レッドソックスの世界一で締めくくられた今季。あらためてシーズンを振り返ったフランコーナ監督が、松坂と岡島を高評価した。「彼らにとっては、何もかもが初めてのことばかりで、さぞかし苦労も多い１年だったと思う。そんな中であれだけの活躍をしてくれるとは…。毎日、毎回、彼らのパフォーマンスを驚きの連続で見守っていた。あの２人抜きではレッドソックスの優勝は語れない」とまで言い切った。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　ウインターミーティングの記者セッションでも全米のメディアを前に、具体的なエピソードを交えながら、２人を絶賛した。「打撃練習の時間は外野に散らばっている投手たちにとって、チームメイトとコミュニケーションをとるなどしながら、試合前に唯一リラックスできる時間のはず。でも彼らにとってその会話ですら仕事だったと思う。少しでも早くチームに溶け込み、いかにいいチームメイトになろうかと頑張っていた」。</p>

<p>　見渡せば、他チームでは、チームの補強のためトレードやＦＡ選手の獲得などで、関係者が西に東に奔走し、札ビラも飛び交っている。レッドソックスもＦＡになったシリングとロウエルの穴埋めのため補強が必要なはずだったが、この２人が他の条件のいいチームのオファーを蹴って、舞い戻ってきた。これにより、多少の出入りはあれど、大きく動く必要がなくなった。現時点では「世界一戦士」を温存した形で、来季を迎えることになる。</p>

<p>　「他チームもアグレッシブにチーム編成をしかけてきている。決して油断はできないが、うちは今のところローテーションも打順もポジションもほとんど世界一のまま大きな変動はない。これは大きい」と、余裕の表情を見せるフランコーナ監督。「こんな余裕が持てるのも、松坂と岡島がいてくれたから。彼らの闘争心がチームに乗り移り、勝つことに向かって突き進んで行った感があった」と、世界一に到達した要因を分析した。</p>

<p>　「私はＯｋｉ（岡島）とＤａｉ（松坂）を心から誇りに思っている。経験を積み、自信をつけ、勝つことの喜びを身を持って知った彼らに、来季は、もっともっとすごい展開がまっていることだろう。彼らの未来は限りなく明るい。もちろん彼らがいるレッドソックスは言うまでもない」。普段はそれほどまでに選手を持ち上げることのない指揮官だが、このオフ、松坂、岡島の話題に触れると我を忘れて熱中トークしてくれた。そこからは、２人が、どれだけ意義深く価値あるシーズンを過ごしたかをはかり知ることができる。</p>]]>
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<title>第１７５幕　井口争奪戦に敗れた「赤鬼」の無念</title>
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<modified>2007-12-17T03:30:47Z</modified>
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<![CDATA[<p>　メジャー球団が熾烈な獲得競争を繰り広げた福留、黒田の行き先も決まり、大物日本人選手の獲得バトルは一段落した。彼らばかりに注目が集まった感があるが、実は井口資仁を巡る獲得競争も、負けず劣らず熾烈を極めた。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　ウインターミーティングの会場で耳にした球団だけでもフィリーズ、エンゼルス、オリオールズ、ドジャース、ブルワーズ、ロッキーズ、アストロズ、パドレス、ジャイアンツなどなど、１０球団以上にも上り、人気の高さを思い知らされた。</p>

<p>　中でも特にご執心だったのが「赤鬼」の異名を持つ、フィリーズのチャーリー・マニエル監督だ。ウインターミーティングの初日から最終日まで「何とかうちでプレーしてくれないだろうか」と井口サイドの動きをやきもきしながら見守っていた。だが「二塁」にこだわる井口に対し、フィリーズにはチェイス・アットリーという不動の二塁手がいるため、どうしても「三塁で」という条件が譲れない。絶対的に不利な立場であると承知しつつも、一縷の望みをかけて待つしかなかった。</p>

