2007年05月22日
第150幕 「メチャメチャカッコイイ」男
キャンプの時から、アスレチックスの選手たちの風貌の「むさ苦しさ度」は群を抜いていた。髭や髪は伸ばし放題。手入れをする暇がないのではなく、彼らはそれを楽しんでいるきらいさえあった。エースのダン・ハーレンなどは髭と長髪で顔全体が埋め尽くされ、チェ・ゲバラ風、あるいはヒマラヤの雪男風で、彼本来の顔の輪郭が確認できないほどだった。
そんな「むさ苦しい」軍団にあって、チームNO・1のロン毛を誇っていたニック・スイッシャーが先週、肩まであった長髪をバッサリ切り落とした。さては失恋? いや、これから夏に向かうから暑さ対策? など、いろいろな憶測をしてみたがどれも違うらしいことがわかった。地元紙に「切った髪の毛は、チャリティーの一環で、がん撲滅運動の研究基金として利用される」という記事が掲載されていたからだ。
その記事によれば、スイッシャーの父スティーブさんも断髪式に参加し、息子の行いを褒めつつも「髪の毛はもう切ってもいい時期にきていたけどね」と言って周囲を笑わせたそうだ。父、祖父とともに親子3代にわたるメジャーリーガーで、そうした身近の大先輩たちから、選手としてのプレー以外で、人間として何をしなければいけないかを教えられたのだという。
日本語に興味を持ち、いろいろなバリエーションにチャレンジしているが、最近覚えたてのお気に入りは「カッコイイ」と「メチャメチャ」というカジュアルなフレーズ。特に「メチャメチャ」がオールマイティーに使えることを知ると、今季加入したマイク・ピアザに向かって「メチャメチャ オヤジ」と指差した。日本語にかけては数段上のピアザは「ったく、しょうがないヤツ」というような顔で苦笑していた。
挙句のはてに、自分を指差して「カッコイイ」を連発する。イチローは? と聞くと同じく「カッコイイ」と答え、ではゴジラ松井は? と聞くとう~んとうなった挙句「…」。答えに窮するあたり、この言葉のイメージを把握しているのだろうか? 「カッコイイ」というのは、外見だけでなく、人間としての心が素晴らしい人のことも言うのだとレクチャーすると、すかさず「マツイ カッコイーイ」とフォローした。
ともあれ、自慢のロン毛をバッサリ切って、チャリティーに参加するなんて、常々自分がアピールしている通り、スイッシャーもまた、メジャリーガーとして、男として「メチャメチャ カッコイイ」。
May 22, 2007 12:19 PM
