2005年09月12日
第98幕 「君が代」を熱唱したメジャーリーガー
7月27日以来、8月20日まで勝ち星に恵まれず、その間19連敗して、危うくメジャーの不名誉な連敗新記録を作りそうになったロイヤルズ。その戦いの軌跡は、開幕投手だったホセ・リマの投球に象徴されている。人生初の出来事に、この上もなく張り切っていたが、ピッチィングが全くついて来なかった。たまにいい投球をしたかと思えば、打線の援護に見放されるという不運もあり、彼が今季初白星を挙げたのは、開幕から2カ月以上も過ぎてからだった。
リマのお気に入りは闘魂はちまき
普段は明るくノリのいいリマも、これには相当こたえたらしく、いつものような弾けた元気がどこかに消えてしまっていた。開幕直後にロイヤルズの本拠地、カウフマンスタジアムで「アメリカ国歌を歌う」予定があったが、とてもそんな気持ちにはなれず、計画は延びに延びて、ついにはボツになるところだった。ところが、6月15日のドジャース戦で初白星を挙げると、その翌日に突然「歌う!」といって、それが実現したのだ。
マイクを持ったリマがネット裏正面に現れ、アカペラで「アメリカ国歌」を歌い上げた。
オフにはバンド活動を行っているプロのミュージシャンだけあって、その歌にはみんなが魅了された。大役を果たしたリマは「ピッチングより100倍は緊張したよ」と額の汗をぬぐったが、その顔には満足感がみなぎっていた。観客はもちろん、ドジャースのメンバーからもやんやの喝さいが送られた。
アメリカ国歌を熱唱するリマ
以前にも国歌を歌った経験があったリマに、実は春キャンプの折、恐る恐る「君が代」を歌ってもらえないかとリクエストした。すると二つ返事で引き受けてくれ、譜面を見ながら日本の国歌を歌ってくれたのだ。果たしてテンポが遅い「君が代」についていけるかどうかと心配していたが、それは全くの杞憂に終わった。神々しく朗々と歌い上げてくれて、「君が代」の素晴らしさを改めて認識させられることになった。
チームが連敗街道を突っ走っているとき、リマは遠征先で上物のシャンパンを6本買った。連敗に終止符を打った日にみんなで乾杯しようと、日本円で10万円もするシャンパンを自分のポケットマネーで密かに購入、用意し、その日が1日も早くくることを祈っていたのだ。19で連敗が途切れた日、そのシャンパンの栓が抜かれた。だれよりも強く、チーム全体のムードを盛り上げようと腐心していたのだった。
成績不振で監督が解雇されるなど、ロイヤルズにとってさまざまなことがあったシーズンも、まもなく終わろうとしている。リマ自身も「来年はどこにいるか分からないけど、最後まで悔いを残さないよう戦い抜きたい」と話し、あとに続けた言葉がふるっていた。「もしかすると来年は日本でプレーすることになっていて、日本の国歌を歌っているかもしれないね。そうだ! このオフにもっとキミガヨを歌い込んでおかなくては!!」。
September 12, 2005 02:59 PM