<p>　同じ内野手でも二塁手と三塁手では動きが違う。井口の「三塁手」としてのプレーを実戦で見たことがないマニエル監督が、なぜそれほどフィリーズ入りを切望したのか。その理由は「三塁はリアクションポジションといって特に素早い反応が要求される。ステップクイックネス。クイックハンズ。細かい動きが速い彼のプレーをみてきて、彼はすぐに三塁手としてアジャストできる」。今季後半、自チームで目のあたりにした井口の高い技術、能力にぞっこん、惚れ込んでいたのだ。</p>

<p>　しかも、二塁手から三塁手に移行するにあたっての極意を「二塁手はボールを捕るとすぐに投げる癖がついている。三塁手にアジャストするには、ロングトスで腕をストレッチアウトする練習が必要。三塁手独特の送球だけがちょっと気になってはいるが、今までの井口を見てきて、彼ならすぐに対応できると思った。スプリングトレーニングでしっかり練習し、ゲームの中で練習を積み上げていけば全く問題ない」と、具体案まで持ち出して井口の決断を待ち望んでいた。</p>

<p>　だが、井口は二塁というポジションが約束されたパドレスを選んだ。しかも気候や治安もよく、全米でも常に「一番住みたいところ」のトップクラスにランクされるサンディエゴという場所も、家族のことを考えれば申し分がない。「井口に二塁ができるスポットがあるのなら仕方ない。でも私は井口が加わるそのチームのことを、とても羨ましく思う。なぜなら、私のチームでプレーして欲しいと思う気持ちがとても強かったから」。井口争奪戦に敗れた「赤鬼」の無念は図り知れない。</p>]]>
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<title>第１７４幕　Wミーティングで見た日本市場の「異変」</title>
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<modified>2007-12-10T04:48:04Z</modified>
<issued>2007-12-10T04:41:40Z</issued>
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<summary type="text/plain">　テネシー州ナッシュビルで行われたウインターミーティング（１２月３日??６日）で...</summary>
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<![CDATA[<p>　テネシー州ナッシュビルで行われたウインターミーティング（１２月３日～６日）で、「異変」が起こっていた。これまでになく「日本市場」が活況を呈し加熱気味だったのだ。それ以前に小林雅（インディアンズ）、薮田（ロイヤルズ）らの契約がすんなり決まっていたことや、黒田、福留という大物選手のメジャー入りをめぐる動向が大いに注目されていたこともあり、広い会場では「日本」に関するさまざまな情報が飛び交っていた。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　いつもなら選手獲得に関することは、さしさわりのないコメントで逃げるか、黙して語らないＧＭたちも、我々日本人記者を見かけると「黒田の状況はどうなっているのか？」「福留のメジャーでプレーする意思は決まったのか？」などと逆取材してくる始末。もちろん彼らは、代理人を通じて情報を入手しているにちがいないのだが、それでも少しでも日本からの新しい情報を手に入れ、他球団より抜きん出ようと必死になっているのだ。</p>

<p>　福留の獲得を熱望しているカブスのジム・ヘンドリーＧＭなどは、雑談の中で「シカゴは日本食レストランも充実しているし、仲間には日本語を話せるソリアーノもいる。デレク・リーだって日本育ちだ」と、カブスと「日本」との係わり合いを強調。「そのことも含めてカブスはいい球団だと説明しておいて欲しい。それでもし福留が入団にＯＫしてくれたら、君には来シーズン、リグレーの特等席を保障するよ」などと、舌もなめらかなことこの上なかった。</p>

<p>　これほど「日本」が注目を浴びたことに対して「今年はアメリカ市場にそれほど期待が持てなかったから」という見方もあったが、一方ではＷＢＣなどで日本の力をまざまざと見せられたことなどから、急速に「日本の野球」に視線が向けられるようになっていった面もある。そんな流れの中、今季は「日本人選手の活躍なしではメジャー野球が語れない」と言われるほど、彼らは獅子奮迅の働きをし、底力を見せ付けた。こうしたことを鑑みれば、日本市場がスポットライトを浴びるという「異変」は起こるべくして起こったと言えるだろう。</p>

