2005年08月02日
第92幕 電撃トレードの舞台裏
トレードデッドライン(7月31日)を迎えるまでの数日は、各チームともクラブハウスに落ち着かない空気が漂う。たとえ「自分に限って」と思っている選手であっても、交渉の過程で突然トレードの対象になったりすることもあるから、だれも安穏とはしていられないのだ。事実、29日の試合に出場していたオリオールズのビグビーがトレードを言い渡されたのは、試合中のことだった。
電撃トレードを言い渡された直後に記者会見したネビン
同日。メジャーリーグのトレードの側面を見せつけられるような現場に居合わせた。パドレスのフィル・ネビンは、その日少し早めに球場にやって来て、ユニホームに着替え、試合前の練習に備えていた。そして彼がまさに練習に入ろうとするその直前に、レンジャーズの朴賛浩との電撃トレードを言い渡されたのだった。
4日前の25日。オリオールズのポンソンとの交換トレードを拒否(契約にあるトレード拒否権を行使した)したばかりで、その翌日には今季2度目の捕手として4番スタメンで出場した。大塚ともバッテリーを組み見事なリードで無失点に抑えている。マスクをかぶると決まったその試合前、投手陣とのミーティングで「何でも要望があったら言ってくれ」とヤル気を見せていたという。
今季はこのままパドレスに残留するかとみられていたその矢先の出来事だっただけに、各方面に大きな衝撃が走った。グラウンドに立ったままで、すぐさま移籍会見が行われた。その後方にはパドレスのユニホームをまとったチームメートが練習のため姿を見せ始めていた。このときネビンは着ていたパドレスのユニホームを既に脱ぎ、アンダーシャツ1枚で、帽子もSDマークのものではなかった。
99年からパドレスの主砲、中心選手としてならしてきたネビンでも、チーム事情によっては容赦のないトレードが言い渡される。「もう僕はここの選手じゃなくなったんだから、ユニホームも帽子もパドレスのじゃ変だからね」。自分の身に起こったほんの数十分前の出来事をネビンはしっかりと受け入れていた。あたふたとロッカーの片付けをして、それからレンジャーズの遠征先だったトロントに飛んだ。
August 2, 2005 01:01 PM
