2007年09月10日
第165幕 復帰したペドロ・マルティネスの野望とは
地区優勝に向けて突き進んでいるメッツに、心強い味方が戻ってきた。昨年9月27日にマウンドを去って以来、約1年ぶりにペドロ・マルティネスが元気な姿で復帰を飾ったのだ。9月3日の今季初登板で白星を飾り、さらにこの試合では、レッズのアーロン・ハラングから三振を取って、史上15人目となる通算3000奪三振も記録した。
苦しみが多かった分、その大台に到達した喜びも大きかっただろう。今季初となる2999個目の三振は、レッドソックス時代に自分の球を受けてくれたスコット・ハテバーグからだった。正捕手バリテックの控えで、当時はあまり日の目を見ることのなかった彼だったが、黙々とペドロの球を受けて、調子を引き出そうと努力してくれた恩人だ。巡り巡って対決することになった2人は、お互いどんな気持ちで向かいあったのだろうか。
ここ数年は「エース」という気概と生来の責任感の強さから、傷めた右足親指の付け根が万全でないまま試合に臨むことが多かった。右足ふくらはぎの故障から1カ月の離脱を経て、9月中旬にチームに合流したときも、おそらく一か八かの賭けに出たのではなかったのだろうか。地区優勝まで「マジック1」となった試合で復帰登板をしたが、その試合から3試合連続でKOされ、以来マウンドから姿を消した。
昨年、リタイアする原因となった左ふくらはぎ筋の腱断裂、右肩のけん板断裂は、すべて右足親指の付け根の故障が波及したものだった。MRI検査で故障の原因を突き止めると、1週間後の10月5日には右肩の手術を行っていた。この手術を受けると最低8カ月は投げられないことになるという大きなリスクを背負うことになったが、それでもペドロは決断した。
いつもは母国ドミニカ共和国でゆったり過ごすオフも、手術後はリハビリ、トレーニングの場所をアメリカに求め、リカバリーのために孤独な戦いを続けていた。それに打ち勝てたのは「もう投げられなくなるかも知れないという不安より、もう1度マウンドに立って投げるんだという気持ちのほうが勝っていたから」と振り返った。
10月25日には36歳になる。かねがねペドロは自分の誕生日を「家で迎えるのではなく、野球人ならフィールドで仲間と一緒に迎えるのが理想的」(その時期にワールドシリーズを戦っているという意味)と言い続けてきた。昨年はそれが叶わなかったが、今年はその分も取り返そうと意気込んでいる。レッドソックス時代に続き、2個目のチャンピオンリングへの野望は大きく膨らんできた。
September 10, 2007 09:42 PM