<p>　ウインターミーティングのパブリックな会場では、ベーブ・ルースが来日した折の古い映像を織り交ぜ、野茂英雄の活躍からＷＢＣでの優勝、レッドソックスを世界一に導いた松坂や岡島の活躍に至るまで、日本野球とメジャーリーグのかかわりあいに関するハイライト映像が繰り返し流されていた。そこからは日本の野球が、いかにメジャー野球にとって重要な一部分になっているかを感じ取らずにはいられなかった。</p>

<p>　すべての日本人プレーヤーがこれまでメジャーの中に着実に築いてきてくれた「日本ブランドへの信頼」は、もう揺るぎないものになっている。</p>]]>
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<title>第１７３幕　ＭＶＰ男ローリンズの大胆な目標とは？</title>
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<modified>2007-12-03T03:25:58Z</modified>
<issued>2007-12-03T03:20:33Z</issued>
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<created>2007-12-03T03:20:33Z</created>
<summary type="text/plain">　今季のナ・リーグＭＶＰにフィリーズのジミー・ローリンズが選出された。一番驚いた...</summary>
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<![CDATA[<p>　今季のナ・リーグＭＶＰにフィリーズのジミー・ローリンズが選出された。一番驚いたのは当の本人で「まさか僕が選ばれるとは」と嬉しさをかみ締めていた。名前のとおり？　小兵でジミ目な選手ではあるが、実は確実なバットコントロールとすばしっこさに加え、近年ではパワーアップして長打も増え、相手投手にいやがられるタイプの打者に成長してきた。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　今季は特に長打が際立ち、本塁打（３０本）、三塁打（２０本）はいずれも自己新記録。中でも注目されるのが２０本の三塁打だ。この数字はセントルイス・カーディナルスがチーム全体で記録した１３本より７本も上回っているのだ。チャリー・マニエル監督は、フィリーズが地区優勝できたのは、もちろん個人の成績ではないとしながらも、この切り込み隊長の出塁とベースランニングが大きく貢献したことを認めている。</p>

<p>　ローリンズによれば「僕は打ってから一塁に到達すまでのタイムは、３秒の後半だが、一塁から二塁、三塁に進むにつれ加速して速くなる」のだという。イチローや赤星などが３秒前半で走り抜けることを思えば、一塁に到達するまでのローリンズは決して速いとは言えない。「子供のころから１００メートルは全くダメだったが、加速ができる２００メートルでは抜群のタイムでゴールした」と、走る距離が伸びるほどに自信を持っていた。三塁打の量産も長打力プラス加速力のたまものだといえるだろう。</p>

<p>　練習の虫。キャンプでも最後までグラウンドに残って身体を動かしている。「どのクラブも９個の椅子しかない。それを死守するには練習しかないんだ」。ファンを大事にすることでも人後に落ちない。「どんなときにもサインする時間を自分で７分はキープすることにしているんだ。それもプロの選手としての仕事の１つだからね」。実にＭＶＰに選出されるにふさわしい男である。</p>

<p>　子供のころ、ソフトボールをやっていた母親に感化され、野球に興味を持つようになったローリンズは、８歳の時、リトルリーグで野球を始める。だが、それ以前に父親と硬式ボールでキャッチボールをしていて、まともにボールを顔面に受けたことがある。このとき痛さをこらえ、泣きもせず「もう１回投げて！」と言ったことで、父親は「この子は本気で野球をやりたいんだな」と確信したそうだ。</p>

