2006年06月10日
第114幕 イチロー、日米通算2500本安打に思う
イチローが日米通算2500本安打を達成した。
それで、ふと思い出したのは、WBCの取材でイタリアから来ていた記者の言葉だ。「ボンズやクレメンスを知らなくても、僕らはイチローの名前だけは知っているよ。彼はまさにディマジオ級。日本人は彼をこの上もなく誇りに思わなければいけないね」。野球がマイナースポーツのヨーロッパにあっても、野球とかかわる人々やファンの間に、イチローの名前だけはとどろきわたっているというのだ。
ドミニカ共和国では、道端で野球に興じる子供たちが、バットを右手で掲げるあの独特のフォームを真似ている姿をあちこちで見かけるし、野球アカデミーでもイチローのような選手が養成できたらと、大きな目標にしている。日本人の顔を見ると反射的に「イチロー」と言いながら近づいてくる地元民もいたりして、地球の裏側で「イチロー」が日本人の代名詞的役割を果たしていることにも驚かさる。
キューバでは、ナショナルチームの合宿先ホテルのテレビで、選手たちがイチローの打席を息を呑んで見入っていた。くしくもWBCの決勝で日本と顔をあわせた彼らだが、キューバに帰国してからの自慢は「イチローと対戦したこと」だったという。
そしてボンズ。普段は他の選手のことに関してあまり関心を示さないが、ことイチローのことになるととたんに饒舌になる。「もう少し早くこっちに来ていれば優に3000本安打はできたのにね。来るのがちょっと遅かった。惜しい・・。でも、ひょっとすると彼ならできるかもしれない。なにしろこれまでも信じられないすごいことをやり遂げてきている男だから」。
プライドが高いボンズは、他の選手を「すごい」という言葉で表現することはほとんどない。ところが、イチローだけは特別なのだ。年間最多の73本塁打を打った自分の記録を引き合いに出し「(イチローの)262安打はそれよりすごいことかもしれない。まったくすごいことだ」と「すごい」を連発し、大絶賛した。
一口に「2500本安打」と言うが、コツコツと積み上げてきたその重みは、傍観者には到底図り知ることができない。上記のイタリア人記者の言葉を借りれば、さまざまな形で世界中に影響を及ぼし、大きな存在感を示し続けているイチローを、我々日本人はこの上もなく誇りに思わなくてはならない。それだけは確かなことだ。
June 10, 2006 10:11 AM
