2005年04月13日
第86幕 世界一へつないだ盗塁
4月11日。ボストンのフェンウエイパークで予期せぬ出来事が起こった。昨年ワールドシリーズを制したレッドソックスの選手たちに、チャンピオンリングを渡すセレモニーが始まって間もなくのことだった。「デーブ・ロバーツ」と名前が読み上げられると、ジーンズの上にレッドソックスの「背番号31」のユニホームを着て、突然本人がグラウンドに姿を現したのだ。
拳を突き上げながら登場するロバーツ
昨年オフ、パドレスに移籍したロバーツだが、晴れのリングセレモニーのためにこの日、米大陸を横断してボストンにかけつけたのだ。フェンウエイにつめかけた33702人のファンからはひときわ大きな拍手が沸き起こった。その理由はヤンキースとのア・リーグ優勝決定戦の第4戦で、ロバーツが敢行した「盗塁」にあった。
仲間たちと喜びを分かち合う
レッドソックスはヤンキースに3勝され、もうあとがない4戦目。ロバーツは1点リードされていた9回の土壇場で「代走」に起用され、盗塁を成功させたのだ。それを機に同点に追いつき、ついには延長でひっくりかえして勝利。ここから流れがガラッと変わり、レッドソックスは、3連敗から奇跡の4連勝を成し遂げることになる。
あのロバーツの「盗塁」がなければ、この日のリングセレモニーはあり得なかったことを再びレッドソックスファンに思い出させた。フェンウエイに戻ってきたロバーツは、抜けるような青空に向け、右と左の手で交互に拳を突き上げながら誇らしげに登場し、そして世界一の指輪を受け取った。
世界一のリング
ダイアとサファイアで埋め尽くされた土台に赤いルビーで「B」と浮かびあがったリングを目の当たりにしたロバーツには、感動がこみ上げてきた。一緒に戦い抜いた仲間やファンの前で「世界一」の証しを手にすると、「きょう、ここに来れて本当によかった」と言うのがやっとだった。鳴り止まぬ大きな拍手は、世界一への道をつないだあの「盗塁」へと向けられていた。
April 13, 2005 03:18 PM