<p>　その子供のころからの夢は「ＭＬＢでプレーすること」、次が「オールスターに出ること」だったが、両方ともとっくにクリア。そればかりか今季は最高の栄誉であるＭＶＰにまで輝いたのだ。そのローリンズが今目標に掲げているのが４割打者のテッド・ウイリアムス超えだ。「あまり現実的でないことはわかっているけど、いいモチベーションになるから」と、敢えて「打撃の神様」を選んだ。目標が高ければ高いほど、大胆であればあるほど、この男、燃えるらしい。</p>]]>
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<title>第１７２幕　ハンターがサンタナが…。激震走るツインズ</title>
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<modified>2007-11-26T03:21:28Z</modified>
<issued>2007-11-26T03:16:46Z</issued>
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<summary type="text/plain">　ミネソタ・ツインズが揺れに揺れている。ＦＡ宣言していたトリー・ハンター外野手が...</summary>
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<![CDATA[<p>　ミネソタ・ツインズが揺れに揺れている。ＦＡ宣言していたトリー・ハンター外野手が、エンジェルスと５年総額９０００万ドルで契約、正式に移籍が決まったかと思えば、ここに来て、来年ＦＡ資格を得るエース、ヨハン・サンタナのトレード話が本格化してきたのだ。サンタナはツインズの提示している条件を飲む意向がないといわれており、チームを離れるのは決定的だと伝えられている。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　移籍が決まったハンターは、トレードに備えて一昨年のオールスター前にミネアポリスの自宅を売りに出し、テキサスに新居を購入して万全を期していた。トレードデッドラインの７月３１日、当時のＧＭテリー・ライアンに呼ばれ、それまで確実視されていた移籍先が告げられたかと思ったが、結論は残留。以来、チームを束ね、メジャー経験の少ないジョー・マウアーやジャスティン・モルノウといった若手選手の才能開花にも大いに影響を与えている。</p>

<p>　だが、来るべきときはやってきた。一応残留のオファーは出したものの、ツインズの財政事情からすれば、ハンター側の条件とは程遠く、これ以上つなぎとめることができなくなった。もちろん、ツインズも当然そうなることを予想し、直前にカブスから外野手のモンローを獲得するなどして一応の手は打っている。だが、入団以来１５年の生え抜き選手を失う痛手は大きく、ミネソタファンの大きなため息が聞こえてきそうだ。</p>

<p>　目玉のハンターで「商売」ができなかったツインズは、早々とサンタナに条件を提示。だが、これもサンタナ側のもくろみとかけ離れたものがあり、話がまとまらないのであれば、トレード市場に出して「商売」するしかない状況に追い込まれている。早くから噂のあったヤンキース、またここに来てレッドソックスなど「金持ち球団」の名前があがり、水面下では激しいサンタナ争奪合戦が繰り広げられている。</p>

<p>　そこで、まことしやかにささやかれているのが、レッドソックス入りだ。ツインズとレッドソックスはキャンプ地が同じフォートマイヤーズ。その地に家があり、２人の子供たちもそこから学校に通っている関係上、サンタナはオフになっても学校が休みになるまで故郷のベネズエラに帰らず過ごしている。そうした家族を取り巻く環境が影響を及ぼすのではないかというのだ。また、２００３年にツインズから移籍したデビット・オルティーズも「再びチームメートになろうぜ」と熱心に声をかけているとか…。</p>

<p>　オフに突入するなり、激震が走っているツインズ。あらかじめ予想されていたことであっても、現実に投打の中心選手を失うこととなれば、来季は「飛車角落ち」状態での苦しい戦いを余儀なくされそうだ。</p>]]>
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<title>第１７１幕　指揮官たちを成功に導いたものとは</title>
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<modified>2007-11-16T15:45:04Z</modified>
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<summary type="text/plain">　今年の最優秀監督にア・リーグはインディアンズのエリック・ウエッジ、ナ・リーグは...</summary>
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<![CDATA[<p>　今年の最優秀監督にア・リーグはインディアンズのエリック・ウエッジ、ナ・リーグはダイアモンドバックスのボブ・メルビンが選出された。両監督とも前年のＢクラスから、今季地区優勝へと導いた手腕が高く評価されたものだ。だが、両監督は一貫して「主役は常に選手たち。監督としてできることなんて実に限られているものだ」「選手あっての自分」というポリシーでチームの指揮をとってきた。<br />
</p>]]>
<![CDATA[<p>　個性派集団を率いる現場責任の長ともなれば、そのポリシーを貫くことは易しいことではないはずだ。そして、この２人の監督には、１１月１３日に他界した稲尾和久氏とどこかオーバーラップするものを感じる。当時、いわゆる「オレ流」を貫いていた落合博満（現中日監督）を稲尾監督が「甘やかしすぎる」などと揶揄されることも少なくなかった。しかしそれは「甘やかす」という概念ではなく、まさに「選手を信じる」ということに他ならなかった。</p>

