2007年02月20日
第140幕 「R・ジョンソン、現役続行を支えるもの」
3年ぶりにダイヤモンドバックスに復帰したランディー・ジョンソン投手が、キャンプイン初日に会見を行った。これまでは、どこか人を寄せ付けない雰囲気をかもし出し、会見もそそくさと終わっていたが、その同じ人物だとは思えない柔和な表情で、30分ほど実に和やかに、しかも理路整然と「今の自分」を語った。
昨年10月26日に椎間板ヘルニアの手術を行い、43歳という年齢からも、現役続行が危ういのではないかと噂されていた。しかし、この日の会見では大事をとって今季の初登板を多少遅らせれば以降はローテーションを守って投げられると自信をのぞかせ、自分の投球に強い意欲と執念のようなものを見せた。
「ワールドシリーズでは世界一にもなったし、多くの投手記録も樹立した。お金も十分にある」。プレーヤーとして、こうした達成感を十分に持っていながら敢えて「引退」という道を選択せず、体にメスを入れてでもなおマウンドに立ち向かおうとする。そのモチベーションを「私にはまだ“勝ちたい”という強い気持ちが残っているから」と説明した。
質問はヤンキースの2年間にも及んだ。1年目、2年目ともに17勝と素晴らしい成績を残したにもかかわらず、ニューヨークという環境がランディーに適しているようには見えなかった。特に17勝しながら、防御率が5・00だった昨年は、きついことで有名なニュヨークのメディアやファンにまで叩かれ揶揄された。そのことに関しては「僕にコントロールできることではないから」とさらりとかわした。
この日の会見中、たびたび見せたランディーの笑顔に「古巣に戻って居心地がいいからなのか?」という質問が飛んだ。すると「向こうでもマウンドでは居心地がよかったよ」と答えたが「ではマウンド以外ではどうだったのか?」と踵を返された。「あなたがたが、どんな答えを待っているか分かる」と苦笑しながら「でも僕はニューヨークを楽しんだよ」と模範解答を行った。
Dバックスのメディアは、NYの件についてそれ以上深追いしなかった。背中の痛みと孤独な戦いに耐えながら、必死に投げ抜いてきたランディーの気持ちをよくよく知っているからだ。こうした人々の思いやりに囲まれ、「41」という違和感ある背番号に別れを告げて、再び自分の顔である「51」を背負ったことなどが、笑顔を取り戻した理由なのかもしれない。
「勝ちたい」という気力が失せた時、この世界から「引退」という引導を渡される。それをしっかりと心に刻みながら、ランディー・ジョンソンは20年目のシーズンに立ち向かおうとしている。
February 20, 2007 01:40 PM
