鉄矢多美子 Field of Dreams

2007年05月15日

第149幕 恐るべし「40歳の新人」選手

 現在メジャーで活躍している40歳代の選手は20人を超えている。メッツのフリオ・フランコ(実際は50台らしいが…)を筆頭に、バリー・ボンズ、ランディー・ジョンソン、ロジャー・クレメンスなど、やたらと「40代が元気」なのが目につく。そんな中、また1人40代のプレーヤーが誕生した。ジャイアンツのオマール・ビスケルが4月24日に40歳になったのだ。

 4月22日のことだった。地元サンフランシスコでデーゲームの取材が終わり、球場を出ようとしていたところ「きょう僕の誕生パーティーがあるんだ。よかったら来てよ」と招待状を渡された。その夜レストランを貸しきって行われたパーティーには、親しい人や母国ベネズエラなどから大勢の友人がかけつけていた。飲んで、歌って、踊って、おもちゃ箱をひっくり返したような騒ぎが続き、その中心には弾け切ったビスケルがいた。

 その誕生パーティーでも着用していたが、通常球場にやってくるときの私服は「花柄」が中心。「カラフルだから心をハッピーにさせてくれる」というのがその理由らしいが、暇を見て描く絵画もプロはだしで、画家としての才能もその色彩感覚とは無縁ではないようだ。「要するに、仕事でも何でもチャレンジするものに対しては、好きで、楽しいという気持ちで取り組むことが大事。そうすれば大方のことはうまく行くものさ」と、超ポジティブ人間でもある。

 35歳を過ぎてから、ダイエットを始めた。俊敏な動きが要求されるショートを守る上で「体型の維持」は最も重要なことと考えたからだ。体の中で糖分に変わるという白米を避け、主食をブラウンライスにして、エネルギーへの変換が早いといわれる鶏肉中心のメニューに変えた。「といっても僕の場合、ストイックなダイエットじゃない。たまには、体によくないものだって口にするよ。それが長続きのコツなんだ」と、自分を追い込まないバランス感覚も心得ている。

 40歳を迎えてからは「僕は40歳の新人。新人だから若い。だからこれからもどんどん若々しいプレーを見せるんだ」と、つじつまは合っていないが、気持ちだけは伝わることを言っていた。そのビスケルが、5月13日のロッキーズ戦で、通算1591回のダブルプレーを成立させた。それまでオジー・スミスが持っていた記録を抜いて史上最多を記録したのだ。

 また、この日遊撃手としての出場は2462試合を数え、2511試合で2位にランクされているオジー・スミスまで49試合、1位のルイス・アパレシオまで121試合と迫った。こんな記録に関しても「長くやっていればね…」と淡々としている。思えばあの誕生日を境に、まるで年齢を逆行するようなパフォーマンスを続けているビスケル。恐るべし「40歳の新人」選手である。

May 15, 2007 08:24 PM