<p>　稲尾氏は、選手の性格、個性、能力を見極め、それを信じてやるということが、何倍もの力になって跳ね返ってくることを知っていた。実際、稲尾氏がロッテの監督を務めた３年間のうち、主砲の落合は８５、８６年と２年連続で三冠王に輝いている。この快挙をなし得たことは、監督と選手の信頼関係の深さなくして語れないものがあると思う。</p>

<p>　たとえば、インディアンスのＣＣ・サバシアや、ダイアモンドバックスのリバン・ヘルナンデスを例にあげるとすれば、とかくこの２人は問題児として扱われることが多かった。しかし、それぞれ２人の監督は、ある意味彼らの「超個性的」な部分を、自分の型にはめて矯正しようとしなかった。サバシアとヘルナンデスが「自分たちの能力を信じ、見守ってくれている」という指揮官のポリシーを理解したとき「やらなければ」と奮起したのだ。</p>

<p>　当然のことながら監督に要求されるのは「強いチーム作り」である。ウエッジ、メルビンとも、この数年は率いるチームが低迷し、自分との葛藤、せめぎあいを重ねてきた。そうして苦労した分、選手たちを信じてあげられる許容量も、より広がったのではなかろうか。「選手あっての自分」。そのスタンスと選手を信じる許容量こそが、指揮官たちを成功へと導いたのだ。</p>]]>
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<title>第１７０幕　危険地域指定の異国で再起を図る野茂の戦い</title>
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<modified>2007-11-07T16:10:24Z</modified>
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<summary type="text/plain"> 　ベネズエラのウインターリーグ、カラカス・ライオンズでプレーしている野茂英雄投...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="tetsuya071107.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/baseball/tetsuya/tetsuya071107.jpg" width="250" height="231" /></p>

<p>　ベネズエラのウインターリーグ、カラカス・ライオンズでプレーしている野茂英雄投手が６日（日本時間７日）に４度目の先発をしたが、被安打２（本塁打１）四球３、失点２という結果で３回途中で降板。勝敗はつかなかったものの、なかなかいい結果が出せないでいるようだ。</p>]]>
<![CDATA[<p>　「チームの勝利に貢献したい」と繰り返し言っていただけに、０勝２敗、防御率９・４５の数字は決して本意ではないはずだ。右肘の手術後、１年半以上も試合から遠ざかっていただけに、性急な結果待ちをせず、これから徐々に「自分」を取り戻して行って欲しいものだ。</p>

<p>　その野茂を追って突如「ベネズエラ行き」が言い渡されたのは、ポストシーズンゲームのナ・リーグチャンピオンシリーズの取材中のことだった。かの地には過去に何度も行ったことがある筆者も、外務省の海外安全ホームページに「身代金目的の誘拐が多発しています。特に同国の治安情勢は年々悪化しており、今後も誘拐は増加する傾向にあるとみられています」と記載されているのに怖気づきながら、その先を読み進めた。</p>

<p>　野茂がプレーするチームは首都カラカス。そこは外国人目当ての誘拐などが頻発していて、危険地域に指定されている。主な誘拐手口として「犯人側がターゲットとなる被害者について綿密な調査を行った上で、偽装検問所を設置し犯行に及ぶもの（犯人は警察や軍の制服を使用することもある。）や、盗難車両等に分乗した犯人が、公道上でターゲットとなる被害者を襲撃し、車両から降車させ誘拐するもの等があります」と、具体的な例まで記載されているではないか。</p>

