2006年09月01日
第125幕 3冠王投手、サンタナが見せた強い信念
ツインズのヨハン・サンタナが9月1日(現地8月31日)の対ロイヤルズ戦で今季16勝目を飾り、投手の3冠王(勝利数、防御率、奪三振)に躍り出た。開幕からつまずき、連続4試合勝ち星に見放され、5試合目でやっと今季初勝利をあげた4月とはまるで別人のように蘇った。エースの不調がそのままチームの低迷に跳ね返り、6月中旬まで借金生活から抜け出せなかったツインズも生き返った。
「いい日もあれば、悪い日もある。それは誰のせいでもない。調子が悪ければ次にそうならないようにするだけだよ」。ノックアウトを食らうと自分に言い聞かせるように淡々と言った。凄いと思ったのは、たとえ負けてもクラブハウスを出るときには、気持ちをスパッと切り替え、ラテンのリズムに身を揺らせながら帰途につくのが常だったことだ。
その気持ちの切り替えの早さが、彼本来の調子を取り戻すことに大いにプラスになった。5月に入ると調子が上向き、6月は5勝0敗、防御率1・05と、相手打者にほとんど付け入るスキを与えていない。しかも、それに触発されたかのように新人のフランシスコ・リリアーノが勝ち始め、バッテリーを組むモウアーまでが首位打者に躍り出た。サンタナを軸に投打がかみ合ったツインズは、気がつけば借金生活から抜け出し、ポストシーズン進出も夢でない位置にまでのし上がっていた。
悔しい思いも味わった。多彩な変化球を投げ分けるサンタナは、今季はシーズン当初から審判の判定にも泣かされていた。決め球のチェンジアップをなかなか(ストライクと)コールしてもらえず、投球の組み立てに苦しんでいたのだ。「たしかに納得できないコールももらったけど、それが野球というもの。ボールが自分の手から離れた瞬間、もう僕は何もできない。そのあと僕ができるのは、自分をコントロールすることだけだったね」。
9月の声を聞けば、ポストシーズンの射程圏内にいるチームが目の色を変えてくるのは必至。そんな中、ツインズはヤンキース、タイガース、アスレティックスと各ディビジョンの首位チームと激突する。しかも最後はワイルドカード争いをしているホワイトソックス3連戦が待っているのだ。熾烈な戦いを前に、自分を絶対に負けられない状況に追い込み、チームの結束力もまた一層強化しなければならない。
サンタナ自身、今の調子で突っ走れば、2度目のサイヤング賞も濃厚になってくる。だがそれには無頓着。リリアーノの離脱などで投手の台所事情はかなり苦しい現状から、あくまでもチームのまとまりを強調する。「物事はいつもいい方向に行くとは限らない。とにかく全員でいい野球ができればいい。苦しかった前半でもチームがバラバラにならかったから今がある。みんなが心一つにまとまっていれば結果はついてくる」。
借金地獄から這い上がり、ポストシーズンを目指すまでになったチームの原動力は、大黒柱の強い信念から生まれている。
September 1, 2006 07:05 PM
