2006年05月05日
第109幕 タイガース、負け犬返上の裏に
デトロイト・タイガースが大健闘をみせている。5月4日終了時点で19勝10敗と「9」つも勝ち星が先行しているのだ。過去10年間を逆上っても、タイガースは勝率が5割に達したシーズンがなく、しかもその間3度も1シーズン100敗以上を喫する不名誉な記録まで残している。典型的な負け犬軍団に定着しつつあったチームが、どうしたことか、今年は大変身したのだ。
名将ジム・リーランド新監督は「まだまだ、始まったばかり。本当の勝負はオールスター後」と慎重だ。しかし、開幕5連勝で好スタートを切ったことに関して「たしかに、あれは大きかったね」と満足げにうなずく。その開幕5連勝は、メジャー3年目の「クリス(シェルトン)の活躍が際だっていた」と評価する。
そのシェルトンが開幕から5試合に残した数字は、本塁打5、打点11、打率7割という驚異的なものだった。しかも開幕から13試合で9本塁打をたたき出し「開幕からの本塁打最速ペース」2位タイにランクされて、メジャー記録更新か、と一躍時の人となった。そればかりか、4月20日時点ではア・リーグの3冠王にまで躍り出たのだ。
結局それは一日天下に終わって、その後は徐々に打率も下降線をたどっているが、それでもまだまだ、しぶとく3割をキープ(5月4日現在3割1分1厘)している。あれほど騒がれた本塁打ペースは9号以降ガタ落ちで、現在10号にとどまっているが、「大きい打球に意識が行くより、返すバッティング、あるいは後につなげるバッティングをしてほしい」と、むしろリーランド監督はこの傾向を歓迎している。
シェルトン自身も名だたる本塁打バッターと自分を比較されて悪い気はしなかったが、それは決して自分本来の姿ではないと思い続けていた。「僕自身、ホームランを打とうと狙って打席に立ったことはこれまで一度もない。ボールを強くコンタクトすることだけを心がけてきた。ホームランはその延長線上にあるものだ」と言っている。
メジャーに昇格した04年、さあこれからだと思っていた矢先に、右足の故障で1ヶ月半ほどプレーできなかった。その悔しい思いを晴らすかのように、この年のオフに参加したアリゾナ・フォールリーグで活躍し、見事MVPに輝いている。これで05年への足がかりを固め、107試合で本塁打18、打点59、打率2割9分9厘という数字を残して今季を迎えることになった。
そして今年絶好調で迎えた開幕。打棒爆発の秘密については「オフにパーソナルトレナーを雇ってフィジカル面の強化を図ったくらいで、他には何も変化はない」とひょうひょうと語るシェルトンだが、ともあれ、これで開幕ダッシュに成功したデトロイトナインは、すっかり自信をつけた。5月に入っても昨年の覇者ホワイトソックスのあとにピタリとつけて2位、Aクラスをキープしている。25才の若武者の活躍が、負け犬返上の引き金になったことは否めない事実である。
May 5, 2006 03:33 PM