<p>　多少の危険を冒しても…と思ってはいたものの、その物騒な状況を知ると一気に気持ちが終息し、ベネズエラ行きを取りやめようと思った。しかしその一方では、その地で野茂がメジャー目指してチャレンジしようとすることを思えば「行かなければ…」と、気持ちが揺れ動いていたのも事実だった。思い起こせば、これまで中南米の取材では何度が銃を向けられたりする危機に立たされたことがある。「そのとき撃たれて死んだと思えば…」と、自分に妙な納得をさせ、直前に決断してベネズエラに向かうことにした。</p>

<p>　１０月１７日。アリゾナ州フェニックスのホテルを午前４時半に出て、カラカスに到着したのは当日午後９時半をまわっていた。乗り継ぎ時間や時差を計算すると１７時間の旅。飛行機を降り、緊張感と疲れのため重い足取りでイミグレーションにつながる長い廊下を歩いていると、何と前方に野茂が立っているではないか！　いやいや、これは長旅の疲れで錯覚を起こしているに違いない。そう言い聞かせて通り過ぎようとしたとき、それが夢でも錯覚でもないことに気づいた。</p>

<p>　偶然、同じ飛行機に乗り合わせていたのだ。思わず駆け寄って「よろしくお願いします」と挨拶をすると、野茂は頷きながらほのかに笑みを浮かべた。実は筆者は社会人野球新日鉄堺時代から野茂の取材をさせてもらっており、それからウオッチすること、かれこれ２０年にもなる。野茂の笑みは「どこまでも追っかけてきよる。ったく、しょうがないおばさんやなあ」と、そう語っているように思えた。</p>

<p>　それはともかく、肩や肘にメスを入れ、それでも不屈の闘志で立ち上がろうとする、その姿には心打たれるものがある。「野球が好きなんで。野球をすることが好きなんで…」。ポツリ、ポツリと語るその言葉の裏には、異国の地で再起のきっかけを掴もうとする並々ならぬ意思が汲んでとれた。野茂の野球に取り組む真摯な姿に触れたとき、やれ誘拐だの、やれ銃で撃たれるなどと騒ぎ立ててベネズエラ入りした自分の軽々しさが、急に恥ずかしくなった。</p>

<p><strong>※写真はベネズエラのウインターリーグで挑戦している野茂</strong></p>]]>
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<title>第１６９幕　「ヤギの呪い」を解いた日本のテレビ番組</title>
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<modified>2007-11-07T16:10:57Z</modified>
<issued>2007-10-30T06:47:56Z</issued>
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<summary type="text/plain">　ワールドシリーズも終わり、激動の２００７年が締めくくられた。今季も数々の出来事...</summary>
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<![CDATA[<p>　ワールドシリーズも終わり、激動の２００７年が締めくくられた。今季も数々の出来事があったが、中でも、日本のテレビ番組によって「ヤギの呪い」が解かれたことが、今、カブス関係者の間で話題になっている。</p>]]>
<![CDATA[<p>　ことの起こりは今年３月。テレビの企画でキャンプ地にヤギのぬいぐるみを持ち込んだところ、いきなりそれをピネラ監督が「これで呪いとおさらばだ！」と言って、踏みつけ、蹴飛ばしてからだ。</p>

<p>　意表を突くピネラ監督の行動に担当記者は笑い転げていたが、彼らはしっかりとその出来事を記事にしていた。この時の様子を見ていたアーニー・バンクス（カブス出身。殿堂入り選手）が「ボクも同じようにおまじないをしたいから、ヤギを送って欲しい」と申し出てきた。それほど好評を博した企画になったのだった。そして、今季のカブスは出足こそモタついていたが、オールスター前後からグングン巻き返し始めていた。</p>

