2007年12月10日
第174幕 Wミーティングで見た日本市場の「異変」
テネシー州ナッシュビルで行われたウインターミーティング(12月3日~6日)で、「異変」が起こっていた。これまでになく「日本市場」が活況を呈し加熱気味だったのだ。それ以前に小林雅(インディアンズ)、薮田(ロイヤルズ)らの契約がすんなり決まっていたことや、黒田、福留という大物選手のメジャー入りをめぐる動向が大いに注目されていたこともあり、広い会場では「日本」に関するさまざまな情報が飛び交っていた。
いつもなら選手獲得に関することは、さしさわりのないコメントで逃げるか、黙して語らないGMたちも、我々日本人記者を見かけると「黒田の状況はどうなっているのか?」「福留のメジャーでプレーする意思は決まったのか?」などと逆取材してくる始末。もちろん彼らは、代理人を通じて情報を入手しているにちがいないのだが、それでも少しでも日本からの新しい情報を手に入れ、他球団より抜きん出ようと必死になっているのだ。
福留の獲得を熱望しているカブスのジム・ヘンドリーGMなどは、雑談の中で「シカゴは日本食レストランも充実しているし、仲間には日本語を話せるソリアーノもいる。デレク・リーだって日本育ちだ」と、カブスと「日本」との係わり合いを強調。「そのことも含めてカブスはいい球団だと説明しておいて欲しい。それでもし福留が入団にOKしてくれたら、君には来シーズン、リグレーの特等席を保障するよ」などと、舌もなめらかなことこの上なかった。
これほど「日本」が注目を浴びたことに対して「今年はアメリカ市場にそれほど期待が持てなかったから」という見方もあったが、一方ではWBCなどで日本の力をまざまざと見せられたことなどから、急速に「日本の野球」に視線が向けられるようになっていった面もある。そんな流れの中、今季は「日本人選手の活躍なしではメジャー野球が語れない」と言われるほど、彼らは獅子奮迅の働きをし、底力を見せ付けた。こうしたことを鑑みれば、日本市場がスポットライトを浴びるという「異変」は起こるべくして起こったと言えるだろう。
ウインターミーティングのパブリックな会場では、ベーブ・ルースが来日した折の古い映像を織り交ぜ、野茂英雄の活躍からWBCでの優勝、レッドソックスを世界一に導いた松坂や岡島の活躍に至るまで、日本野球とメジャーリーグのかかわりあいに関するハイライト映像が繰り返し流されていた。そこからは日本の野球が、いかにメジャー野球にとって重要な一部分になっているかを感じ取らずにはいられなかった。
すべての日本人プレーヤーがこれまでメジャーの中に着実に築いてきてくれた「日本ブランドへの信頼」は、もう揺るぎないものになっている。
December 10, 2007 01:41 PM