<p>　「春にヤギをやっつけておいたから、こんな素晴らしい展開になってきた。本当に日本のテレビ局の企画に感謝したい」。真顔でバンクスからお礼を言われたときは、こちらが戸惑うほどだった。終盤にはブルワーズと激しい首位争いを繰り広げるまでになり、ますますヤギを蹴飛ばした「ご利益」がクローズアップされていた。万が一、カブスが敗れたりしようものなら、反対にこちらが何を言われるかわからない。そんなドキドキ状態で勝ち負けを見守る日が続いた。</p>

<p>　結果的には、一時大きく水をあけられていたブルワーズを大逆転して、カブスは見事、中地区で優勝を果たした。ディビジョンシリーズではＤバックスに３タテを食らってあえなく世界一の夢は消えてしまったが、ピーター・チェイス広報部長は「球団やチームは決してガッカリしていない。むしろこれだけやれたんだからと、みんなハッピーに感じているんだ。それもスプリングトレーニングでヤギを踏みつけ、カースを蹴飛ばしたことが少なからず影響したのかもしれないね」と言った。</p>

<p>　時としてテレビの企画、演出は過度になりすぎるあまり、顰蹙（ひんしゅく）を買うケースがある。だから、こちらも現場の雰囲気とか、状況を見回しながら、恐る恐るお願いしたのだったが、ピネラ監督の思わぬリアクションによってチームに「幸運」がもたらされたと言われれば、思わず胸を張りたくなる。これにより、ちょっぴり調子に乗って、来季のキャンプには少し多めにヤギのぬいぐるみを持参しようかなどと思っているところである。</p>

<p>　◆ヤギの呪い　カブスは１９０８年以来、世界一と縁がなく、ワールドシリーズからも４５年以来、遠ざかっている。当時、ヤギを連れたファンの入場を断ったことから「ヤギの呪い」と語り継がれている。</p>]]>
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<title>第１６８幕　スパイダーマンが迎えたシーズンの終わり</title>
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<modified>2007-11-07T16:13:29Z</modified>
<issued>2007-10-03T10:22:15Z</issued>
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<created>2007-10-03T10:22:15Z</created>
<summary type="text/plain"> 　いよいよポストシーズンの始まりだ。だが、それに残れなかったチームの選手たちの...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="tetsuya071003.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/baseball/tetsuya/tetsuya071003.jpg" width="200" height="140" /></p>

<p>　いよいよポストシーズンの始まりだ。だが、それに残れなかったチームの選手たちの中には、どこかでこれが最後になるかもしれないという思いを抱きながら、最終戦に臨んでいた。その日までともに戦ってきたチームメイトと、必ずや次の年も一緒にプレーできる保障はどこにもない。だからこそ、選手たちはいつもより感慨深げに別れの挨拶を交わしあう。そんなシーンをあちこちで見かけるシーズンの終わりは、取材する側の我々も妙に感傷的になったりするものだ。</p>]]>
<![CDATA[<p>　このオフ、フリーエージェントになるツインズのトリー・ハンター外野手もそんな１人だった。試合前は「ちっともツキがまわってこない」とぼやきながら、トランプに興じていたが、９月３０日のリーグ戦最終日は「ツインズ最後のユニフォーム」になるかも知れないところから、テレビや新聞などのインタビューが相次ぎ、仲間たちとの最後の勝負？　の楽しみを途中で取り上げられた格好になった。それでも自分を取り巻くデリケートな質問に、快く答えていた。</p>

<p>　「できることなら残りたい」。ここまで１５年。人生の約半分をツインズ一筋に歩いてきただけに、このチームには特別な愛着も持っているし、残留したいと思う気持ちに嘘はない。ツインズも、２００２年オフにデビット・オルティーズを失った経験から、チームの「核」がいなくなることがどれほど大きなものかを懸念している。ただ現時点では、３年契約を提示している球団に対し、５～６年契約を要求するハンター側とは条件面で大きなへだたりがあり、バゼットの少ないツインズがそれを飲めるかどうかは、限りなく不可能だと見られている。</p>

<p>　ツインズ時代、苦楽をともにしてきた間柄のデビット・オルティーズとは、いわゆる「まぶ達」。最終シリーズでボストンにやってきたハンターは、試合後、オルティーズと食事を共にし、今後の身の振り方について相談した。「彼と話して結論が出たわけじゃないが、チームに残りたいという気持ちは強い。だが、その一方でビジネスだと割り切らなければならない面があるのも事実」。そう答えるのが精一杯だった。</p>

<p>　身体能力がズバ抜けて高く、２００１年から６年連続でゴールドグラブ賞を獲得するなど、もともと守備には定評があったが、とりわけ２００２年のオールスターではボンズの本塁打性のあたりをジャンプ一番、塀にグラブを差し込んでもぎ取り、外野の守備から帰ってくるハンターを待ち受けていたボンズが彼を担ぎ上げて悔しがったシーンは今も語り継がれている。ハンターは、このときから「スパイダーマン」の異名を取ることになった。</p>

<p>　最終戦には、アウエイゲームであるにもかかわらず、「行かないで！」「ミネソタにとどまって」「私は（残ることを）信じてる」などのメッセージボードを持った熱心なファンが本拠地ミネソタから押しかけた。それらのファンに、まるで別れを惜しむかのように、黙々とサインを書き続けた。「これからテキサス（自宅）に戻って、いろいろなことをゆっくり考えるよ」。苦しい決断に迫られる複雑な心境のまま「スパイダーマン」はシーズンの終わりを迎えることになった。</p>

<p><strong>※写真は、ファンにサインするハンター</strong> <br />
</p>]]>
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<title>第１６７幕　明と暗</title>
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<modified>2007-11-07T16:11:42Z</modified>
<issued>2007-09-25T12:14:14Z</issued>
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<created>2007-09-25T12:14:14Z</created>
<summary type="text/plain"> 　明と暗。勝負の世界では、非情にもそれがくっきりと浮き彫りになる。９月２３日（...</summary>
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<![CDATA[<p><img alt="tetsuya070925.jpg" src="http://blog.nikkansports.com/baseball/tetsuya/tetsuya070925.jpg" width="220" height="147" /></p>

<p>　明と暗。勝負の世界では、非情にもそれがくっきりと浮き彫りになる。９月２３日（日本時間２４日）、マリナーズに勝ち地区優勝を決めたエンジェルス。歓喜の輪を尻目にベンチから引き揚げるマリナーズの選手たち。一時はポストシーズン進出の可能性が大きく膨らんでいただけに、彼らの無念さ、悔しさはいかばかりかが察せられた。</p>]]>
<![CDATA[<p>　「明」。地区優勝を決めたエンジェルスのクラブハウスでは、シャンパンファイトが始まり、上へ下への大騒ぎと化していた。２００２年のワールドチャンピオン以来、ポストシーズン進出の常連チームになっているとはいえ、チーム一丸となって勝ち取った「優勝」は、彼らにとっていつでも特別なものだ。シャンパンを冷やしていた大きな樽のようなバケツに飛び込んだり、パンツ１枚でひょうきんな踊りを見せたりと、決して普段は見せることのない姿を露呈して喜びを爆発させていた。</p>

<p>　「暗」。スプリングトレーニングからここまでただひたすら、１つの目標に向かってひた走ってきた思いが潰えたとき、エンジェルスの選手たちの歓喜は頂点に達していた。マリナーズの選手たちは落胆の色を滲ませながら、それでもあるものは記者の質問に答え、あるものは食事をとり、またあるものは淡々とシアトルに戻る準備をしていた。</p>

<p>　歓喜のシャンパンファイトに沸くエンジェルス。そのざわめきをどこかで感じながら球場をあとにするマリナーズ。「やっぱり勝負は勝たなければ…」。彼らの無念な思いを乗せたバスが球場を発つと、そのあとには秋風のようなひんやりした空気が流れ、それが勝者と敗者の輪郭をくっきりと描き分けているように思えた。</p>

<p><strong>※写真はシャンパンファイトに沸くエンジェルスのナイン</strong></p>]]>
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